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IIJ、iPhone 11やPixel 4で使える1GB300円~のeSIMサービス「データプランゼロ」

 IIJは、個人向けのデータ通信サービス「IIJmio eSIMサービス データプラン ゼロ」を3月19日10時より提供する。物理的なSIMカードを使わず、必要な情報をスマートフォンへ書き込むだけで使えるもので、月額利用料は150円(税抜、以下同)、1GBで300円~の従量制で利用できる。

 データ通信専用で、音声通話やSMSは利用できない。チャージしたデータ容量を使い切ると、自動的に追加されず手動で手続きする必要がある。音声通話は大手キャリア、データ通信はeSIMといった使い方が想定されており、たとえば月末に普段の回線の容量を使い切った後に使う、といったこともできる。

 対応機種はiPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max、Pixel 4、Pixel 4 XL、iPad Proなど。SIMロックは解除する必要がある。Apple Watchでは利用できない。

 1契約で複数枚のeSIMを発行できる。ただし1枚目のeSIMでは1GBにつき300円だが、2枚目以降は1GB/450円になる。

 データ通信量は、ベータ版と違い、余ったとしても翌月へ繰り越せない。チャージした量は月末でリセットされる形。たとえばチャージ日から30日間有効といった形での利用も、サービス開始時点ではIIJのシステムの都合上、盛り込まれていないが、同社では前向きに検討していくという。

 既存のIIJmioユーザーが、eSIMサービスへ直接乗り換えることはできないため、2回線目ではなくeSIMだけ使いたい場合は、既存回線を解約して、eSIMを別途契約する必要がある。

データプランゼロでのeSIM再発行は無料

 月額利用料150円や1GB/300円といった料金のほか、初期費用3000円、SIM発行手数料は200円。最大10GBまでチャージできる。

 ちなみに、eSIMの再発行手数料は0円に設定されている。これはベータ版で、「調子が悪いとeSIM情報を含めリセットする」人が多かったため。そうした場合でも気軽に利用できる形とした。

 そのため極端な例ながら、eSIM対応機種を日替わりで使う、といったこともできる。

これまでのベータ版も継続

 これまで提供されてきた「ライトスタートプラン(eSIMベータ版)」(6GB/月額1520円)は引き続き提供される。

 なお、SIM再発行手数料は2000円から0円へ改定される。

申し込みの流れ

 ビックカメラなどでパッケージを購入した場合も含め、手続きはIIJのWebサイトで申し込む。

 まずは初回チャージの通信量を選ぶ。このときゼロを選ぶこともできる。オプションサービスを利用するかどうか、利用者が契約する本人かどうかなどを入力。

 スマートフォンでeSIM情報を読み込ませるためのQRコードは、会員ページに表示される。

 こうした手続きのため、eSIMを使う端末だけではなく、QRコードを表示するためのパソコンなどが別途必要。

 たとえばビックカメラでeSIMのパッケージとともに、SIMフリーのiPhone XSを購入するといったユーザーに向けて、設定を支援するサービスも提供する。

大手にはできないことをIIJがやる

 サービス開始にあたり、IIJ MVNO事業部長の矢吹重雄氏は、eSIMサービスについて「スマホの新たな利用シーンを提供する」と意気込みを示す。

 同氏は「大手キャリアにないサービスを提供することがIIJのミッション。通信やネットワークサービスは、5G時代にあたり、用途が広がるべき。大手キャリアだけでは“つまらない”。多様性のあるサービスを展開したい。第1弾としてeSIMの正式サービスをスタートさせることになった。まだまだ発展途上であり、個人だけではなく法人でも展開したい。まずは個人向けのIIJmioから提供することになった」と説明する。

 これまでIIJでのeSIMサービスのベータ版は直販でのみ取り扱われてきた。今回の正式サービス化にあわせ、ビックカメラやOEM展開するMVNOサービス、販売代理店を通じてパッケージが提供される。

 QRコードから契約できるというeSIMサービスは「いろんなシーンで、いろんな販売方法が考えられる。販売チャネルにも期待している」と矢吹氏は語り、今後への期待感を示した。

ベータ版の利用傾向

 2019年7月からeSIMサービスのベータ版として「ライトスタートプラン」を提供してきたIIJ。MVNO事業部コンシューマサービス部長 亀井正浩氏によれば、その申し込み件数はこれまでに1万4000件に達した。音声通話の利用が多い中で、この利用件数はIIJにとっても驚きだったという。

 そのユーザーは、9割が男性。40代が多いが、IIJの他のサービスと比べ、20代~30代が多かった。この背景にeSIM対応機種としてiPhoneを利用するユーザーが多いためでは、と亀井氏。

 そうした利用背景や、ユーザーからの声を踏まえ、プリペイドのような形でのニーズが高いと判断。月額150円で、1GB300円というプランに決まった。主回線は大手キャリア、副回線としてデータ通信だけIIJのeSIMを使ってもらう、といったユースケースを提案していくという。

 ビックカメラのデジタルコミュニケーション本部通信事業部長の平賀直也氏は「まだ対応機種も少なく、サービス開始からすぐ購入していただけるか、正直、難しいと思っている。どれだけのお客様がeSIMのことを理解してすぐ手にとっていただけるか。しかし電気通信事業法の改正といった流れがあること、ビックカメラは情報発信基地であるべきという思いもあり、まずは取り組もうと考えた」と語っていた。