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ドコモの新プラン、本当に安くなる? 「iPhone XS」で比較してみた
2019年5月22日 14:16
4月に発表されたNTTドコモの新料金プラン「ギガホ・ギガライト」。従来と比べると、「シェアパックがない」「月々サポートやdocomo withなど端末購入補助割引が適用されない」など、料金プランの仕組みが大きく変わっています。
また、5月16日には端末代金の負担額を減らすための「スマホおかえしプログラム」、ユーザーの買い替えサイクルが36ヶ月以上と長期化していることを鑑みて「36回払い」の追加が発表されるなど、同時にさまざまな変化があり、「結局安くなるのか、高くなるのかイマイチわからない」というユーザーも少なくないようです。
そこで今回、各料金プランや本体価格を含め、毎月の利用料にどれだけの差が出てくるのか試算してみました。
通信料だけなら新プランが安い
まずは一切の割引や本体代金を含めず、新プランと現行プランでの差額を確認していきます。
従来プラン | ||||||
データ容量 | 1GB | 3GB | 5GB | 20GB | 20GB | 30GB |
基本使用料 | 980円 (シンプルプラン) | |||||
ウェブ利用料 | 300円 (spモード) | |||||
データ使用料 | 2900円 (ベーシックパック) | 4000円 (ベーシックパック) | 5000円 (ベーシックパック) | 7000円 (ベーシックパック) | 6000円 (ウルトラデータLパック) | 8000円 (ウルトラデータLLパック) |
合計(税込) | 4514円 | 5378円 | 6458円 | 8618円 | 7538円 | 9698円 |
新プラン(ギガホ・ギガライト) | |||||
データ容量 | 1GB | 3GB | 5GB | 7GB | 30GB |
基本使用料 | 2980円 (ギガライト) | 3980円 (ギガライト) | 4980円 (ギガライト) | 5980円 (ギガライト) | 6980円 (ギガホ) |
合計(税込) | 3218円 | 4298円 | 5378円 | 6458円 | 7538円 |
従来プランとの差額 | -1296円 | -1080円 | -1080円 | - | -2160円 |
新プランと現行プランで「同じデータ容量」が利用できるプランを選択した場合の差額も出していますが、各容量における通信料は「最大4割の値下げ」をうたう新プランの方が安くなっています。
本体価格を含めると……?
これだけ見れば「新プランを選んだ方が安くなる」となりますが、多くのユーザーは「本体代金を分割で支払い、毎月の利用料と共に支払う」ため、続いて本体代金も含めた金額を出していきます。
ここでは、iPhone XS(64GB)を例に試算しました。なお、本体価格や月々サポート(端末購入補助)は5月21日時点のドコモオンラインショップの価格を参照しました。
従来プラン | ||||||
データ容量 | 1GB | 3GB | 5GB | 20GB | 20GB | 30GB |
基本使用料 | 980円 (シンプルプラン) | |||||
ウェブ利用料 | 300円 (spモード) | |||||
データ使用料 | 2900円 (ベーシックパック) | 4000円 (ベーシックパック) | 5000円 (ベーシックパック) | 7000円 (ベーシックパック) | 6000円 (ウルトラデータLパック) | 8000円 (ウルトラデータLLパック) |
端末購入補助 | -2457円 (月々サポート) | |||||
本体代金 | 5373円 iPhone XS(64GB)(24回払い) | |||||
合計(税込) | 7430円 | 8294円 | 9374円 | 1万1534円 | 1万454円 | 1万2614円 |
新プラン(ギガホ・ギガライト) | |||||
データ容量 | 1GB | 3GB | 5GB | 7GB | 30GB |
基本使用料 | 2980円 (ギガライト) | 3980円 (ギガライト) | 4980円 (ギガライト) | 5980円 (ギガライト) | 6980円 (ギガホ) |
本体代金 | 5373円 iPhone XS(64GB)(24回払い) | ||||
合計(税込) | 8591円 | 9671円 | 1万751円 | 1万1831円 | 1万2911円 |
従来プランとの差額 | +1161円 | +1377円 | +1377円 | - | +297円 |
本体価格を含めた場合、今度は従来プランの方が安く利用できます。
ここの鍵となるのは端末購入補助の「月々サポート」で、本体代金の半額近い金額を通信料から割り引くことでユーザーの通信料・本体代の負担を低減してくれるのですが、この割引は5月31日で受付終了となるため、6月以降は「従来プランが安い」とは言えないのです。
36回払いで月々の負担は軽く
このままでは値下げしたはずの新料金プランが事実上の値上げとなってしまいます。
そこでスマートフォンの買い替えサイクルが3年以上と長期化していることに着目し、NTTドコモは6月1日から端末代金の分割支払い回数に「36回払い」を追加します。
36回払いを選択することで毎月の本体代金の支払いは小さくなるため、月々サポートやdocomo withが適用されない新プランの方が「トータルは安くなる可能性」が高くなります。
従来プラン | ||||||
データ容量 | 1GB | 3GB | 5GB | 20GB | 20GB | 30GB |
