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水上を進むドローンで「ブルーカーボン」を観測、環境保全に向けたKDDI総研の取り組み

 KDDI総合研究所は10月、環境保護に向け、ドローンを活用してブルーカーボンを測定する取り組みをメディア向けに公開した。

 ブルーカーボンとは、海中の植物に吸収された炭素のこと。コンブやワカメ、アマモ、マングローブなどが炭素をブルーカーボンとして吸収する植物に挙げられる。環境保全の取り組みとして、ブルーカーボンを定量化、クレジットとして取引する仕組みがあり、クレジット購入者はその金額に相当するCO2を削減したとされる。

 このとき、ブルーカーボンの量を測定する方法は、飛行するドローンからの空撮やダイバーによる潜水調査が用いられている。しかし、前者は手軽に広域を確認できる反面、海中の様子が分かりづらく、後者は海中の様子を詳細に調べられる反面、広域の観測が難しい欠点がある。

 KDDI総研の「水上ドローン」は、こうした現状のブルーカーボン測定の課題を解決すべく実証が進められている。スマートフォンアプリから指定した場所へ自動航行し、搭載する水中カメラによる撮影を行う。これにより、これまでより効果的に多くの地点の水中観測を可能にするとしている。

 実際に三重県鳥羽市沿岸で藻場を観測する実証実験を実施しており、水中映像からアマモの割合を算出することに成功している。同社では2024年度以降にビジネス化を検討するという。