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パワーユーザーのためのスマートフォン「Galaxy Note8」
NY発表会レポート
2017年8月24日 14:30
サムスン電子はニューヨークにおいて発表会「Unpacked 2017」を開催し、新製品の「Galaxy Note8」を発表した。
Galaxy Note8はペン対応のNoteシリーズの最新モデル。今回はグローバルでの発表で、日本での発売の予定については言及されていないが、発表会を取材する機会に恵まれたので、その模様をレポートする。
発表会のステージでは、まずサムスン電子のMobile Communications BusinessのPresidentであるDJ Koh氏が登壇した。
熱心な「Note」ユーザーが支えた新モデルの開発
Koh氏は「本日私たちは、新デバイスを祝うことより、Noteを成功に導いたすべての人を祝福するためにここにいる。もちろん、私たちの誰一人として昨年の出来事を忘れていない。しかし何百万人もの熱心なNote支持者がともにあったことも決して忘れない。彼らの情熱はインスピレーションを継続させてくれた。全世界のNoteのコミュニティに対し、深く感謝したい」と述べた。
「昨年の出来事」とは、発売されたばかりのNote7が複数のバッテリー発火事故を起こして大きな問題となり、リコールで回収され、実質的に欠番となって、Noteシリーズを求めるユーザーの手に届かなかったことだ。そうした状況下でも、熱心なNoteファンがシリーズを支持し続けたことで、Note8の開発・発表につながった、というわけだ。
また、Koh氏は「Noteシリーズがほかのスマートフォンと大きく異なるように、Noteシリーズの愛好者もほかのスマートフォンユーザーと異なる。彼らは極めてマルチタスク利用者であり、パワーユーザーでもある。これが私たちがNoteを作っている理由でもある」とも語り、Noteシリーズの最新モデルであるNote8をお披露目した。
狭額縁、マルチタスク、デュアルカメラ、Sペン
Koh氏のあとに登壇した、サムスン電子 Product StrategyのSenior Vice PresidentであるJustin Denison氏は、「何年にもわたり、Noteユーザーはより大きなことに着想し、スマートフォンのハードルを上げてきた。その背景や情熱は一人一人異なるが、共通することがひとつある。それはあなたたちは単なる夢想家ではなく、行動する人ということだ。そしてNote8は、より大きなことを行う人のために作られている」と語り、Note8の特徴を解説する。
Note8は、日本でも夏モデルとして発売されたGalaxy S8/S8+と同様の、上下も狭額縁化したボディにウルトラワイド比率とした「Infinity Display」を搭載している。これによりSペンでの作業領域を広げるだけでなく、動画や写真、ゲームなども見やすくなり、そのほかのSNSアプリなども、スクロールせずに多くの情報を表示できる。
マルチタスク機能はNoteシリーズの特徴ともなっている。たとえば画面の半分で地図を表示しながら、もう半分で音楽アプリを表示するといった、マルチウィンドウ表示に対応している。マルチウィンドウ表示自体は、Android 7.0からの標準的な機能で、たとえばGalaxy S8/S8+なども搭載しているが、Note8ではエッジディスプレイのアプリランチャーに2つのアプリを同時起動させるショートカットを登録でき、よく使うアプリの“組み合わせ”をシングルタップで起動させられるようになっている。
Note8のカメラ機能については、サムスン電子のProduct StrategyのDirectorであるSuzanne De Silva氏が解説した。
まずSilva氏は、「スマートフォンのカメラは特別な瞬間を撮影するだけでなく、日々の生活をとらえてシェアするものになっている。その瞬間の多くは夜に訪れるが、Note8のデュアルピクセルセンサーは暗い場所でもビビッドな写真やビデオが撮れる」と紹介する。また、高速起動や防水機能により、いつでもどこでも、どのようにでも撮影できることもアピールする。
