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KDDIの第1四半期決算、秋以降に5G展開を再始動させる

 KDDIは、2021年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は1兆2427億円、営業利益は2907億円となった。通期進捗はそれぞれ23.7%と28.2%となった。

 営業利益の増減要因としては、成長領域が206億円増えたものの、新型コロナウイルス感染症の影響などにより端末の販売台数が大幅に減少した。コロナウイルスによる店舗の臨時休業などで端末販売コストが減少したが端末販売粗利も減少した。

1Q連結業績
増益要因
新型コロナウイルス感染症の業績影響

5G展開は秋に再始動させる

KDDI 代表取締役社長 髙橋 誠氏

 KDDI 代表取締役社長の髙橋 誠氏は端末の販売台数に関して、前年同期比から45万台減少していることを明らかにしたうえで、4Gから5Gへの移行がうまくいっていないとコメントした。

 5Gスタートの段階で新型コロナウイルス感染症の感染拡大で出鼻をくじかれた格好だが、KDDIとして焦りを感じているという。

 新型コロナの情勢はまだまだ見通せないが、これまで5G関連で中止になってきたイベントやプロモーションをこの秋以降に再始動する形で再始動させていきたいとしている。

テレワークの増加でライフデザインサービスが増収

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策として、テレワークの推進や外出自粛があった。需要増と、電気仕入れ価格の低下の影響でauでんきの伸びが大きかった。

 また、外出自粛の影響でauスマートパスプレミアムの会員数も順調に増加しているとコメント。6月末には会員数1000万ユーザーを突破したという。

今後は5Gの推進と働き方改革への対応

 KDDIは今後も5G推進を加速させるために購入しやすい価格の端末の投入などをすすめるとしている。また、IoT事業を展開するソラコムがIoT機器向け5GのMVNO事業を開始する。ユースケース創出の促進や低遅延アプリケーションの実証実験を行う。

 また、働き方改革や新型コロナによるテレワーク需要は大企業から中小企業にも広がっていると考えている。このため、セキュアな労働環境の提供やKDDI自身がクラウドサービスを実践し、顧客獲得につなげていきたい考えを示した。

テレワーク需要の高まり
新たな働き方を支えるデジタルトランスフォーメーション

 このほか、KDDIの新しい人事評価制度と働き方改革を行う。非通信分野などさまざなな事業を行っていく中で、数年前から計画してきたという。

KDDIの新人事制度と働き方改革

主な質疑応答

――31日早朝、次期iPhoneの販売が数週間遅れるとコメントがあったが、KDDIの業績に影響をあたえるか。

高橋氏
 実際の発売時期は確認できていないが、iPhone発売の遅れはそれだけ販売できる端末数が少なくなるということ。
 5G対応有無は定かではないが、5G対応だった場合はかなり力を入れて販売していくことになる。

――決済金融取扱高だが、2020年3月期4Qに比べると若干下がっている。決済件数は順調に増加しているようだが、これは高額決済が減って少額決済が増えたということか。

高橋氏
 2020年3月期4Qでは、かなりのキャンペーンを打って促進してきた。総額では落ち着いてきているが、件数は着実に増加している。

――KDDIジョブ型など新しい人事制度や働き方を取り入れるようだがそのねらいについて。

高橋氏
 KDDIの働き方改革は新型コロナウイルス感染症の発生前から計画・検討してきたものでコロナとは直接関係ない。ただ、新型コロナの感染拡大が起こってきたため、それを加速する形で動いてきた。

 時間や場所にとらわれない働き方を推進するとともに、プロフェッショナルの人材を育成また採用するために、KDDIの特色を交えた人事評価制度としている。

――米国においてファーウェイ製品に対する規制が強化されているが、KDDIの通信網においてファーウェイ製品の対応状況は。

高橋氏
 端末に関して、4Gスマートフォンでファーウェイ端末を採用しているが、5Gスマートフォンについては、ファーウェイ端末の採用は決まっていない。

 端末の採用については、是々非々で対応していく。

 通信設備については、国防権限法により中国5社の通信設備は使用していない。国防権限法は非常に重要な法律であると理解している。慎重に対応していきたい。

――端末の販売台数に関して、前年同期比45万台減となっているようだが、今後も販売台数の減少が続きそうか。また、販売台数の減少は、コロナだけでなく完全分離料金政策の影響もあるのではないか。

