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3人以上の家族やライトユーザーなら4割安く、ドコモ新料金プランの狙い

 2018年度第2四半期の決算説明会で予告された「2~4割程度の値下げ」を実行する形で登場した、NTTドコモの新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」。15日に開催された発表会では、同社の吉澤和弘社長がプレゼンテーションや質疑応答を通して、その狙いを語った。

NTTドコモ 代表取締役社長 吉澤和弘氏

メインターゲットは「3人以上の家族」や「1GB未満のユーザー」

 「2~4割程度の値下げ」をうたう新プランだが、どのようなケースでこれまでよりも料金を抑えられるのか、プレゼンテーションの中ではいくつかの例が示された。たとえば3人家族のドコモユーザーでシェアパックを使っていて、子どものデータ使用量が特に多いといったケースの場合、「ギガホ」「ギガライト」に切り替えることで約4割の節約になるという。

 その理由の1つが、3人以上の家族・親族でドコモを利用していれば最大で1人あたり月額1000円の割引を受けられる「みんなドコモ割」。新プランは、複雑な割引条件を設けずシンプルに料金を下げることを念頭に置いて設計され、複数人でデータ容量を分け合う考え方の「シェアパック」は廃止されるが、従来とは異なる形で、家族で揃ってドコモを使う場合の割引を設けた。

 吉澤氏によれば、家族3人以上で利用しているドコモユーザーは約7割に及ぶ。適用範囲の拡大された「ドコモ光」とのセット割引も含め、既存の「ファミリー割引」グループを軸とした割引を強化することで、他社への顧客流出を抑止する狙い。

 また、ユーザーのデータ通信量と既存プランからの値下げ率を照らし合わせると、月1GB未満の場合は約4割の値下げとなっており、ライトユーザーに対しての値下げ率が特に高いことが分かる。この点に関しては、「(ドコモのスマートフォンユーザーのうち)月1GB未満のユーザーが4割」と説明。ボリュームゾーンで公約の“4割値下げ”を実現したとする。

ヘビーユーザーには“制限時1Mbps”を訴求

 一方で、「ギガホ」を選択するような大容量のデータ通信を行うヘビーユーザーに対しては、30GBのデータ容量を使い切った後も、従来の128kbpsではなく最大1Mbpsの通信速度となり、速度制限が緩和されて使いやすくなる点をアピールした。

 また、現行プランで設定されている20GBプランを設けず、ヘビーユーザー向けのプランを30GBプラン1本に絞った理由としては、プランの種類を絞ることでシンプルで選びやすい料金体系としたこと、現行の最大プラン(ウルトラデータLLパック)と同等の容量を維持しながら料金を下げることでインパクトを出したと説明した。

「はじめてスマホ割」で月980円から。スマホ移行を促進

 また、新プランとあわせて開始されるキャンペーンの1つに、ドコモまたは他社のフィーチャーフォンからスマートフォンに移行する場合に適用される「はじめてスマホ割」がある。

 4段階定額の「ギガライト」にはじめてスマホ割を組み合わせることで、1GB未満のデータ通信量であれば月額980円から利用でき、フィーチャーフォン利用者のモデルケースとなる「タイプSSバリュー+インターネット接続サービス(iモード/spモード)+パケ・ホーダイダブル」(1606円/月)といった契約内容よりも安く使えることを訴求し、スマートフォンへの移行を促進する狙い。

既存ユーザーのプラン変更のタイミングは?

 吉澤氏は、既存のドコモユーザーについては、端末購入に伴う「月々サポート」などの割引が適用されているケースも少なくないため、すぐに新プランに切り替えても安くならない場合があり、割引期間が終了したユーザーから徐々に新プランへの移行が進むだろうとの見方を示した。

 また、今回の料金体系の変更に伴う値下げの目安として「年間4000億円の還元」という規模感が伝えられてきたが、これについては既存ユーザーの新プランへの移行が進んだ段階での想定額とした。

“完全分離”や5Gを見据えた展開は?

 新プラン導入の背景として、総務省が提言した通信料金と端末代金の完全分離に向けた流れがある。

 新プランの導入にあわせて「月々サポート」「端末購入サポート」「機種変更応援プログラム」「docomo with」などが廃止されることとなるが、完全分離後の端末の購入補助については、「まったく無いということは考えにくい」として、通信契約と一体となった従来の割引方法とは異なる形で、何らかの施策を検討していることを示唆した。

 また、今回の新プランは5Gの導入を見据えたものかという質問に対しては、必ずしも5Gを先取りしたものではないと答え、通信量の増加やビット単価が安くなることも考慮しながら、他国での5Gサービスの状況も加味して新たな料金プランを策定するとした。