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5Gは「UNLIMITED WORLD」、KDDIが描く制約のない世界

 KDDIは28日、「au UNLIMITED WORLD」を開催した。発表の中では、5G時代に同社が展開する新たなサービスを含めた世界観が説明された。

ピカピカの4Gとスペシャルな5Gでスタート

 発表には、KDDI 代表取締役社長の髙橋誠氏が登壇。いつでもどこでもつながる5G時代にKDDIが標榜する「UNLIMITED(アンリミテッド、制約がないこと)」な世界について語った。

髙橋誠氏

 5GではSub6帯で100MHzを2枠、28GHz帯で400MHzの計600MHzを獲得したKDDI。髙橋氏はアグレッシブなプランのおかげで一番いい枠をもらえたと語る。

 5G開始直後から数年は、4Gと5Gを組み合わされた形になる。そのため、5G時代の黎明期に重要になってくるのはむしろ4G基地局であり「ピカピカの4Gネットワークをつくりあげる」という。

 これについて髙橋氏は、ハイブリッド車をたとえに出し、どこまでもいけるガソリンに加えて、EVの素晴らしさが加わったのがハイブリッドだとした上で、ネットワークでも同じことであると語る。とはいえ、4Gのエリアカバレッジはほぼ問題がないため、現状としては、来たる5Gのために4Gネットワークの品質の整備を積極的に行っているところだという。

5Gで「UNLIMITED」な世界へ

 5G時代には、大量のデータを瞬時に扱い、つながり続ける毎日が実現する。KDDIでは5G時代を「au UNLIMITED WORLD」という世界観で表現する。これまでの制約から開放され、本当の意味でのUNLIMITEDな時代がやってくると髙橋氏。

 その意気込みはKDDIが今回発表した新料金プラン「au データMAXプラン Netflixパック」にも現れている。同プランは従来の「au データMAXプラン」では、20GBの制限があったものの新プランでは、無制限となり料金も大きく抑えられた。(関連記事)

 今回のNetflix(ネットフリックス)との連携は今後、そのほかのコンテンツプロバイダーともあり得るとした。実際にいくつかの企業と話が進んでいるという。また、スマートパスプレミアムでも行っているコンテンツ配信を「au Wowma!」でも、検討しており、「au Wowma!」をすべての体験価値にアプローチできる場にしたいと髙橋氏。

 合わせて、5G開始以降に実現するものとして「新リアル体験」を掲げており、5G時代には、日本全国各地で5Gを活用した体験を提供していく。今回の場で発表されたのは、主にスポーツと街についての取り組み。野球場やサッカー場などで、5G、IoTでの新たなサービスの提供を目指し、パートナーシップ提携を行っている。(関連記事)

 また、街での取り組みとして渋谷でARを活用した観光推進も実施する。これはスマホカメラで街を見ると、店舗情報などを見ることができ、それだけでなくARオブジェクトが渋谷の空を浮遊する新たな試み。(関連記事)

 なお、5G技術を活用した新たな体験価値の一例として、11月2日には「DRONE TOKYO 2019」においてKDDIはドローンレースを開催する。

 「UNLIMITED WORLD」の恩恵は5Gスマートフォンのユーザーだけが受けられるものかという質問に対して、KDDIでは、4Gをベースに5Gエリアにくることでさらに進んだ体験ができるという仕組みをイメージしており、4Gユーザーでも新しい世界を体験できるとした。

 最後に髙橋氏は、新しいプレイヤーを交えて、5Gで世界に遅れを取らないように頑張っていきたいと5G時代に対しての意気込みを語った。

このタイミングで発表した意味とは? 既存プランの違約金・差額はどう扱うのか?

 会場では記者からプランについての質問が多く上がった。

左から次世代ビジネス企画部長 長谷川渡氏、代表取締役社長 髙橋誠氏、ライフデザイン事業本部 ライフデザイン事業企画本部 ビジネス統括部長 繁田光平氏、

 楽天が発表を控える中で新たなプランを発表した理由については、5Gに対しての意気込みを示すため。当初「プレ5G」としていた名称を「UNLIMITED WORLD」としてそれを発表する場には何か具体的なものが必要と考え、今回の発表に至った。また、楽天については発表を待ち、対応が必要なものであればその都度行っていくとしている。

 また、テザリングには制限がある今回の新プランについて、今回の世界観とマッチしないのではないかという指摘に対して、スマートフォンでの利用を想定しているためと髙橋氏。利用動向からするとテザリングの利用率は2割程度と少なく、今回はスマートフォンで使える「UNLIMITED」なサービスとしたという。世界データ定額の上限も2GBとなるが、それも利用率の少なさからだという。4000円台の料金を実現するためのトレードオフの結果が今回の制限となった形だ。

 テザリングが2GBでは少なすぎるという声に対しても、そうした意見が上がるのはある程度予測はできていたが、大多数のライトユーザーに合わせたのが今回のプランであるとした。

違約金1000円でユーザーの流動性が上がる

 また、違約金が1000円であることについても、質問が上がった。

 違約金が1000円となった経緯については、総務省の決定のためでとりあえず今回は許されている上限の1000円でという形になったという。辞めやすさにつながるのではないかという指摘も上がったが、辞めやすいというのはユーザーが移動しやすくなることにつながっており、結果的に離れていったユーザーがまた戻ってこれる環境でもあるとした。

 加えて、既存の料金プランは違約金と2年契約の差額が新たな規制に適合しないが、そうした部分については、調整した上で9月中には案内があるとした。