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2倍の強さを実現したコーニング「Gorilla Glass 6」の秘密

 2年ぶりにバージョンアップし、7月に登場したコーニングの強化ガラス「Gorilla Grass(ゴリラガラス) 6」。12日、日本で初めての説明会が開催され、スマートフォンに多く採用される同シリーズと最新モデルの実力が紹介された。

コーニング社とは

 1851年に設立され、米国ニューヨーク州のコーニング市に拠点を構える同社は、2017年の売上高は103億ドル、グローバルで4万6000人のスタッフを抱え、材料科学分野をリードする企業のひとつだ。これまでに、トーマス・エジソンの電球用ガラス(1879年)、耐熱ガラス(1915年)、有人宇宙飛行船向けの窓ガラス(1961年)など、歴史に残る製品を手がけてきた。

 Gorilla Glassは2007年より提供されている製品で、スマートフォンディスプレイ用のカバーガラス分野を切り開いてきた。同社の中でもスペシャリティマテリアルズという事業部に属している。同社の売上の51%はアジア太平洋地域で生み出されている。

 日本には、ディスプレイ用ガラスの製造販売を行う「コーニングジャパン」と、輸入販売を行う「コーニングインターナショナル」の2社があり、約900名が働く。グローバルの売上高のうち4.5%が日本という。

Gorilla Glass 6

 2007年より提供されてきたGorilla Glassシリーズ。2年ぶりのバージョンアップとなった「Gorilla Glass 6」は、「Gorilla Glass 5」の2倍の強さを達成したとされる。これは、高さ1mから粗い面へ落下させるテストで、平均15回、落下させても破損しなかったという結果が元になっている。

コーニングの渡辺氏
傷が入り、そこから傷を広げるような力がかかると割れに繋がる

 強化ガラスは、製造時、一部の材料を置き換えて強度を高める。「Gorilla Glass 6」の具体的な組成・素材は明らかにされていないが、コーニングインターナショナルシニアセールスマネージャーの渡辺亮氏は「ガラスは引っ張られる力で割れる。それに対して圧縮する力をいかに強めるか。もし傷ができても広がらないように割れを防ぐという考え方」として、強化層を厚めにするようなイメージで強度アップを実現したと語る。

簡易的な落下テスト

 ちなみに傷に対する強さは「Gorilla Glass 5」と同等とのこと。

強化層を厚くするような形
高さ1mで15回落としても破損しない

 強度アップは、すなわち、スマートフォンメーカーがもし過去のバージョンと同じ強度で良いと判断すれば、より薄く軽くした「Gorilla Glass 6」にするという選択肢もあり得る。このあたりはメーカー次第だが、最近のスマートフォンでは、ワイヤレス充電、5Gを見据え複雑化する端末内でのアンテナ配置、デザイン面での質感向上といった点から背面にも強化ガラスを採用する例が増えている。「Gorilla Glass 6」は、製品ラインアップとして0.4mm~1mmで提供されているとのことだが、また新たな価値を提供することができそう。

 これまで「Gorilla Glass 6」を採用したスマートフォンはOPPOの「R17」「R17 Pro」、ASUSの「ROG Phone」の3機種のみ。渡辺氏は「Gorilla Glass 5は急速に広がった。6もそうなると期待しているし、そういう方向に動いていると思う」と述べ、好調であることを示唆。2019年は「Gorilla Glass 6」を採用するスマートフォンがさらに多く登場するとも語っていた。

折りたたみスマホに対応できる?

 平らな板状というスタンダードな形が一般的なスマートフォンだが、近年は、2.5D、あるいは3Dディスプレイと呼ばれるような、立体的な形状が採用されるケースも増えてきている。

立体的な形状にあわせたガラス

 そうした中で、“次のスマートフォン”として近い将来、登場が期待されているのが「折りたためる(フォーダブル)ディスプレイ」を備えるスマートフォンだ。ヒンジを使ったものではなく、ディスプレイそのものが曲がるというものだが、コーニングはどう対応していくのか。

 渡辺氏は「マーケットのニーズは意識しており、曲げの発想も必要になってきている。折りたたみについては、今はまだガラスでは実現できないが、曲がるガラスは研究開発を進めている」と説明する。その際には、ガラスの薄さが125ミクロン(0.125mm)といったものになるのだという。