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KDDI髙橋社長、「2.3GHz帯、1社のみ立候補の理由」と楽天モバイルの「プラチナバンド要望」への考えを語る

 5G用の新たな周波数帯である2.3GHz帯(n40)。4月、総務省は、申請者がKDDIおよび沖縄セルラーのみだったと発表した。両社は連携するひとつのグループであり、競合他社は立候補しなかったことになる。

 5月13日の決算会見で、KDDI代表取締役社長の髙橋誠氏は、「正直、うちもびっくりした」と予想外の状況だったことを明らかにする。

 髙橋氏は、2.3GHz帯に手を挙げた理由について「周波数を求めるところが手を挙げると思っていた。2.3GHz帯はグローバル的にも広く利用されている、貴重なエコバンド。端末も対応している機種が多い」と説明。

 一方、2.3GHz帯は、本来、放送や公共用途で、使われていない場所や時間帯は携帯電話用として利用する。そのためダイナミック周波数共用管理システムの導入が必要となっている。

 2.3GHz帯はまだ付与されていないが、髙橋氏は「放送事業者のFPU(放送事業用無線局)として利用されている。周波数共用に対応しなければならないが、うちの技術陣はなんとかできそうだ、ということで立候補した。技術陣には『必ず使えるようにしろ』とプレッシャーかけている」とした。

楽天モバイルのプラチナバンド要望に

 このほか、楽天モバイルが、いわゆるプラチナバンド(800MHz帯周辺の周波数を指す、携帯電話業界の用語)の割当を求めていることについて「有効利用されていない周波数を、有効利用するための再割当という制度は賛成」とコメント。

 ただ、すでに使われている帯域については、既存ユーザーへの影響を回避するための工事が必要であり「慎重な議論が必要」と語る。

 髙橋氏は、かつて、KDDIが800MHz帯の再編を実施した経験を踏まえ「結構、大変なんですよ」と重みのある一言。

 プラチナバンドを楽天モバイルに割り当てるには、一定の工事が必要と見られているものの、現状、携帯各社に対しては、政府が掲げるデジタル田園都市構想が5Gのサービスエリア拡大を前倒しするよう求める格好となっている。

 髙橋氏は「5Gのエリア拡大であっぷあっぷ。(楽天モバイルへの割当のための)工事をやろうとするとべらぼうなコストがかかり、5G展開も遅れかねない。慎重に対応してほしい。我々も周波数を求めることができる制度であり、慎重な議論が必要。本音は5Gへの投資に集中させてほしい、ということ」とした。