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モバイク・ジャパン木下氏、「LINEのシェアサイクル、当初30分50円で」

 国内7100万の月間アクティブユーザーを抱えるLINEが、中国発のシェアサイクル事業者であるモバイク(mobike)と組み、2018年上半期、日本でサービスを提供する。20日に開催された記者説明会のあと、LINEの出資先であるmobikeの日本法人、モバイク・ジャパンをリードする木下昇氏(ジェネラルマネージャー、日本総経理)を直撃した。

 料金やサービス形態など、現時点でのモバイク・ジャパンの考えが明らかにされた。

――日本では2018年夏、札幌でモバイクのサービスが開始されている。日本ならではの要素など得た知見は?

木下氏
 札幌のサービスはテストという位置づけで、現在、雪のシーズンとあってサービスは休止している。海外との違いのひとつは自治体の取り組み。たとえば違法駐輪に対してとても敏感だ。また中国企業ということで身構える方もいらっしゃる。観光地であればともかく、住宅地に自転車ポートを設置して中国から人が増えるのではないか、という反応もあり、非常に勉強になった。

――札幌では自転車ポートを設置する形だが、中国ではポートの場所にとらわれず、どこでも利用を開始でき、どこでも乗り捨てられる。

木下氏
 日本では道交法もあり、放置自転車になれば悪影響もある。将来的に、(自転車の自由な乗り捨てなど)特区ができたり法改正がされたりすれば別だが、現段階では競合他社と同じように自転車ポートを設置し、そこで利用開始/乗り捨てという形を考えている。

――モバイクの特徴として、メンテナンスフリーの自転車などの技術面がある、というアピールだったが、ユーザーの実体験や使い勝手などでどういう強みがあるのか。

木下氏
 前提として「規模の経済」という考え方がある。これまで日本のシェアサイクルは、一部で民間のものはあれど、その多くは、自治体が税金を投入して運用するサービスだ。つまり自転車を購入できる予算が限られ、自転車の数が少ない。そのため自転車ポートの数も少なくなり、使いたいときに自転車がない、あるいは使いたい場所に自転車ポートがないなど、利便性が限られてしまう。これが成長を阻む要因のひとつだと、モバイクでは考えている。

 中国では800万台の自転車を展開しているが、日本でもたくさんの駐輪場と自転車を、ハレーション(強い悪影響)が起きない程度で、一気に広げていきたいと考えている。2018年1月から一気に展開したい。

――日本でも?

木下氏
 日本でもです。

――札幌でローンチしたサービスと、LINEとの提携によるサービスはそれぞれ別立てのものになるのか? 統合されるのか?

木下氏
 いえ、同じです。

――料金面はどうなるか。現在、日本では15分単位だったり、1日単位で課金される形が多い。

木下氏
 そのあたりはあまり変わらない。現在、モバイク・ジャパンのサービスは30分100円だが、(LINEとのサービスでは)当初、プロモーションプライスとして、期間は未定ながら30分50円と半額で提供しようと考えている。

――それは2018年上半期にスモールスタートする日本のサービスで?

木下氏
 はい。スモールと言っても中国から見れば全部スモールになってしまうが(笑)。

――東京では、自治体がNTTドコモ系列のドコモ・バイクシェアの仕組みを利用したポートが設置されている。個人的にはかなり広がってきたと感じていたが、まだまだスキマがあるという感触か。

木下氏
 今回のメンバーには、ドコモから(転職)の人もいる。繰り返しになるが、ポートの候補は実はたくさんあるものの、自転車がないため設置できないことが多い。

――ポートの確保が難しいかと思っていたが違うのか。

木下氏
 その通りだ。「場所を用意するから、うちでやって欲しい」というお声がけは非常に増えている。

――LINEとの事業はエクスクルーシブ(独占、排他)か?

木下氏
 その通り。資本関係がある中では、今後全ての事業はLINEさんとともに進める形になる。

――使い方はどうなるのか。現在のモバイクのアプリを踏まえるのか。

木下氏
 そうだ。アプリを開けば地図が表示され、モバイクの自転車がどこに何台あるかわかる。予約もできる。当初1カ月は未定だが、基本的に非常にたくさんの自転車を配備しようと考えている。「自転車に乗る」というボタンを押し、QRコードを読み取れば利用できる。

――モバイクのアプリはどうなるのか。

木下氏
 日本ではLINEアプリからの利用が多くなるだろうが、モバイク自体のアプリも併存する。すでにこれまでも中国発のメッセンジャーアプリであるWeChat(微信)から利用できる形だが、日本ではユーザーが少ないため、LINEが中心になるだろうと想定している。

――LINEのアプリを使って海外のモバイクも利用できるのか。

木下氏
 利用できる。

――モバイクの自転車に備わる通信モジュールの回線は、LINEのMVNOであるLINEモバイルが担うのか?

木下氏
 そのあたりは、まだ調整中だ。

――休止中という札幌のサービスは、LINEとの協業サービスとして再開するのか?

木下氏
 そこも含めてまだ決まっていない。

――テストを終えてフェードアウトの可能性もあるのか。

木下氏
 なきにしもあらず、です。

――モバイクとしては多くの都市でローンチしたいのか。

木下氏
 着実に進めるため1カ月に一都市ずつ、というゆっくりとしたペースで進めたい。実験のレベルを上げて、自治体や政府に認めていただけるかどうか、確認しながら進めたい。

――どういった点を一番重要視したいと考えているのか。

木下氏
 やはり運用、オペレーションだ。しっかりすることで、ユーザー様や国、道路、地権者様にご迷惑をかけない。GPSで自転車がどこにあるかリアルタイムに把握して徹底的にオペレーションして信用をいただくことが一番だ。