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KDDI総研、5Gに向けた仮想化基地局のスライシング技術

 KDDI総合研究所は、5G時代に向けた仮想化基地局のスライシング技術を開発し、同技術の実験に成功したと発表した。あわせて、端末間通信による大容量通信エリアの拡張に必要な制御信号量の削減技術も開発した。

 これらの成果は、5月23日~5月25日に東京ビッグサイトで開催される「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2018」のKDDIブースで展示される。

仮想化基地局スライシング技術のイメージ図
仮想化基地局スライシング技術の概要

 5Gでは、IoT機器などの多数端末接続、4K/8Kの高精細映像の伝送に耐えうる超高速通信、工場内における遠隔制御のための低遅延通信など、要求品質の異なるさまざまなサービスが検討されている。このようなニーズに対応するため、vBBU(仮想化ベースバンドユニット)によって1つのネットワークを各サービスの要求品質に応じた複数のスライスに分割し、安定したネットワークの提供を可能とする手法が仮想化基地局スライシング技術だ。

 今回の実験では、Cavium社と共同でプロトタイプ装置を開発。IoTデバイスとの通信(スライス1)とビデオストリーミング送信(スライス2)の2種類を使ったデモを行い、スライス間で互いに干渉することなく動作可能であることが確認された。

 スライスはソフトウェア制御によって設定や変更が可能で、新規サービスの迅速な導入や柔軟な運用が可能になるとしている。

端末間通信による大容量通信エリアの拡張

 また、同じく5G時代に向けた端末間通信用の制御信号量の削減技術の開発についても発表された。

 5G時代には高画質の映像コンテンツやAR/VRなどの普及による大容量通信の増加が見込まれるとして、1つの基地局で広い範囲をカバーする「広域エリア」と、高い周波数を利用して混雑の激しい場所を狭い範囲でカバーする「スポットエリア」を組み合わせたネットワーク構築が考えられている。

 この上で、スポットエリア外で大容量通信を行うユーザーの存在が混雑解消への課題となり、端末間通信によって大容量通信をスポットエリアまで中継する大容量通信エリアの拡張が解決策として検討されている。

 一方、端末間通信による中継を行うためには、端末間の無線品質の把握やリソースの割り当てが必要となるため、大量の制御信号によって広域エリアの制御用チャネルの混雑を招く可能性があり、この制御信号を削減するための技術が今回開発された。