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J:COM、1078円で5GB使える「ギガ盛りセット」などを発表――サポートとセットで差別化を図る

 JCOMは15日、「J:COM新サービス発表会」を開催し、ネット配信動画を大画面で試聴できる新デバイス「J:COM LINK mini」や「高性能Wi-Fiルーターの標準装備化、MVNOサービス「J:COM MOBILE」の26歳以下向けのキャンペーンを発表した。

集合住宅のネット環境を改善

 JCOM代表取締役社長の石川 雄三氏は、まずネットサービス「J:COM NET」の新サービスを説明した。

 石川氏はまず、インターネットのネットワークには、ボトルネックが複数存在しており、特に集合住宅の構内回線について課題があると指摘する。

 マンションやアパートでは、約36%の建物で光用配管がある一方で、64%の建物で光用配管がないという。構内回線がVDSL(構内が電話回線)の場合、通常最大100Mbpsまでの速度しかでないが、「J:COM NET」では、「DOCSIS 3.1」規格をサポートしテレビ用同軸回線を使い最大1Gbpsの通信速度に対応するという。

 また戸建て住宅向けにも、順次10Gbps化を進めていくとしている。

 さらに、家の中のWi-Fiについても高度化を図っていく。

 2019年10月に提供開始した「J:COMメッシュWi-Fi」では、2.4GHz帯で平均223%、5GHz帯で平均121%速度回線効果が現れたという。

 今回、同様のWi-Fi高度化を広めるべく、来春から「高性能Wi-Fi」機能をモデムに標準搭載する取り組みを実施する。過去のデータを分析して学習するクラウドを活用したAI機能や、帯域/チャンネルを自動で割り当てる「バンド/チャンネルステアリング」機能などが利用できる。

モバイルでは、セット契約でデータ容量が増える「ギガ盛セット」

 MVNOサービス「J:COM MOBILE」では、ほかのJ:COMサービスとのセット契約でデータ容量が増量される「ギガ盛セット」を来年2月から提供する。

 月額料金は変わらず、1GBプランは5GBに増量され月額1078円、同様に5GBプランは10GBで1628円、10GBプランは20GBになり2178円、20GBプランは30GBになり2728円となる。

 石川氏は「他社では電力とのセットが多いが、J:COMではWi-Fiや電話、テレビなど主要なサービスはセット対象となっている。J:COMユーザーのほとんどがギガ盛りセットを利用できる」と説明した。

 端末ラインアップも紹介される中、「端末代金が高額になってしまう」(石川氏)iPhone 12シリーズでは、最大48回までの割賦に対応している。iPhone向けのサポートサービスや初期設定から乗り換え後の不安解消につながる3つのサポート体制もあわせて紹介された。

26歳以下ユーザーへ「ヤング割」

 また、26歳以下のユーザーに向けた割引施策「U26ヤング割」と固定回線とのセット割「新生活応援!U26割」が発表された。

 どちらも契約から6カ月間の割引で、「U26ヤング割」は月々1078円割引、「新生活応援!U26割」は1618円割引を受けられる。

 たとえば、ネットとモバイルを契約する26歳以下のユーザーであれば、「ギガ盛セット」と「U26ヤング割」、「新生活応援!U26割」が適用でき、固定回線とモバイル10GBが2980円で利用できる。

新生「J:COM MOBILE」、対前年比で2倍の販売数

 主な質疑を取り上げる。回答者は、代表取締役社長の石川 雄三氏。

――新生「J:COM MOBILE」から1年が過ぎた。業界全体が大きな変化を迎える中、どのようにとらえているか?

石川氏
 各社さんでいろいろ工夫をして、低価格で便利なものを提供されている印象。

 私ども(JCOM)では、9月時点で対前年比2倍くらいの販売数になっており、これをなんとか維持しているのが現状。

 価格や機能のほか、サポートで差別化する戦略をとっており、「安くて便利」という業界の中でも一定のポジションが取れると思っている。もう一段ギアを上げていきたい。

――「J:COM LINK mini」と「J:COM LINK」はどう違うのか?

石川氏
 「J:COM LINK」では、地上波やCSまでを網羅しているが、「インターネットしかいらない、十分」というユーザーも多数いらっしゃる。そういう指摘をいただき、今回ネット動画を見るためのものを提供することになった。

 主なターゲットとしては、CS放送をあまり見ない若年層をターゲットにしている。

――半導体不足の影響はないか? 特にiPhone。

石川氏
 ロングスパンで調達している。実際はKDDIからの調達になるが、KDDIとアップルで協議をし、ある程度先を読んだ調達をしているため、そんなに遅れることはない形で提供できると思っている。

――MNOのオンライン専用プランの影響はあるか?

石川氏
 オンライン専用プランでは弱いサポートの部分で強みをだしている。実際に、ユーザー宅に伺って設定することなどいろいろなサポートツールで差別化していきたい。

 実際に、オンライン専用プランが登場して(契約数)がガクンtぽ下がったということもない。オンライン専用プランが難しいユーザーにしっかりと提案していく。

――楽天モバイルの「基本料0円プラン」の影響はあったか?

石川氏
 我々も注視しているが、0円となった前からほとんど(契約数は)変わっていない。楽天モバイルと我々のターゲッティングは違うのだろうと理解している。

 ただ、油断しているわけではないので、他社と違う価値の提供を今後も続けていく。

――(ギガ盛りセットについて)今回、値下げでなくデータ容量増量となった理由は?

石川氏
 今の価格で十分安いため、200円300円の値下げでは、ユーザーが価値を実感していただけないだろうと考えた。

 ユーザーにギガ数を心配せずに使っていただこうという考えで、「ギガ盛りセット」を提供することになった。全体のデータ使用量は、倍々というほどではないが増えてきている。