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IIJのモバイル事業、「ギガプラン」登場で純増傾向に

 IIJは、2020年度の業績を発表した。MVNOを展開するモバイル事業の売上高は、前年比3.1%増の475.2億円、回線数は同7.3%増の325.1万回線となった。

 このうち法人向けのモバイル事業のうち、IoTなどの売上高が78.1億円(29.6%増)、回線数が111万回線(31.8%増)となり、好調な結果となった

業績サマリー

4月開始の新プラン「ギガプラン」は35万契約

 2020年度の個人向けモバイルサービスの業績としては、売上は微減、契約数も減少傾向となった。

 一方で、4月から新料金プラン「ギガプラン」が登場。5月の大型連休明けで、ギガプランは約35万回線、そのうち約15%が新規契約になっているという。旧プランユーザーについては、今後、かなりの数がギガプランへ移行する見通しという。2020年度は純減した時期もあったが、「ギガプラン」により、2021年度は月数万程度の純増傾向に転じると想定されている。

 その「ギガプラン」は、2GB、4GBといったプランが中心。旧プランでも3GBが多く、データ量を使わず安いというユーザーを獲得できている。こうしたことから、大手キャリアとは異なるマーケットとして、これまで以上に分かれてきた、との見立ても披露された。

eSIM「マニアックな方が利用するトレンド」

 IIJならではの要素として、eSIMサービスの動向については、これまではトライアルとしての側面もあったが、ギガプランでは一定の利用があり、「巷で、他社との組み合わせとの裏技が語られていたりするなど、マニアックな方がeSIMを契約するトレンドが出てきた」(IIJ CFOの渡井昭久氏)という。とはいえ、まだまだeSIM対応機種が限定的なことから、さらなる拡大にはまだ至らないとの見方も示された。

渡井氏

接続料

 MVNO向けサービスを展開する上で欠かせないコストのひとつである大手携帯会社からの回線調達については、2020年度、低減が図られた。過去の実績ではなく、今後の見通しを想定して大手キャリアから提示される将来原価方式が導入され、2021年度は31.5%、2022年度には21.8%(どちらも今年4月提示の新単価)、減少する予定。

 また2021年度のモバイル分野の売上高は83億円の減収になると予想されている。これは音声通話サービスが、月額700円から月額100円相当になったことが大きな要因。200万回線ほどある個人契約への影響を踏まえた減収予想となっている。ただ、売上は下がるものの、調達コストも下がることから利益についは大きな変化はないとされている。

NTTグループ、経営統合の影響は

 2020年度に進められたNTTグループの経営統合について、鈴木幸一会長は
「メリットあるかたちであれば対応していく」と述べるにとどまり、IIJとして、2021年度の経営計画には具体的な取り組みは盛り込まれていないことが明らかにされた。

 また週刊誌報道で明らかにされたNTTと総務省の接待問題についての受け止めを問われた鈴木会長は「接待と別に周到な議論を重ねて欲しい」と求めた。総務省幹部だった谷脇康彦氏について、鈴木会長は「若い頃から存じ上げている。中国米国との関係や、セキュリティなど貴重な人材」と評価。日本の国際的な通信政策において「日本の政策をどう舵取りするか」として谷脇氏が政策の第一線から姿を消したことを惜しんだ。

勝栄二郎社長は欠席。鈴木幸一会長が全体感などを語った