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6Gへの対応や5Gの進捗など、ソフトバンクの株主総会

 ソフトバンクは23日、第36回定時株主総会を開催した。会場には同社 代表取締役社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏が登壇した。本稿では質疑応答を中心にお伝えする。

 はじめに、同社の2022年3月期決算の概況について説明。宮川氏は同社の「Beyond Carrier」などを含めて、総合デジタルプラットフォーマーとしてあらゆる産業のデジタル化、社会課題の解決などを推進することを語った。

質疑では

――現状の株価についてどう捉えているか?

宮川氏
 今朝、ちょうど1500円を超えたところ。大きな壁だったと認識している。現状はわが社のポテンシャルが反映されているとは思っていない。満足していない。私自身もひとりの株主だが、現在の株価は大変不満に感じる。配当利回り6%に加えて、ソフトバンクのDX基盤、ヤフー、LINE、PayPayと傘下にあるが非常に安い。

 社会のデジタル化が求められる中で、次世代の社会インフラになるべくあらゆるデジタル化を推進したい。すべての産業が我々が取り組む市場になるので、成長の機会は増え続ける。Beyond Carrier戦略を着実に推進して事業成長、社会貢献を通じて企業価値向上に取り組む。

――PayPayの手数料有料化による利用者数・加盟店数の変化は?

宮川氏
 決算発表でも説明した通り、有料化以降も変わらず、ユーザー・加盟店数増えている。獲得費用を除くと黒字化の水準に来ており、ここでブレーキを踏んで黒字化を目指すよりもマーケティングを優先しシェア拡大を図ることが企業価値向上につながる。

 上場もひとつの有力な選択肢だが現時点ではお話しできない。

――プラチナバンドの900MHz帯と700MHz帯を2つ保有するのは無駄ではないか。総務省に返上し楽天へ渡すべきではないか?

宮川氏
 700MHzは5Gで使用している。基地局は1万2000局で運用しており、すでに1500万人の5Gユーザーが利用している。総務省への返納は現実的ではない。加えて900MHz帯はLTEの主力バンド。他社とくらべても多くのトラフィックを運んでいて、5Gへの移行もLTEの終了までは難しい。

――ソフトバンクグループとソフトバンクで親子上場だったが、非公開化の可能性はあるか?

宮川氏
 (同席の孫正義氏)本人を目の前にしてだが、上場会社として自律的に経営を行うことでさらなる成長ができる。非公開化は全く考えていない。

孫氏
 世の中は何でもありうるんじゃないか。だから一概にないとは断定できないが、少なくとも今、「ソフトバンク株式会社」として立派にその社会的使命を果たしている。これから業績も大いに期待できるものが大きい。このまま立派に成長していけると考えている。

――端末販売拒否についてどう考えているのか?

榛葉氏
 このことは残念ながら事実。すでにそれに対する対策・再発防止策を講じている。3カ月ごとの研修や全国のスタッフ・ユーザーが誤解しないよう各店舗に注意事項・ポスターを掲示するなど、これからも再発のないように努めていく。

――半導体不足はどう影響しているのか?

宮川氏
 そんなに大きな影響は出ていない。サーバーの販売をしているソフトバンク C&Sの仕入れが止まっていて、もう少し売上が立つはずだったというのが一番大きな話。iPhoneやiPadも品薄が続いたが業績に影響を与えるものではない。

――3ブランドの適正比率についてどう考えているか?

榛葉氏
 大容量・無制限のソフトバンク、小容量・中容量のワイモバイル、オンライン専用のLINEMOと明確にしている。一人ひとりのライフスタイルに適したかたちで3つのブランドがマッチしていると考えている。ただ、満足することなく常に声を聞きながら、3つのブランドを磨いていきたい。

――5Gの進捗状況は、競合他社との競争含めてどう進めるのか?

宮川氏
 3月末に人口カバー率90%達成と報告しており、他社と比べても一歩リードしている。これから真の5G(SA)に切り替わっていき、スマホだけの通信事業からあらゆる社会のインフラになるためにSAが必要。急ピッチで工事をしている。

 2022年末にはほぼ全国でエリア展開が完成してくる。自動運転車やIoTにおいて同じデバイスで展開できるため、エコシステムとなる。これまでは汎用機でつながっているわけではなかったために高かったが、値段が下がりみんなが使えるというフェーズに入れる。5Gネットワークで先行できたメリットは必ず出てくるので期待してほしい。

――6Gへの取り組み、太陽フレアへの影響へはどう取り組んでいるか?

宮川氏
 6Gはミリ波よりももっと上、光に近いような周波数帯を使う技術。高い周波数の伝送の実験は開始している。岐阜の大学と組んでそれの結果を報告しておりおおむね順調。人と人の通信だったものからモノとモノになり、飛行機のように空間まで入ってくる。3次元空間で同インフラを作るかが6Gの定義。

 衛星やHAPSなどが6Gのコンセプトに組み込まれているので、低軌道衛星とHAPSの2軸で3D化にチャレンジしていきたい。

――データ管理の安全性についてどう考えているか?

宮川氏
 データ管理に対する重み、経済安保という考え方があらゆるサービスでヒアリング対象になり政府と議論している。わが社のネットワークもチャイナリスクと表現されたこともあるが、5Gは中国系ベンダーは避けるようにお達しがあり、ようやく5Gに切り替わったところでそれを達成できた。ネットワークは計画通り、経済安保という意味ではしっかりとしたものができた。

 個人情報は扱いが難しいところが残っている。ヤフーやLINEなどで取り扱うデータは莫大。まずは日本国内でデータを完結させること、個人情報のあり方については、ガイドラインに抵触することなく運営することを徹底する。

 現時点で大きなリスクがないということはここで断言したい。この先、(たとえば)台湾有事や米韓関係から韓国のデータはどうなるのかなど、毎月色々出てくる。それに向かって真摯に向き合って、株主に迷惑をかけることなくきちっとやらせていただく。