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農業にドローン、タブレットで花火プログラム――KDDI、喜多方市のイベントで
2019年6月24日 06:00
子供向けの職業体験イベントで、ドローンをプログラミングし農業に活かしたり、タブレットを使って花火師として花火の仕掛けを考える。そんな「未来の職業体験」が、6月22日、23日に福島県喜多方市のイベント「きたかたおしごと広場」が開催された。
KDDIでは、1月、喜多方市と連携協定を締結。地域活性化に向けた取り組みを進めている。その一環として今回、「きたかたおしごと広場」にKDDIがブースを構えて、新たな形の職業体験を提供することになった。
花火の仕掛け設計とドローンプログラミング
今回体験できたのは、音楽とともに楽しむ新たな花火の形である「芸術花火」をタブレットで組み立てるというものと、農家での活用を想定したドローンのプログラミングの2つ。
花火は、まず火薬を詰めて花火玉(煙火玉)を作るところからスタート。といっても、本物ではなく、子供用の模造品。完成すれば、タブレットの操作に移り、花火大会の名前を決めて、花火のデザインを決めていくという流れ。
タブレットでは、ハート型など、ひとつひとつ異なる花火打ち上げ時の形が再生され、いわば事前にシミュレーションを重ねて好みの花火大会を作り出せる。担当者によれば、花火師の中でも、最近ではこうした形でタブレットの活用をしているところもあるという。
いちご農家にドローン
もうひとつの職業体験は、ドローンのプログラミング。ドローンに対して、発進・浮上して前進、右へ90度回転、撮影、そして左へ90度回転――と一連の動作を入力するという形。ドローンが自動的に発信して、農作物を撮影、また戻ることを目指した。
これは、いちご農家において、成熟状況を人の目ではなく、機械の力を借りて行うという利用シーンを想定したもの。広い農場であっても、人力に頼ることなく効率的な作業が期待できる。
地元へ愛着を持ってもらえるように
会場となった喜多方市は、大規模な花火大会でも知られており、市内には煙火業を営む企業もいることから、KDDIでは今回、花火師を体験できるコーナーを設置することになった。
同じように、喜多方市は農業が盛んな土地柄ということで、農業での活用を想定したドローンプログラミングも用意された。
喜多方市の上野光晴副市長は、少子高齢化が課題になる中で18歳になると、大学進学などで喜多方市を離れる子供が多いと説明。自分の郷土に愛着を持ってもらうための取り組みを進めているとのことで、「子供たちへ、喜多方を好きになってもらい、喜多方で仕事をしたいと思ってもらえるようにしたい」と語る。
KDDI東北総支社長の松嶋伸一郎氏も「KDDIの支援を地域活性化に結びつけたい」とコメント。
KDDIのauスマートパス推進部の大野高宏部長は、昨年10月、子供向けの職業体験施設「キッザニア」を運営するKCJ GROUPをKDDIに迎えたことに触れて、今回のブースでもキッザニアの監修を受けたと紹介。「地場産業の面白さを体験してもらいたいと考えた。5Gやプログラミングなどが地場産業を変えていくことを体験してほしい」と語る。
KDDIにとっては、いわゆるSDGs(持続可能な開発目標)、社会貢献活動のとして取り組みを進めている。その一方で、教育とICTを組み合わせた新たな事業の開発にも取り組んでいる。
会見後、大野氏は、自治体やキッザニアとの連携による取り組みでは、目標のひとつとして「キッザニアが直接携わらなくとも開催できるようになること」と説明。ICT活用とキッザニアの知見を融合させて、さまざまな自治体で同様の取り組みが進むことに期待感を示す。また実際にこうしたイベントを開催することで、自治体側など地域の人にテクノロジーがもたらす新たな可能性を実感してもらえるとのことで、ビジネスとしての展開にも期待できる、と語っていた。