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ソフトバンクとDidi(滴滴)がタクシーのAI配車、今秋から実験
2018年7月19日 14:38
ソフトバンクと交通プラットフォームを手がける滴滴出行(Didi Chuxing、ディディ)は、スマートフォンを使ったタクシー配車サービスを今秋より提供する。
AIとデータ分析を活用した日本国内でのタクシー配車サービスを提供すべく、両社では合弁会社のDiDiモビリティジャパンを設立。今秋から大阪、京都、福岡、沖縄、東京、その他の都市でトライアルとして提供する。
新会社によるタクシー配車プラットフォームは、タクシー事業者向けの管理コンソール、ドライバーと乗客向けのアプリで構成される。
乗客向けの機能
乗客は、スマートフォンアプリでタクシーの配車を利用でき、タクシーが来るまでの時間を確認できる。運賃の支払いはアプリに登録したクレジットカード。中国版のユーザーは、日本国内でAlipayかWeChat Payを選べる。日本語と中国語の自動翻訳機能も用意される。
このほか乗車中に、家族や友人へ、DiDiアプリから現在地を知らせることができる。
運転手向け、タクシー会社向けの機能
運転手には、ヒートマップ機能が提供される。乗客が多そうなエリアをわかりやすく地図上で表現するもの。データはDiDiのAIが分析し、需要を予測したもの。今後は、15分先の需要を85%程度の精度で表示できるようにする。
運転手が帰宅する場合、その方向に行きたい乗客だけを配車することもできる。細かな点ながら、DiDiのサービスを使う海外のタクシー会社では好評な機能だという。
タクシー会社にとって、配車を効率化したり、利用を最大化できるよう管理コンソールが提供される。乗客からのコメントもアプリから寄せられるため、品質向上に活用しやすくなる。運転手は、正規の人のみ登録でき、いわゆる白タクは利用できない。また顔認証も利用して、IDとマッチしているかどうか確認する仕組みも取り入れられる。
配車需要の予測などは、日本でもNTTドコモやKDDIがすでに手がけているところだが、中国発のサービスというのもタクシー会社に向けたアピールポイントの1つ。日本を訪れる中国語圏のユーザーを取り込みやすくなり、収益増に繋がると期待できそうだ。
中国発のAI配車技術
ソフトバンク代表取締役社長の宮内謙氏は、「Didiといち早く日本で展開できることは名誉なこと。新サービスは、タクシー会社、ユーザーにとってWin-Winになる。スマホの上で簡単に、アプリを入れればすぐに使える」とアピール。
ソフトバンク常務執行役員の菅野圭吾氏は、「日本のタクシーは、運転技術が高く、車内環境が快適。グローバルで見ても、市場規模が1.5兆円で世界2位。一方で、市場規模は徐々に下がる傾向にある。また実車率が42%で、他国より低い。また訪日観光客への対応が増える」と分析。特に訪日外国人は、2020年、半数が中華圏からの観光客になるとの予測があり、中国発のDiDiはアドバンテージがあると読む。
DiDi社長のJean Liu氏は、「ドライバーには無料で提供している。200万人の運転手、500社のタクシー会社に利用されている。テクノロジーは破壊的のみならず協調的であるべきだと考えている。タクシー会社、自治体と協力し、スマートシティの輸送部分を地方自治体に提供したい」と意気込みを見せる。
ライドシェア「意思はない」
中国では、タクシー配車に加えて、1台のクルマを複数のユーザーが相乗りするいわゆるライドシェア機能もある。だが、日本でのサービスでは「ライドシェアの意思はない」(ソフトバンク菅野氏)と、タクシー配車一本に絞る。