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「Xiaomiモノづくり研究所」ついに始動、シャオミの安達氏は何を語った?

 シャオミ(Xiaomi)は31日、一般ユーザー参加型のイベント「Xiaomiモノづくり研究所」を都内で開催した。

 同イベントには、シャオミジャパン(小米技術日本)のプロダクトプランニング本部 本部長の安達晃彦氏が登壇。また、約800名による応募のなかから選ばれた約20名のユーザーが参加した。

 今後も一定のペースで開催が予定されているという「Xiaomiモノづくり研究所」の記念すべき第1回で、安達氏は何を語ったのか? 本稿では、同イベントの内容をお届けする。

安達氏

そもそも「Xiaomiモノづくり研究所」って?

 今回オフラインイベントとして開催された「Xiaomiモノづくり研究所」は、ユーザーに“研究員”として参加してもらい、シャオミ製品へのフィードバックなどを受け付けるというもの。

 6月2日までTwitter経由で参加者が募集され、最終的に集まった応募の数は約800。そのなかから約20名のユーザーに、今回のイベントへの案内が届いた。

 安達氏は、「シャオミはもともと『ユーザーとの距離の近さ』を特徴としていて、インターネットを中心にファンを広げていった会社です。すでに世界各国でファンとの交流イベントは実施しており、そのような背景もあって今回の(日本での)開催につながりました」と語る。

スティーブン氏もオンラインで登壇

 イベントの冒頭では、シャオミの東アジア担当ゼネラルマネージャーであり、シャオミジャパンの代表取締役も務めるスティーブン・ワン(Steven Wang)氏が、オンラインで登壇した。

 同氏は「今日ユーザーの皆さんからいただく意見は我々にとって非常に貴重なものです。早ければ来年2023年、さらにその先に向けて活用させていただきます」とコメントした。

スティーブン氏

 続いて安達氏が、シャオミの沿革について紹介。「優れたテクノロジーを誰もが利用できるようにする(innovation for everyone)」という同社のミッションや製品ラインアップ、同社が日本市場で投入したスマートフォンなどを、プレゼンテーション形式で紹介した。

安達氏が考えるローカライズや製品戦略など

 安達氏によるプレゼンテーションのあとは、“研究員”として参加した一般ユーザーのアンケート結果をもとに、製品などについて意見を交換しあうセッションが実施された。

 ユーザーからは、「これからも防水やFeliCaを続けていくのか」「どんな製品に注力していくのか」などの質問が挙がった。

 セッションの内容は多岐にわたったが、本稿では安達氏が語ったことを一部抜粋するかたちでお届けする。

FeliCaや防水防塵対応について

安達氏
 シャオミが2021年にグローバルで出荷したスマートフォンの台数は約1億9000万台で、そのうち日本国内の台数は100万台くらいです。

 FeliCaに対応させるためには、FeliCaのチップのほかにアンテナも入れる必要があります。もともとグローバルで設計が始まっている製品を日本向けに改造しなければならず、単純にコスト増につながります。もちろん(FeliCaを)入れられるに越したことはないんですが、真剣に見定めていく必要があるかなと思っています。

 また、防水防塵対応について、シャオミの海外向け商品というのは一部商品を除いてIP53相当なんです。最近ではIP68相当の製品も増やしていますが、よりコストパフォーマンスを追求できるラインはIP53。

 で、たとえばIP53相当の製品を日本向けにIP68相当にするには、ハードウェアを完全に変更しなければいけません。Type-Cのコネクターも変える必要が出てくるし、同じ製品であっても別のものを作るようなことになります。

 だから、ある意味FeliCa以上にハードルが高くて、最初からその製品をIP68にするということを決めないといけない。

 我々が一番大切にしている「価格」や「開発リードタイム」にダイレクトに影響してくる部分でもあるので、IP68相当の防水防塵やFeliCaは、慎重に進めていきたいとは思っています。

為替変動の影響は

 円安は悩ましいところです。ここ数日少し緩んできたものの、先週で言えば1ドル140円くらい。2021年の秋が1ドル115円程度だったことを考えると、20%くらい上がっているんですね。

 我々は、ハードウェア事業の純利益率で年間5%を超えないようにやっていますから、為替で20%上がるというのは非常に厳しい状況。我々だけでなく、各メーカーさんや業界全体が、輸入品を販売するにあたって頭を抱えている状況かなと思います。

 我々シャオミが、ユーザーの方々にある程度納得いただけるような価格に抑えて製品を提供していくうえでは、通常の“もの作り”とはちょっと離れた要素として、為替が肝になってくるかなと感じています。

今後の製品戦略など

安達氏
 リーズナブルな端末も売れていますが、会社として我々が目指していきたいのは、実はフラッグシップの製品です。

 スマートフォン市場は、非常に高価なハイエンドモデルと、手ごろな価格のモデルとで、二極化が進んでいる印象があります。

 そして、シャオミとしてブランド力を築いていくことは、やっぱりローエンドモデルではなかなか難しいと思っています。ですから、カメラや急速充電のテクノロジーを差異化のポイントとして、フラッグシップの製品を日本にお届けしたい。それによって、認知拡大やお客さまの満足度につなげたいですね。

 あとは、国内向けのIoT製品のラインアップも拡充していきたいと考えています。

 できれば「スマートフォンとつながることで価値が上がるもの」を優先したいと思いますし、たとえばスクーターみたいに、他社にはないユニークなものも優先的に投入していきたいです。

抽選会も実施

 イベントの最後には、「ラッキー抽選会」と題し、スマートフォンを含むシャオミ製品が当たる抽選会が実施された。

 抽選会のなかでは、安達氏が自らくじを引いたり景品を参加者へ手渡したりといった光景も見られた。

 最後に参加者も含めて記念撮影が行われ、「Xiaomiモノづくり研究所」の第1回目が終了した。

 安達氏はイベントを振り返り、「今回、熱量の高いユーザーの方からのメッセージもいただけたのは、我々としてもありがたいことです。ユーザーの方との絆のようなものを深めていくうえで、こうしたイベントを繰り返していくことには意味があると思います。今後どれくらいの頻度で開催するかは検討しますが、トピックを変えつつ、できれば数か月に1回は開催していきたいです」と語った。