基本使用料 | 980円 (シンプルプラン) | |||||
ウェブ利用料 | 300円 (spモード) | |||||
データ使用料 | 2900円 (ベーシックパック) | 4000円 (ベーシックパック) | 5000円 (ベーシックパック) | 7000円 (ベーシックパック) | 6000円 (ウルトラデータLパック) | 8000円 (ウルトラデータLLパック) |
本体代金 | 3582円 iPhone XS(64GB)(36回払い) | |||||
合計(税込) | 8096円 | 8960円 | 1万44円 | 1万2200円 | 1万1120円 | 1万3280円 |
新プラン(ギガホ・ギガライト) | |||||
データ容量 | 1GB | 3GB | 5GB | 7GB | 30GB |
基本使用料 | 2980円 (ギガライト) | 3980円 (ギガライト) | 4980円 (ギガライト) | 5980円 (ギガライト) | 6980円 (ギガホ) |
本体代金 | 3582円 iPhone XS(64GB)(36回払い) | ||||
合計(税込) | 6800円 | 7880円 | 8960円 | 1万40円 | 1万1120円 |
従来プランとの差額 | -1296円 | -1080円 | -1080円 | - | -2160円 |
実際に36回払いで購入した場合、通信料の値下げと毎月の本体代金の負担が小さくなったことで、再び従来プランよりも新プランの方が安く利用できる結果となりました。
筆者の場合
これらを踏まえ、筆者と家族が実際の利用実態にあわせ、新料金と現行プランで今後iPhone XS(64GB)に機種変更した場合の料金は以下の通り。
従来プラン | ||||
回線種別・用途 | 筆者スマホ | 筆者タブレット | 母 | 妹 |
データ利用量 | 10GB | 5GB | 3GB | 10GB |
基本使用料 | 1700円 (カケホーダイライトプラン) | 1700円 (データプラン) | 2700円 (カケホーダイプラン) | 980円 (シンプルプラン) |
ウェブ利用料 | 300円 (spモード) | |||
データ定額料 | 1万3500円 (ベーシックシェアパック) | 500円 (シェアオプション) | ||
本体代金 | 3582円 iPhone XS(64GB)(36回払い・タブレット回線は除く) | |||
固定回線セット割 | -2500円 | |||
合計(税込) | 1万7622円 | 2700円 | 7362円 | 5504円 |
世帯合計 | 3万3188円 |
新プラン | ||||
回線種別・用途 | 筆者スマホ | 筆者タブレット | 母 | 妹 |
データ利用量 | 10GB | 5GB | 3GB | 10GB |
基本使用料 | 6980円 (ギガホ) | 1000円 (データプラス) | 3980円 (ギガライト) | 6980円 (ギガホ) |
音声オプション | 700円 (5分通話無料オプション) | - | 1700円 (かけ放題オプション) | - |
本体代金 | 3582円 iPhone XS(64GB)(36回払い・タブレット回線は除く) | |||
家族割 | -1000円 みんなドコモ割(タブレット回線は除く) | |||
固定回線セット割 | -1000円 | - | -500円 | -1000円 |
合計(税込) | 9716円 | 1080円 | 8096円 | 8960円 |
世帯合計 | 2万7852円 |
こちらの試算結果には家族複数台でドコモを利用する場合の「みんなドコモ割」と、固定インターネット回線のドコモ光とのセット割の「ドコモ光セット割」も適用し、実利用に近い割引適用状況としました。
本体代金の36回払い、月々サポートなど端末購入補助はなし、そして複数台や固定インターネット回線とのセット割まで込みにすると、家族複数台の利用でも従来のシェアパックを利用した場合よりも安くなる試算結果となりました。
当初、新料金プランは「月々サポートやdocomo withなど端末購入補助割引はなし」「本体代金を分割24回で購入」とした場合、従来プランよりも割高になるケースが多く、世間の反応としては「安くなったとは思えないプラン」という評価もありました。
36回払いやスマホおかえしプログラムの登場で従来と変わらない金額で利用できたり、実質的な機種代金の負担は抑えられるような新たな仕組みを加味すれば、従来の買い方・使い方よりも安価になります。
しかし、従来に比べ「1機種を使い続ける期間は必然的に長くならざるを得ない」「早く機種変更したければ、利用中の機種を返却(下取り)しないとお得にならない」といった部分を受け入れられるかどうかも、新プランをお得に使えるかどうかの判断基準になるかもしれません。
また、家族複数人や一人で複数台の契約をシェアパックで無駄なく利用している場合、新プランへの変更は「一台だけ」ではお得にはなりませんので、どこかのタイミングで「まとめて変更する」ともしなければ、今回試算した結果のように必ず安くなるとも言い切れません。
なんとも悩ましい価格設定にまだまだ頭を抱えるところですが「しばらく機種変更を行っていない家族がいる」「シェアパックの容量は適切かわからない」ような場合は、新プランへの変更や機種変更を検討し、一度ドコモショップで詳細な見積もりを行ってもらうなどすることで、今までよりも安くなる可能性があることは知っておくといいでしょう。
【お詫びと訂正】
初出時、「筆者の場合」の表中の項目に記載漏れがありました。お詫びして訂正いたします。