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ソフトバンクの新型コロナ抗体検査、店頭スタッフの陽性率0.04%に孫氏「良い意味で驚いた」

 ソフトバンクグループは9日夜、同社が実施した新型コロナ抗体検査の結果を発表した。代表取締役社長兼会長の孫正義氏らが出席したYouTubeでのライブ配信で明らかにされた。

 抗体検査は、過去の感染歴を調べるもの。ソフトバンクの調査では、医療関係者およびソフトバンクグループ社内や関連する企業のスタッフが対象。たとえば医療関係者のなかでも、受付・事務、医師、看護師といった形で属性を分けたデータが用意され、歯科医のデータも明らかにされた。

店頭スタッフの陽性率は0.17%

 一方、ソフトバンクグループの関連企業内での調査では、一例としてプロ野球球団の福岡ソフトバンクホークス関係者は陽性者がゼロと報告。

 さらにソフトバンク内の結果を見ると、人と人との接触機会が多いと想定される店頭スタッフ1万9075人のうち8人が陽性だったと判明した。これは本社などオフィスワークのスタッフの陽性率(0.17%)や、コールセンターでの陽性率(0.41%)と比べて低い結果だった。

孫氏

 これに孫氏は「僕はもっと(陽性率が)高いと心配していた。事前にPCR検査で陽性と判明していたのが6名。もっとたくさんいるのでは、と思っていたが、抗体検査の結果、2人増えただけで、良い意味で驚いた」とコメント。

大曲氏

 ライブ配信に出席した国立国際医療研究センターの大曲貴夫理事長特任補佐(国際感染症センター長)は「PCR陽性の裏には、10倍20倍の感染者がいるという話を(孫氏が)知っていて心配していたのだろう。でも少ないほうに出てよかった。この数字は重要だと思う。人と人と接触が多いと一般的には感染症のリスクが多いと我々は考える。しかし一概には言えないのではないか。どういう職場環境なのか、うまく工夫するとリスクを下げられるのではないか。深堀り(データをより詳細に分析)すると見えてくるのではないか」と語った。

コールセンターで集団感染

 一方、陽性率が0.41%(7076人のうち陽性者は29人)となったコールセンター。孫氏によれば、600名勤務するコールセンターにおいて24名、感染していたという。

 孫氏は「ほかの場所の感染は5名で、そこ(集団感染が発生したものを除く)だけ見ると感染率は0.08%で、オフィスの感染率0.17%より低い。コールセンターだから危険とは断定できない。新型コロナウイルス感染症は、クラスターが発生すると怖いということがよくわかった」と述べる。

 それを受けて大曲氏は「この感染症らしい拡がり方だとすごく思う。通りすがりに、どんどん感染が広がり、社会全体に広がるという病気とはちょっと違い、発端になる人がいて、クラスターが起こりやすい環境であればたくさん患者さんが出る。その一例を見たという印象だ」と指摘していた。