さらにNote8では、背面のメインカメラが2個搭載されていることも解説する。このカメラは、1つが通常のスマートフォンと同じ広角レンズで、もう一つが2倍の望遠レンズになっている。
両方のレンズは光学手ぶれ補正に対応しており、乗り物の上などからもブレの少ない写真を撮ることができる。また、この2つのカメラを使った新機能である「Live Focus Mode」も搭載されている。
このLive Focus Modeでは、2つのカメラで同時に撮影することで、被写体の距離を算出し、背景のボケを自由に調整することができる。ボケの調整は写真の撮影中だけでなく、撮影後にも行える。
続いてSilva氏は、Noteシリーズの「ハートでありソウルでもある」とするSペンについても解説する。Note8のSペンは、ハードウェア的にはNote7とほぼ同等だが、過去に日本で発売されたモデルと比べると、スキャンレートや感圧センサーの階調などのスペックが大幅に改善されている。
そうしたスペック面だけでなく、Note8ではSペンを使った新機能も搭載されている。たとえばテキストメッセージでは、手書きをエフェクト付きアニメーションとして送る機能が搭載されている。
また、最新のGalaxyシリーズではロック中も画面を完全消灯せず、時刻や通知などの情報を表示し続けるAlways On Displayという機能を搭載しているが、Note8ではロック中にSペンで書き込んだ内容をメモとして記録し、それをAlways On Display中に表示させる機能を搭載している。
さらにSペンのホバー機能(Sペンを画面に接触させず、浮かせるようにしたまま画面に近づける)で、指定した箇所の文章を翻訳する、自動翻訳機能も搭載している。
AIエージェント機能、デスクトップ機能
続いてサムスン電子のProduct MarketingのDirectorであるJonathan Wong氏が登壇し、Note8のプロダクティビティ系機能であるBixbyとDeXについて解説した。いずれもGalaxy S8/S8+でも搭載されている機能だが、細かい部分でアップデートが行われている。
まずBixbyはAIエージェント機能で、音声コマンドでさまざまな操作が行える。コマンドはカスタマイズも可能で、Wong氏が「Good night」と言うだけで、通知オフモード切り替え・6時アラーム設定・ブルーライトフィルタ切り替えを同時に行われていた。また、今年後半にはBixbyがSpotifyとの連携が可能となり、さらに10月の開発者会議ではさらなる情報が公開されるとの予告も行った。
DeXは専用のクレイドルを使うことで、Galaxyスマートフォンをデスクトップパソコンのように使う機能だ。パソコン用ディスプレイや大画面テレビにつなぎ、マウスやキーボードでパソコンのデスクトップのようにAndroidアプリの操作ができる。Wong氏はDeXに最適化されたアプリが増えていることもアピールする。
たとえばスマートフォン・タブレット向けのMOBA系ゲームアプリ「Vainglory」もDeX対応版が提供されている。通常は画面をタップしてキャラの移動やスキルの発動を操作するが、DeX版ではマウスでキャラを移動させ、キーボードでスキルを発動させられるなど、完全にDeX向けに調整されている。
もちろんマイクロソフトのOfficeアプリやアドビのLightroomアプリなどもDeX上で利用可能で、マウスとキーボードで操作ができる。発表会では仕事にも遊びにも、DeXが使えることがアピールされた。
アメリカで9月15日発売、ドイツでも発表を予告
最後に再びDenison氏が登壇し、Note8をアメリカで9月15日に発売することを発表した。予約は8月24日開始。SIMロックのかかっていないアンロック版の価格は929ドル。
ちなみにアメリカでは早期購入特典としてGear 360カメラ(229.99ドル相当)あるいは高速ワイヤレス充電台と128GBメモリカードのセット(189.98ドル相当)を選ぶことができる模様だ。Galaxy S8/S8+と同様、AKGブランドのイヤホンが同梱される。
さらにDenison氏は、次週、8月30日にベルリンで開催されるIFAでのカンファレンスで、いくつかの“最新の何か”を発表すると予告した。