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適切な与信と返済しやすさ、「メルペイスマートマネー」が目指す新しい融資

 メルペイは、メルカリなどの利用状況を与信に利用する少額融資サービス「メルペイスマートマネー」を発表した。

メリカリアプリから融資

 メルペイスマートマネーは、20万円を上限金額として、メルカリアプリから申し込める少額融資サービス。メルカリの利用実績などをもとに金利や利用限度額が決まる。

 一般的な金融システムで用いられる属性情報を元にした与信では、一律で金利や利用限度額が決まるが、メルペイスマートマネーでは、メルカリの販売実績から予測される将来の販売傾向に応じて金利が優遇されるなど、より個々のユーザーの状況に合わせて活用しやすいとしている。

 メルカリアプリで申込み、審査に通過するとメルペイ残高に入金される。チャージされたメルペイ残高は、メルカリアプリやメルペイ加盟店での利用のほか、「おくる・もらう」機能や銀行口座への出金もできる。

 返済については、メルカリのポイントや売上金を充てることができ、アプリ上から月々の返済日や返済プランをいつでも変更できるという。

より利用しやすいサービスに

 メルカリでは、これまで、メルカリの利用状況にもとづき、与信審査を行い購入金額の後払いができる「メルペイスマート払い」などを提供してきた。

 同社が考える「信用」は、これまでの属性情報にのみ頼ったものではないとメルペイ 取締役 COOの山本真人氏は語る。属性情報とメルカリやメルペイの利用実績などをもとにすることで従来、属性情報のみでは融資などを利用できなかった人でも利用しやすい金融サービスを実現したいという。

 属性情報は、変化の頻度が低いため最新の状況が反映されにくいことがあるという。そこで、同社のサービス利用状況を与信の判断に加えることで、より最新の状況にもとづいた判断が可能と説明する。

 メルカリのサービスである「月イチ払い」から数えて4年間提供されてきた、独自のAI技術と運用実績によりこうしたサービスの提供を可能にしたと山本氏。

 与信には、メルカリに加えてメルペイの利用実績が考慮されており、法的に必要な部分において信用情報機関の情報も組み合わせる形で審査される。また、延滞時には信用情報機関にその情報が登録されることになる。

 利用実績が与信に与える影響は、メルカリの取引をしっかりと完了すれば与信を上げたり、出品をたくさんしていれば利率が下がるといったような仕組みだという。

独自の取り組みで融資の懸念をクリア

 メルペイ 取締役の信川享介氏は、一般的な貸金における課題として、支払い能力以上の利用や多重債務、与信への理解不足の3点を挙げる。

 メルペイスマートマネーでは、利用ごとに最新の与信状況で審査する形をとっている。追加での融資を希望する際にも都度審査が行われ、最新の年収や他社も含めた借入額が考慮されるため、返済能力を超えた借り入れが発生しにくいよう工夫がなされている。

 申込みの前に、適用金利や返済額などの情報を表示。利用中にも支払い完了までの期間や月々の支払額や利息を確認できる機能を提供することで、利用の見通しを立てやすくし、返済困難な状況に陥る危険性を低減させる狙いがある。

 また、透明性と同様に重要なのが返済の柔軟さと信川氏。同サービスでは、いつでも支払額や支払日の変更が可能な上にメルカリの売上金で支払いができる。加えて、返済を待ってほしい場合や支払い条件を変更したい場合などに相談できる窓口を用意。

 収入が減少したり、予定外の出費があったりなどで返済が困難になった場合にはこうした窓口に相談できる。信川氏によると、新型コロナウイルスの影響で支払い条件の変更に応じたケースがあると紹介した。

 さらに、ユーザーの理解の深化のため、与信サービスの利用時に注意すべきことをイラストなどを交えてわかりやすく解説したコンテンツを提供する予定という。

メルペイの与信への取り組み

 信川氏は、同社がこれまで取り組んできた安心安全に利用できる与信サービスへの取り組みを紹介。

 同社のメルペイスマート払いでは、ユーザー自身で利用上限金額を設定できる仕組み、過去の利用金額や利用店舗などはメルカリアプリ内で確認できるなど、利用を管理しやすい機能が用意されている。

 また、支払い終了までの期間や月々の支払金額と手数料を表示するなど、透明性を担保したかたちを取っている。

 メルペイスマート払いでは、メルペイスマートマネーと同じくメルカリの売上金で返済できる機能を持つ。信川氏によると、およそ半分のユーザーが売上金を返済手段として利用している。さらに、そうしたユーザーの延滞率は売上金のないユーザーに比べて2/3程度の水準と、延滞防止に効果を発揮していると見方を示した。

 メルペイスマート払いに加えて、今回のメルペイスマートマネーが加わることで、キャッシュレス決済以外でもメルペイの与信が利用できる機会が広まることになる。「より多くのシーンで、より多くのお客様の好きなこと・やりたいことのサポートを実現していく」と山本氏は語った。

 「モノ」と「お金」に加えて、「信用」の循環を加えることで、より自由度と柔軟性の高い「循環型金融」を拡大、メルカリならではの価値ある体験を届けていきたいとした。