高橋氏
 まず、4~5月にかけて緊急事態宣言が出されたため、auショップも実店舗の業務縮小とオンラインストアへの案内を行ったが、それでも販売台数が減ってしまった。この要因として一番大きいのはコロナであると分析しているが、事業法改正の影響についてはこれから精査していく。

 販売状況については復調しつつある。新型コロナの感染状況にもよるが勢いは取り戻してきていると考えている。5G対応端末も続々と登場してきており、5Gの展開に関して世界に取り残されないよう、しっかりと取り組んでいきたい。

――UQ mobileがKDDIのブランドとして取り入れられるが、auは大容量でUQは中容量を利用するユーザーに向けてという棲み分けは今後より明確にしていくのか。

高橋氏
 KDDIではauとUQのダブルブランドで事業をすることになる。

 auは5Gや安定した品質や在宅勤務などへの対応需要やエリアの広さ、通信容量無制限、高速通信を求めるユーザー向けに展開する。

 UQは、とにかく低価格で使用したいユーザーやサービスにあまりこだわらないユーザーをターゲットに低廉な料金でサービスを提供する。

 この2ブランドをうまく棲み分けしサービスを提供していく。料金プランについても工夫してユーザー需要に応えるようにしていく。

ダブルブランド戦略

――5Gのエリア展開の進捗はどうか。ソフトバンクと共同で基地局展開するため5G JAPANが設立されたがそれにより基地局展開は加速されるのか。

高橋氏
 基地局の工事は順調に進んでいる。当初の計画からかなり前倒しで進めているほか、既存周波数の5Gへの転用を含めるとかなり速い展開ができていると考えている。

 また、ソフトバンクと共同での基地局展開は、地方や遠隔地を中心に協力していく。共同で設置する基地局も見えてきたためまもなく工事にとりかかれる。

――Pontaポイントとの統合についてどれほどの効果があるのか。

高橋氏
 auユーザーのPontaポイントとの紐付けは順調に進んでおり、またauユーザー以外のPontaユーザーがau PAYを利用するユーザーの引き止めにもつながっている。

 また、ローソンと協力し還元キャンペーンを打ち出している。ローソンにとってもau PAY利用のほうがほか(の決済方法)よりも使っていただいているようなので、お互いにウィンウィンな関係となっている。

 これらの効果については、これから明らかになってくると考えている。

――販売台数の減少について、楽天モバイルのMNO化も要因の一つではないか。

高橋氏
 前回の決算発表時、楽天モバイルはMVNOだったがそこから大きな変化はない。

 楽天モバイルユーザーの多くは2台持ちのユーザーが多いのではないかと考えている。販売台数未達の直接の原因とは考えていない。

――新型コロナ前から人事評価制度の改革を計画していたようだが、新型コロナの現在の在宅勤務などで新しい課題はみえたか

村本氏
 ビジネス環境が大きく変化していることから計画していたもので、コロナウイルスとは直接関係しない。

 KDDIでは非通信分野やイノベーション創出など新しい事業を展開していくなか、多種多様な専門性を持った人材が必要だと考えている。そのような人をひきつけられる人事制度にした。思い切った処遇制度の見直しも実施しており、採用競争力を強化していく。

――端末の販売単価の減少は見られたか

村本氏
 当期ではiPhone SE(第2世代)がかなりシェアをとっていたため単価は下がっている。

――景況感が後退している中、これまでと同様の価格帯の端末が売れていくか。5G展開を加速させるため、国に販売奨励金の増額などを求めていくのか。

高橋氏

 5Gスタート時の端末価格はやはり高いものが多くなってしまう。5Gを広げていくために、もう少し安価なラインナップを用意していく。

 日本の5G展開は、諸外国と比較して若干後手に回っている。どうやったら5G展開を加速できるのか総務省と相談していきたい。販売奨励金の問題だけではないので、KDDI自身の努力をアピールしながら、早く展開できるよう取り組んでいく。