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5Gと耐風ドローンで点検の効率化や災害支援を、ソフトバンクと双葉電子が共同開発

プロトタイプのドローンを公開

 ソフトバンクと双葉電子工業(双葉電子)は、高所や橋梁などの点検や測量、災害支援に活用できる産業向けドローンを9月から共同開発しており、プロトタイプが公開された。

 純国産でLTEによるリアルタイム画像伝送のほか、ソフトバンクの高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」に対応し、誤差数センチメートルの精度で飛行制御できる。

 説明会では、ソフトバンク テクノロジーユニット5G&IoTソリューション本部ロボティクスソリューション部UAVソリューション課長の神谷 義孝氏、双葉電子理事 システムソリューション事業センター長の横山 勝氏、ソフトバンク 法人事業統括 プロダクト&事業戦略本部IoTプロダクト企画推進部プロダクト企画3課 ドローンプロダクト担当の松田 憲史郎氏が登壇。また、開発中のドローンのプロトタイプもお披露目された。

左からソフトバンク テクノロジーユニット5G&IoTソリューション本部ロボティクスソリューション部UAVソリューション課長の神谷 義孝氏、双葉電子理事 システムソリューション事業センター長の横山 勝氏、ソフトバンク 法人事業統括 プロダクト&事業戦略本部IoTプロダクト企画推進部プロダクト企画3課 ドローンプロダクト担当の松田 憲史郎氏

プロトタイプ

ソフトバンクの産業向けドローン

ソフトバンク 神谷氏

 ソフトバンクの神谷氏は、「ドローンによりさまざまな分野で作業の自動化や効率化が進んでいく」と指摘。

 ソフトバンクがもつ「自動飛行技術」「通信技術」「高精度測位サービス『ichimill』」などの技術と双葉電子の「基地局ドローン開発」「防水防塵性能」「強風に強い期待制御」といったハード面の技術やノウハウを搭載したドローンを開発する。

 これに加え、ソフトバンクでは高精度な位置測位による「飛行制御の高精度化」や「取得データの高速化」、LTEや5Gネットワークを利用した「リアルタイム伝送」や「リモート制御」、AIによる「飛行の完全自動化」などソフトバンクならではの機能を今後開発していく。

プロトタイプ機体のスペック

 「(ドローンの)安全の実現には、安定した飛行が求められる」とするのは、双葉電子の横山氏。

 同ドローンは、中型の機体となり、天候に左右されずに飛ばせる「全天候型」のドローンとなる。悪天候でも安定して飛行できるため、災害時に役立つ。特に、耐風速性能は自動航行で15m/sで、実験では実験器具が出せる最大風速の18m/sでも安定航行を続けていた。「これほどの風速で安定した自動航行ができるものは他社にはほとんどない」(横山氏)。

 双葉電子では、長年ラジコンで培ってきた制御技術や無線技術をドローン分野でも生かされており、「途切れず安定した無線通信」「安全かつ安定して飛行する技術」「もしものときの安全をサポートする技術」を搭載した、純国産のドローンができたとした。

ソフトバンクのドローンソリューション

 同ドローンは、ソフトバンクの法人向けドローンサービス「SoraSolution(ソラソリューション)」のラインアップに組み込まれる。

 同サービスでは、ソフトバンクが導入からソフトウェアの設計や管理、プラットフォームの提供など、ワンパッケージで提供する。

 また、AI解析機能を拡充し「差分検知」や、実際のソフトバンクの基地局点検でも活用されている「サビ検知」「クラック検知」などを導入し、業務のデジタル化を加速していく。

提供は、2021年4月以降

 2020年12月よりプロトタイプ機体などで内部実証を行い、その後パートナー企業などで実証していく。

 ソラソリューションによるサービス展開は、2021年4月以降になるとし、具体的なサービス内容や価格については、サービス開始前までに発表する。

用途別にカスタマイズ

 発表会後、筆者の素朴な疑問に応えてくれたのはソフトバンクの神谷氏。

 鉄路や工場内の点検では、決まった敷地で運用するようになるが、複数台を組み合わせた自動航行はできるのか。

 神谷氏によると、現段階では複数台の機能は含まれていないが、今後隊列航行などを含め機能拡充の余地があるという。

 また、建設会社などが橋梁や高架橋などの点検をする場合、現場ごとにカスタマイズし直さないといけないのかという点について、「用途別にセンサーの設置などカスタマイズすることになるので、現場が変わっても概ねそのまま利用できる」(神谷氏)とのこと。ユーザーのドローン使用用途にあわせてサービス設計していくことになる。