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PayPay中山社長、40%還元で「キャッシュレスをより身近にする」
2020年1月17日 18:27
累計登録者数が2300万人、1カ月に1億決済
2018年11月に登場した「PayPay」は100億円還元キャンペーン、全国での営業拠点展開による導入店舗の急拡大などの取り組みにより、累計登録者数が2300万に達した。対応店舗も大手チェーンだけではなく、さまざまな規模の店舗・事業者での導入が進む。
たとえば小規模な店舗に対しては、当初は全国に設けた営業拠点からスタッフが訪問。勧誘して対応店舗にするという流れの中で、2019年10月から提供する「PayPayスマートスタート」により加盟店として、その日のうちにPayPayを導入できるようにした。
全国での地道な営業展開、スピーディな加盟店増加の仕組み、そしてキャンペーンを重ねて実施することでユーザーが増加。環境が整うことで、営業スタッフが訪れる前に、店側からオンラインでPayPay加盟店へ申し込む流れも盛り上がっており、累計の個店申込数は80万を突破。さまざまな施策の積み重ねにより、ユーザー数や店舗数を拡大させてきた。
その結果、サービス開始から約1年を経た2019年12月、単月での決済回数が1億回を超えた。
PayPay側では、ユーザーから得られるデータはどの店でいくら使ったか(決済額)程度であり、ユーザーの性別や年齢までは(Yahoo!IDなどとの連携がなければ)得られない。中山社長は、PayPayの事業展開において最も重要視する指標(KPI)としてトランザクション(決済処理)の数を挙げており、今後も利用できる場面を増やし、利用したいと思わせる機能やサービスを追加することで「スーパーアプリ」を目指すとした。
キャッシュレスをより身近に
2月のキャンペーンは、毎月行う「いつもどこかでワクワクペイペイ」と題する一連のキャンペーン施策として行われる。
上限額はあるものの40%という還元率はこれまでにないインパクトのあるもの。はなまるうどんであれば319円のうどんが実質192円、松屋の牛めし380円は実質228円と大幅に安くなることが紹介され、各社の代表も登場して意気込みをコメントした。
こうしたキャンペーン施策はどういった考え方で進められているのか。PayPayの中山社長は、サービス開始当初は認知してもらうこと、その次は普段よく行く店で使ってもらうこと、そして消費増税後の2019年10月以降は増税後の負担感が増すなかでキャッシュレスのオトク感をアピールすることが狙いだったと紹介。
その上で、まだPayPayを使ったことがない人、そして既存ユーザーに向けて、PayPayを使うきっかけ、そしてキャッシュレスサービスをより身近に感じてもらうための施策として今回、40%還元を打ち出すことになった。
登壇したキャンペーン対象店舗企業のなかでも、吉野家常務取締役の伊東正明氏は「これほどの規模の還元はこれまでなかった。すき家、松屋、吉野家が同じキャンペーンに乗るのは史上初。お客を(他社に)取られないために参加したのではなく、外食を利用するきっかけにになって欲しいと考えた。ともにキャッシュレスを盛り上げたい」と語り、サービス普及に邁進するPayPayと、互いにメリットのあるキャンペーンであることを紹介した。
スピーディに事業を展開してきたことが、現在のユーザー数や加盟店数に繋がっているのでは、と振り返る中山氏は今後も、週に1回以上という他社にはないペースでプロダクトの改善を図る考えを示す。購買データの活用はまだ考えておらず、次なる展開として、金融サービスの導入のほか、いわゆる事前注文(モバイルオーダー)機能の導入にも意欲を見せる。
本誌では別記事でご紹介している金融サービスについては、今回初めて方針を明らかにしたもの。中山氏は「マルチパートナーでオープン化で展開したい。非常に重要な意思決定だ。自社サービスにこだわらず、ユーザーにとって一番良いサービスを提供する」と述べ、その意義を強調した。
また、3月には、具体的な店舗名や還元率は控えつつ、スーパーマーケットでのキャンペーンを実施することも明らかにされた。