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QRコード決済後発の「d払い」、ドコモの勝算とは
2018年1月17日 19:43
おサイフケータイとして、FeliCaを用いてかざすだけで支払える決済環境を推進してきたNTTドコモ。その決済サービスの利用額(取扱高)は、あわせて2.6兆円とかなりの規模にまで成長しているが、今回、中国などで話題のQRコード/バーコード決済を提供することになった。
1500万のネット払い会員が基盤、dポイントで飛躍図る
QRコード/バーコードをかざすだけで支払える「d払い」は、クレジットカード払いに不安を持っていたユーザーにとっても使いやすいサービスであり、dポイントとの連携でお得感もある、と語るのはNTTドコモ執行役員でプラットフォームビジネス推進部長の前田義晃氏。
これまでドコモが提供してきたサービスのうち、Google PlayやApp Store、Amazonなどネット通販やネットコンテンツの代金を携帯電話料金と合算できる「dケータイ払いプラス」は、1500万人に利用され、その取扱高は4000億円(2016年度)にまで伸びており、そうした「dケータイ払いプラス」のユーザー層が、d払いの潜在的な顧客層になり得るのだという。
一方で、国内ではLINEが「LINE Pay」で3000万人以上に利用され、その決済高は1150億円を超えている。後発となるドコモはどうするのか。前田氏は「加速させるのはdポイント」と語る。
前田氏
「昨年には1000億ポイントを発行した。エンゲージメント、ロイヤリティを高めていく上で、料金とポイントをあわせて、メリットを提供してきた。ポイントを貯める、お得に使うというサイクルががうまく回っていけば、今回のようなサービスの取扱高はどんどん上がっていくではないか」
ドコモでは、ユーザーの同意を得た上で、「d払い」を利用したユーザーの購買履歴も、自社およびパートナー企業とのマーケティングに活用していく考え。
個人間送金は
中国におけるWechat Pay、あるいはLINEのように、先行する他社サービスのなかには、メッセージングツールとして利用されている。そうした側面もあってか、たとえば中国では店舗(法人)と個人という枠組みだけではなく、より小規模な露店などでも支払いに利用されたり、LINE Payは個人同士で送金できる仕組みもある。
前田氏は、おサイフケータイに比べると、店舗にとっては比較的安価なシステムで対応できる、とした上で個人と法人の中間に位置するような中小規模の小売りで、キャッシュレスシステムのニーズはあり「ドコモとしても検討はしている」と語る。その一方で、個人間決済については「ドコモ口座」といったサービスがあり、一定程度の機能はすでに整えているとの認識を示すに留まった。
ユーザーとのコミュニケーションにAIエージェント
ドコモでは今春、AIエージェントサービスを新たに投入する計画。前田氏は、ユーザーとのコミュニケーション手段として、AIエージェントを活用する計画を明らかにした。
具体的な内容は、AIエージェントのサービスが正式に案内される時期になってからと見られるが、前田氏は「AIエージェントはより自然な形で受け入れられるものを開発している。行動履歴分析の中で、決済(履歴の情報)も入れていきたい」と語っていた。