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切子の技法を応用、UNiCASE店舗オリジナルiPhoneジャケットに迫る

UNiCASE東急プラザ表参道原宿

 CCCフロンティアが全国各地で展開しているiPhone/iPadのアクセサリー専門店「UNiCASE」は、一部店舗において、オリジナルデザインのiPhoneジャケットケースを販売している。同社ではUNiCASEオリジナルブランドの製品を多くラインアップするが、店舗ごとの限定オリジナル製品となると珍しい。特に「kiriko」は店舗周辺の地図をデザインに取り入れた非常にユニークな製品となっている。今回はこの「kiriko」シリーズを中心に、UNiCASE東急プラザ表参道原宿を訪れて話を聞いた。

各店舗でデザインが異なる切子模様

 「kiriko」シリーズは、薄型クリアジャケットの定番でもあるパワーサポート製「Air Jacket」をベースとしている。ガラス工芸「切子」の技法を使い、店舗ごとのオリジナルデザインを採用している。

UNiCASE店舗限定のkiriko。こちらはハワイ店舗限定のもの
模様はすべて削って作られている。触ると凹凸がわかる

 簡単に言うと、CNC切削機(自動制御されてる工作機械)を使い、ベースとなるAir Jacketの背面を削って模様を描いている。クリアカラーのものはそのまま削る。一方、カラーのものは塗装してから削ることで、削られていない部分は元の色が残る。削った部分は研磨したりコーティングしたりすることはなく、完全な透明ではなく白の半透明となる。

原宿エリアの地図と重ねるこんな感じ

 製造元の株式会社パワーサポート担当者によると、Air Jacketはもともと薄くて軽いことが特徴のジャケットケースで、背面部の厚さは約1mm程度だ。「kiriko」の模様部分は、そこから約0.4〜0.6mmを削っているという。手で触っても模様がわかるくらいの深さだが、Air Jacketはもともと側面部がしっかりしているため、この程度の薄さになっても強度面に問題はない。

 UNiCASE店舗オリジナルの「kiriko」の模様は、一見するとややランダムな幾何学模様にも見えるが、実は各店舗の周辺地図をベースにしている。iPhoneに装着すると、背面の林檎マークが店舗位置の地図になる、という趣向だ。たとえば東急プラザ表参道原宿であれば、ケース上端側が西南西となり、上部に山手線、下部が神宮球場あたりの原宿~外苑前エリアが描かれている。ちゃんと各店舗に由来するデザインになっているのが面白い。

お話を伺ったUNiCASE東急プラザ表参道原宿の白川氏

 1枚1枚を削るという方法は、プリントに比べると手間がかかり、1日数百個程度しか製造できないという。しかし、模様ごとに版を作るようなプリントに比べると、少量多品種生産に向いているという特徴もある。極端に言えば、1枚1枚が異なる模様でも、デザインなどの手間はかかるが、製造工程自体はほぼ同じコストになる。

 UNiCASE店舗オリジナルの「kiriko」は、3800円(税込4103円)と、ベースとなるAir Jacketに比べると1000円程度、高い。しかし別の見方をすると、店舗限定で生産数も限られるにも関わらず、その程度の上昇で抑えられている。これは少量多品種に向いている生産方法を使っているから、とも言える。

各店舗のkiriko

 「kiriko」は、UNiCASEであればどの店舗でもある、というわけではない。一部の店舗がオープンから何周年か迎えた場合、あるいはリニューアルした際に、その時々の最新モデル向けに製品化されている。2018年3月現在、今回取材した東急プラザ表参道原宿のほか、名古屋のタカシマヤゲートタワーモール、広島パルコ、ハワイのアラモアナセンターの4店舗でiPhone X向けのオリジナル製品を用意。また札幌パルコ、仙台パルコ、名古屋パルコ、広島パルコ、アミュエスト博多の5店舗がiPhone 7/8向けの製品を用意している。

 カラーバリエーションは、iPhone X向け製品のうちハワイだけ青とクリアで、ほかは赤とクリアという組み合わせ。一方、iPhone 7/8向けでは広島のみ赤とクリアで、ほかは黒とクリアとなる。広島のiPhone 7/8向けケースで赤を採用している背景には、やはり地元を本拠地とするプロ野球球団の存在がある。広島店では、この製品に限らず、赤を用いた商品の売り上げが良いのだという。

非接触充電器やBluetoothイヤホンも充実

フィルムラインナップ。iPhone 8/X向けの背面用フィルムもあるが、そちらの貼りサービスはやってない。残念

 ケースのみならず、スマートフォン関連機器の売れ筋、ラインアップはどういった動向なのか。筆者は、iPhone X発売直後にも、個人的にジャケットケースを探しにUNiCASE東急プラザ表参道原宿を訪問していたのだが、その時点と比べ、ラインアップの拡充もあり、iPhone X向け製品の展示スペースは大幅に拡大されていた。

 またUNiCASEでは、店頭でのフィルム貼りサービスも特徴のひとつとして打ち出している。iPhoneだけでなくiPadの一部モデルにもサービスを提供してきた中、最近では10.5インチと12.9インチのiPad Proにも対応。iPhone/iPad全モデルに対応している。基本的にUNiCASEの選んだ(あるいはUNiCASEブランドの)フィルムのみとなるが、追加料金はかからず、ほとんどのモデルで光沢・無光沢を選べて、iPhone向けにはガラスフィルムも用意されている。店頭にはサンプルも用意されているので、実際に触ってフリック時の感触を確かめることも可能だ。

 iPad向けのフィルム貼りサービスを提供する店舗は比較的珍しいこともあり、東急プラザ表参道原宿の近隣にあるApple Storeの旗艦店、Apple表参道でiPadを買った人も、その足でUNiCASEに寄ってフィルムを貼ってもらう、ということも多いようだ。

Qi充電器など。Apple Watch向けの充電器も置いている

 2017年に登場したiPhone 8/8 Plus、iPhone Xは、Qi規格のワイヤレス充電をサポートしている。これにあわせ、UNiCASEでもワイヤレス充電器をラインアップ。実際に見比べながら選ぶことも可能だ。実機を使って、ケースとの相性を確認することもできる。

 オーディオ製品のコーナーでは、iPhone 7以降でイヤホン端子がなくなったこともあってBluetoothイヤホンのラインナップが揃える。3000円前後の安価なモデルから、「SHURE SE215」のワイヤレスモデルなど、幅広いレンジで製品を取り揃えているが、最近は左右別体型の完全ワイヤレスタイプが人気だという。

 原宿・表参道には、アップルの「Apple 表参道」が位置しており、そちらには純正品やユニークなIoT機器が充実しているが、「UNiCASE」ではジャケットケース製品を中心としつつ、異なる周辺機器のラインアップで特徴を打ち出そうとしているようだ。