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普段の歩数から病気のリスクを示す、トーンモバイルがシニア向け新サービス
2017年11月22日 15:50
トーンモバイルは、シニア向けの新サービス「お元気ナビ」を発表した。12月以降、順次提供を開始する。運動強度と健康に関する研究結果から導かれた「中之条メソッド」をもとに、普段の歩数から生活習慣病などのリスクを教えてくれる。
あわせて同社では、常用する薬の飲み忘れを防ぐ「お薬ナビ」や、シニア層が手軽にスマートフォンを使い始められるようにすることを目的としたレンタルサービスも開始する。
歩数と活動量から推定
新サービスの「お元気ナビ」は、既存アプリ「ライフログ」の一機能として提供される。これまでライフログでは、1日8000歩と早歩き20分を達成すると、Tポイントが1日1ポイント付与されるようになっていた。「お元気ナビ」はそれを一歩進めて、ユーザー自身の普段の歩数から「がん8%」「糖尿病16%」などと、統計上、同程度の歩数のグループにおいてどの程度、病気の発生確率があるのか示してくれる。食事内容は記録しない。診断ではなく、あくまで統計的に同じようなタイプでの発症率を示す、つまり目安のひとつとして病気のリスクを教えてくれるものになる。
この数値の元になっているのは、青柳幸利医学博士(東京都健康長寿医療センター研究所)が群馬県中之条町で進めている「中之条研究」とそれに基づく「中之条メソッド」。中之条研究では、2000年から65歳以上の住民5000人に加速度センサーをつけて生活してもらい、有病率・発症率の関連性を調べている。会話もできないほどの運動は高強度、あまり動かない場合は低強度とし、いわゆる早歩きであれば中強度の運動として、1日20分以上、早歩きをすること、1日8000歩以上歩くことを続けると、病気予防に明確な効果がある、としている。
あまりに運動量が少なければ、画面上に通知が表示されるようになる。この通知は長押しすることで表示を消せる仕組み(設定次第でオフにできる)で、その狙いは、運動しなくなればスマートフォンを「使いづらくする」(トーンモバイル 代表取締役社長 CEOの石田宏樹氏)ため。スマートフォンを普段利用するだけで健康増進に繋げるための仕掛けで、石田社長は「日本の医療費削減にも寄与したい」と意気込む。
お薬ナビで服用忘れを防止
同じく12月以降に提供される「お薬ナビ」は、普段、ユーザーが服用する薬があれば、その情報を記録しつつ、服用時間になると知らせてくれるというもの。
薬の情報を登録するのは、手動のほか、QRコード撮影でも可能。このQRコードは、調剤薬局で薬を処方される際に発行される調剤明細書などに印字されているもの。撮影すると薬の種類や服用回数などの情報を取り込める。
12月上旬から「おためしレンタル」
7月発売の「TONE m17」を7泊8日でレンタルできるサービスも12月上旬より提供される。トーンモバイルを扱うTSUTAYA店舗(58カ所)のうち30強の店舗で順次導入される予定。具体的な対応店舗の情報はトーンモバイルのWebサイトで案内される。利用料はサービス開始を記念して当面無料(店舗によって有料の場合あり)。無料で利用できるのは1回のみとなる。Tカードの本人確認書類などを確認すれば、その場ですぐ貸し出しできる。NFCタグを使って、かざすだけで貸し出し設定および、返却時のデータ消去作業も行える。
シニア向けサービスの拡充で競争力アップ目指す
前身のfreebit mobileを含め、2013年からMVNOサービスを展開してきたトーンモバイル。今年5月には「子供向けとシニア向けをターゲットにする」という戦略を発表していたが、それから半年、石田社長によれば、同社ユーザーの68%が子供とシニアになった。
どちらの層も、スマートフォンの購入時にはその家族の決断が大きな影響を及ぼす。ここ最近のMVNOは、いわゆるITリテラシーの高い層から、さらなる広がりを求めて訴求しようと取り組む企業が増えてきているが、トーンモバイルは「子供」「シニア」を獲得することで、マス層にもリーチできると見る。そこで「子供とシニアが欲しがるサービス」というコンセプトを打ち出したというわけだ。今回は、その中でもシニア市場に向けたもの。シニアへのアンケート調査などから、健康への関心が高く、それにマッチしたサービスを開発した。
新サービスとして、「お元気ナビ」などほか、「TONE福利厚生」と銘打ち、宿泊施設などを検索、予約できるサービスも提供する
こうした取り組みにより、他のMVNOと違いを打ち出し、伸び悩みが指摘されるMVNO市場のさらなる飛躍を目指していく。