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個人への最適化極めた「ATOK Passport」など、ジャストシステムが新製品

 ジャストシステムは、日本語入力システム「ATOK Passport」と文書ソフト「一太郎2023」を発表した。一太郎2023の価格はバージョンアップ版で1万3530円。通常版では2万7500円となる。ATOK Pasport ユーザー優待版は4950円で発売日は2023年2月10日。Windows 10/11に対応する。

個人に最適化されるATOK

 Windows版のATOKでは、ユーザーそれぞれに最適化された使い心地を目指すべく、新たに「ATOK ハイパーハイブリッドエンジン」を採用。2017年以来の変換エンジンの大幅な変化としており、ユーザーが入力する傾向を学習。変換結果を最適化する「パーソナライズドコア」を搭載。

 さまざまな文書から抽出した日本語の特徴を認識する「ディープコア2」との組み合わせで、より快適な日本語入力を実現する。

 これまでのATOKでは、同音異義語を入力し変換すると、異なる文脈で前回の変換結果を表示してしまうことが誤変換のもととなっていた。医療系のドラマの話題で「担架」と入力し、確定したあとに仕事のメールなどで「単価」のつもりで「たんか」と入力すると「担架」になってしまうというシチュエーションでも、新バージョンのATOKでは、これまでの入力傾向と認識し、正しく「単価」と変換できる。

 一方で「日本語の特徴」を捉える強化の取り組みとして「ATOK変換改善パートナー」を募集している。専用フォームから「入力した読み」と「誤変換結果」「期待した変換結果」を報告することで、新バージョンにそれらを反映。より正確な変換結果を実現する。パートナー募集はジャストシステムのWebサイトから受け付ける。

 このほか、入力改善提案をあとから見返せる「ATOKアトカラ」も提供する。文章入力に集中していると見落としがちなATOKからの提案を自動でリスト化。時間ができたときにあとから見返せるようになる。単語登録や設定変更もできる。

 加えて、入力モードなど情報が表示される「ATOKパレット」が復活し、Windowsのダークモードにも対応した。

より伝わりやすい一太郎に

 「一太郎2023」では、文書校正機能を強化。公用文の分類として新設された「解説・広報等」に対応。専門的な知識を持たない人を主な読み手として想定するもので、一太郎でもこれに対応する。

 一太郎の文書校正設定「公用文(解説・広報)」では「狙い」や「飽くまで」などのワードを入力すると、公用文で用いられる硬いイメージを持たせる漢字表記ではなく親しみやすいひらがなでの入力を提案する。

 加えて、誤解を招きやすいあいまいな表現についても指摘する機能を搭載。「高い確率」と入力すると数字での表現をうながしたり「9時ごろ」と入力すると日付や時間での表現をうながしたりと、より相手に伝わりやすい文書作成をサポートする。

 さらに、規定・指針や会則、契約書といった文書の改訂版を作成する際に、変更点がわかりやすくなる比較表を簡単に作成できる機能が用意される。変更前・後のファイルを選ぶだけで自動で作成できるもので、事務作業の手間を大幅に短縮する。

 このほか、連番表記の際、1桁では全角、2桁では半角スペースを入れ、文頭を揃えて読みやすくする機能や記号の後ろの開業を削除、小説や記事を読みやすくする機能などを備える。

 ツールパレット上では、ATOKクラウド辞書6種を弾き比べられるほか、ATOKとの連携機能として一太郎とATOKがよりシームレスに連携するパレット表示が利用できる。前出のATOKアトカラなどもATOK上で見やすく表示される。

さらに多機能なプラチナ版も

 上位版となる「一太郎2023 プラチナ」では、通常版との差分としてイワタのフォントを16種類収録。定番の明朝体のスタイルから新聞スタイルの書体のほか「イワタGrunge超明朝U ProN」など4種の一太郎専用書体も利用できる。

 また、2021年12月に全面改訂された三省堂国語辞典の内容を収録した「三省堂国語辞典 for ATOK」も搭載。新語など3500項目が追加されており、項目数としてはおよそ8万4000項目となる。

 また、読み上げソフトの「詠太13」では新語や俗語などの現代用語を拡充。これにより読み上げ精度が向上しており、読み上げ校正での活用がよりスムーズになるとアピール。加えて「花子」を「花子Personal」としてリニューアル。2万3800件のイラストを搭載し、最新の標準案内用図記号に対応した。資料や教材といった文字が多い図面の誤り指摘精度も向上しており、ミスのない図面が作成しやすいとする。

 オフィス統合ソフトである「JUST Office 5 Personal」も備える。マイクロソフトの「Office」との互換性を保っており、「JUST PDF 5」とも連携強化しており、専用PDFタブからセキュリティ、電子署名を設定しより素早いPDF出力に対応。書類の電子化が推進されるなか、より利便性を高めたとアピールする。

Webで入力の文書も校正

 ブラウザ拡張機能として用意される機能「JUSTチェッカー」では、メールや入力フォームなどの文章を一太郎の校正エンジンでチェックできる。Google ChromeとMicrosoft Edgeに対応する。

 用途別にカジュアル、論文・レポート、ビジネス、公用文、公用文(解説・広報)、小説、Web記事、カスタムの8つのモードが用意され、自動的に切り替わる。現在対応するWebサイトは、Gmail、ツイッター、ノート、グーグルフォーム、小説家になろう。

バージョンアップ版なら1万3530円~

 一太郎2023の通常版は2万7500円。バージョンアップ版は1万3530円で、直販サイトでのみ1万5510円の特別優待版が取り扱われる。一太郎2023 プラチナは通常版が4万7300円。バージョンアップ版が3万5350円。特別優待版は3万8380円となる。

 どちらの商品にもアカデミック版が用意されており、それぞれバージョンアップ版と同額で提供される。また、「ATOK Passport[プレミアム]」の年間プランを契約しているユーザー向けの特別価格として一太郎2023は4950円、一太郎2023 プレミアムは2万6950円で提供される。

 対応するOSは、一太郎2023/一太郎2023 プラチナ、ATOK for Windowsのいずれも日本語版のWindows10または11。ATOKは「ATOK Passport[プレミアム]」の場合、AndroidやMac、iOSでの利用にも対応するが、今回発表されたATOK ハイパーハイブリッドエンジンの機能は現時点で利用できない。