ニュース

総務省、MNP手続き開始後の引き止めを一切禁止の方針示す

 総務省は、有識者会議「電気通信市場検証会議」内の検討部会「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」の第10回会合を10月23日に開催する。

 同WGでは、MNPで他社へ乗り換えする際に、利用者がその手続きを行おうとする最初の段階で、利用者による明確な意思表示が行われたと判断できる選択肢を設けたうえ、該当の選択をした利用者に対して、一切の勧誘行為(引き止め)を禁止する方針で検討が進められている。

 具体的には、MNP転出時に必要となる予約番号の取得にあたり、Webサイトでは「MNP予約番号の発行」および「MNPに関する問い合わせ」を近接して設置し、前者が選択された場合には利用者による明確な意思表示が行われたと判断し、一切の引き止め行為を禁止する。

 電話手続きでは、自動音声で「MNP予約番号の発行」および「MNPに関する問い合わせ」のメニューを設ける。

 店頭ではMNPに関する要件で訪問した利用者に対して、「MNP予約番号の発行」または「MNPに関する問い合わせ」のどちらに該当するかを「指さし確認シート」などで確認する。どちらの場合も、「MNP予約番号の発行」が選択された時点で、利用者による明確な意思表示が行われたと判断し、その後一切の引き止め行為を禁止する方針。

 引き止め行為には、いわゆる引き止めポイントと呼ばれるような、転出せずに元の事業者を使い続ける際の機種変更などに使えるポイントなどの利益提供だけでなく、契約中の事業者の既存プランへの説明も含まれる。

競争ルールの検証に関する報告書案へのパブリックコメントを公開

 このほか、同WGがまとめた「競争ルールの検証に関する報告書 2020」(案)に対するパブリックコメントの結果を公表した。

 パブリックコメントへの意見受付は9月9日から10月8日で、法人・団体から14件、個人から30件の合計44件の意見が提出された。

 携帯電話サービスに関連する内容では、総務省による割引の規制によって5G対応端末の価格が高止まりすると5Gサービスが普及しない懸念があり、5G対応機種については割引の規制対象外とすべきとする意見が出された。

 その他、端末価格における「頭金」が、一般的な商取引における「頭金」と異なる意味で用いられるため混乱を招くという報告書の指摘に対しては、端末の販売価格は代理店ごとに異なることをカタログなどで周知するなど、消費者が混乱しないように通信事業者側で対応する方針という。

 また、eSIMの普及に関する総務省のスタンスは、「eSIMについては公正競争上環境の確保及び利用者利便の向上の観点から、MNOのRSP(Remote SIM Provisioning)機能の開放に対する具体的な障壁となる課題があれば、総務省においてその課題解決に向けて速やかに検討を進めることが適当であるとと考える。」としており、普及を推進する考えを示している。