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「中古スマホ市場の拡大」「サブブランドの回線数増加」など、野村総研の市場予測とは?

 野村総合研究所(野村総研)は、2028年度までのICT・メディアに関連する主要7産業と19の国内市場に関して、動向分析などを発表した。主要7産業とは、通信サービス、デバイス、メディアと広告、マーケティング、データ流通、プライバシーとセキュリティ、HR Techを指す。

 本稿ではそのうち、通信サービスやデバイスに関する内容を紹介する。

サブブランドが勢力を伸ばすか

 通信サービス面では、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクが展開するオンライン専用料金プランなどについて、既存の料金プランからの乗り換えが一巡。野村総研では、今後の事業者間競争のキーワードを「楽天モバイルの低容量有料化による影響」と「大規模通信障害への対策」としている。

 今後の回線数の予測として、UQ mobile(KDDI)やワイモバイル(ソフトバンク)などのサブブランドが、回線数を伸ばすと予測されている。

 一方、MVNOの回線数は減少が続くと予測されているが、減少ペースは昨年度の予測と比べて緩やかになるという。

 野村総研では、携帯電話に関する各種手続きがオンライン化することで、販売代理店の手数料収入が減少すると予測。リアル店舗を維持するために、新たな収入源を確保する必要があるとしている。

5G SA・6Gの時代ならではの新プランも?

 5Gには、4G LTEネットワークと組み合わせて運用されるNSA(ノンスタンドアローン、Non-Stand Alone)方式と、5Gだけの設備で運用されるSA(スタンドアローン、Stand Alone)方式がある。

 後者の特徴としては、モバイルネットワークを仮想的に分割する「ネットワークスライシング」が挙げられる。

 「ネットワークスライシング」では、サービスごとにネットワークを分割することで、たとえばゲームアプリでは超低遅延の通信を利用し、動画アプリでは大容量の通信を利用する……というように、用途に合わせて最適なネットワークを利用できる。

 野村総研は、将来的に“通信の質”が競争対象となり、保証される通信の質によって価格が変動するプランが登場することを予想している。

 また、5Gのさらにその先の技術である6Gでは、通信速度の向上や遅延の減少、省電力化などが期待される。

 野村総研では、通信技術の進化にあわせたユーザーニーズの見極めも重要として、「事業者は(ニーズを)正しく見極めた価値を提供する必要がある」としている。

中古端末の市場が拡大へ

 携帯電話端末の市場予測について、野村総研は、買い替えのサイクルの長期化や人口減少を要因として、中長期的に減少傾向が続くと予測。

 一方で、中古端末の市場については、拡大していくことが見込まれている。

 携帯電話端末の市場が縮小するなかで、携帯電話端末のメーカーや販売代理店にとっては新たな収入源が必要となる。

 野村総研では、携帯電話端末のメーカーにとってのキーワードを「廉価版スマートフォンのラインアップ拡充」「スマートウォッチなどの周辺機器への進出」としている。

 また、携帯電話端末の販売代理店にとっては、顧客ニーズに対応したサービスを拡充したり、サポートが万全な中古品を販売したりすることが重要になる、としている。