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Bluetoothの新音声規格「LE Audio」、新コーデック「LC3」採用やマルチストリーム・ブロードキャストに対応

 Bluetooth SIGは、次世代のBluetooth Audio技術「LE Audio」の最新情報を公開した。

「LE Audio」

 LE Audioは、新コーデック「LC3」の採用や、複数台へのマルチストリーム機能「マルチ・ストリーム・オーディオ」、周辺デバイスへの一斉配信が可能な「ブロードキャスト・オーディオ」をサポートする。オーディオ品質の向上だけでなく、補聴器用の機能も追加した。

 Bluetooth 5.2で導入された新技術「LE Isochronous Channels」(LEアイソクロナス チャネル)によって実現した。Bluetooth LE(Low Energy)無線でデータのアイソクロナス転送を可能としたことで、低消費電力の実現だけでなく、シングルモードでワイヤレスのデータ転送とオーディオストリーミングの両方に対応したデバイスが開発できるようになるという。

 LE Audioの登場により、従来のBluetooth Audioは「Classic Audio」となり、Classic AudioとLE Audioモードが共存するかたちとなる。Classic AudioはBluetooth Classic Radio(Bluetooth BR/EDR)で動作する一方、LE AudioはBluetooth LE Radioで動作する。

Bluetooth AudioはClassic AudioとLE Audioに

 コーデックには低ビットレートでも高音質という「LC3(Low Complexity Communications Codec)」(低複雑性コミュニケーションコーデック)を採用する。Classic Audioが採用するコーデック「SBC」に比べて高効率化し、最大345kbpsのSBCと同等の音質を、160kbpsのLC3で実現できるという。

345kbpsのSBCと同等の音質を160kbpsのLC3で実現可能に

 LE AudioとClassic Audioは共存が可能で、仕様上は1つの製品で両方の規格に対応できるが、接続する機器どうしは同じ規格を使用する必要がある。LE Audioでは、LC3への対応が必須となるが、他のコーデックをオプションとして用意することや、カスタムコーデックの使用は可能。

 「マルチ・ストリーム・オーディオ」機能をサポートする。1つのオーディオソースデバイスから複数のオーディオストリームを送信し、1つ以上のオーディオシンクデバイスに独立して音声を送信できるようになる。たとえば、左右分離型のBluetoothイヤホンの場合、現在は片耳側のイヤホンを中継器として利用し、もう片方へ転送する形式だが、LE Audioではスマートフォンから左右それぞれに直接接続できるようになる。

Classic Audioではシングルストリーム接続
片方のイヤホンが中継機として動作
LE Audioはマルチストリーム接続に対応
左右それぞれに直接接続できるように

 「ブロードキャスト・オーディオ」機能は、台数制限なくオーディオデバイスに音声を伝送できる。範囲内であればどのデバイスでも参加できる設定と、定められたパスキーを入力したデバイスのみが参加できる設定を選べるという。

周辺のデバイスにまとめて配信できる「ブロードキャスト・オーディオ」に対応

 補聴器向けの機能も用意されており、省電力かつ高音質、マルチストリーム対応といった特性を活用し、スマートフォンなどの機器の音声を直接聞きやすくなるといった効果的な補聴器を開発できるようになるという。

補聴機能も搭載