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NTTとKDDI、社会課題解決で連携――災害時に船舶を共同活用で迅速な復旧支援目指す

 NTTとKDDIは、災害復旧など社会課題の解決に向けて連携協定を結び「つなぐ×かえる Project」を立ち上げた。今後、両社が保有するケーブル敷設船などを活用した共同での災害復旧や防災活動などを実施する。

左=NTT 沢田氏 右=KDDI 髙橋氏

 具体的な取り組みとしては、災害時にNTTのケーブル敷設船「きずな」と「SUBARU」、KDDIの「KDDIオーシャンリンク」、「KDDIケーブルインフィニティ」を用いて両社の車載型基地局や可搬型基地局に加えて、被災者に向けた水や食料等の救援物資を運搬する。

 2018年に発生した北海道胆振東部地震において、支援のために長崎を出港したきずなは途中、横浜で物資を搭載し北海道へ到着するまで3日ほどの時間を要したという。今回の連携により、1隻の船に両社の物資を搭載することでさらに迅速な支援が見込める。

 KDDI 代表取締役社長の髙橋誠氏は「陸路での物資輸送が困難な場合、特に効果が見込まれる」と共同での船舶運航への期待を寄せる。

 またこの他にも、被災地での障害物の除去など物資輸送以外でも早期の復旧に向けた連携を検討していくという。さらに、平時においても両社で防災訓練の共同実施や災害用伝言ダイヤルの活用を促す啓発活動など、防災への取り組みでも連携する。

 NTT 代表取締役社長の沢田純氏は、新型コロナに伴いソーシャルディスタンスの確保と経済活動の活性化が同時におき、分散型の社会が到来しつつあると説明。加えて、新型コロナによるヒト・モノ・カネの移動が滞り、これまでに進んできたグローバリズムと自国ファーストが組み合わさり、「ニューグローカリズム」が発生すると推測する。

 そうした中で、公共性の高い通信会社として企業環競争のみならず公共性という面での強力が重要になると説明。競争と協力の同時実現こそが「持続可能な社会の実現」へとつながると語った。

 今後、両社が協力する分野には、環境問題、労働環境、通信の健全利用なども含まれる。こうした分野についてKDDI髙橋氏は「我々に課された使命は非常に大きい。さまざまな社会課題に対してNTTとKDDIの強みをもって課題解決に貢献する取り組みを検討したい」とした。