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孫氏が語った「AIとシェアオフィス」のちょっと怖い未来

 数多くの投資先に共通するのは「AI」だ――6日、ソフトバンクグループの2018年第1四半期決算で、孫正義代表取締役社長が、同社の展開する「ソフトバンクビジョンファンド」について、AI(人工知能)を重視していることをあらためて紹介した。

孫氏

 たとえば、日本でもサービスを提供するタクシー配車サービスでは、ニーズの高い場所をAIが学習、ドライバーに情報を提供することで、より効率的に売上を得られる、という仕掛け。

出資先
AIを利用した需要予測

 また、1つのデバイスに10、20のカメラを備える「Light」は、それぞれのカメラの焦点距離が異なり、一度の撮影で全体の風景を捉えつつ、遠くの被写体をクローズアップでき、それぞれのカメラの被写体を、自動的にAIが分析する。

多数のカメラを備えるLight

 デバイスの心臓部となるチップセットの開発を手がけるArmについても、孫氏は新たにサービスに関する取り組みをスタートしたと説明。これまではチップの設計図を手がける企業として展開してきたArmだが、そのチップにAIの機能を持たせる。さまざまなIoTデバイスにArmの技術を用いるチップセットが内蔵されることで、世界中からさまざまなデータを収集、分析していくという筋書きで孫氏は「これからのArmはAI化したチップを出荷していく。あらゆるところにバラまかれる。どれほど世の中が進化していくのか」と説明。

 さらには、シェアオフィスの「WeWork」についても、LightのカメラをWeWorkのオフィスに設置することで、同じオフィスを利用する人々が誰と会話しているかなど、人間関係を把握でき、人と人のマッチングについてもリコメンドが可能になる、という未来を描く。

WeWork

 実際には、ユーザーの同意を得ながらデータの収集や分析、可視化を進めていくと見られ、また各種データをユーザーに近い場所で処理するエッジコンピューティングの思想を踏まえたアイデアと言える。しかし、Armが現在、スマートフォンでかなりのシェアで利用されていることや、あらゆる場面での進出をアピールしたことで、やや空恐ろしさをも印象づける説明となった。