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IoTで暮らしをサポート「未来の家プロジェクト」、横浜市×ドコモ×and factory
2017年6月22日 14:03
横浜市、NTTドコモ、and factoryは、家にIoT製品を組み込んで居住者の生活をサポートする“スマートハウス”の実現を目指す「未来の家プロジェクト」を開始した。今後、約2年間の実証実験を行う予定。
「未来の家プロジェクト」のスマートハウスは、家の各所のさまざまなメーカーのIoT機器を組み込み、スマートフォンアプリから一元的に管理できるようにする。
設置機器は、居住者の健康データの収集と、家具などの操作に対応。データ収集では、洗面台の下に体重計を埋め込み朝の洗顔時に自動で体重を測ったり、食卓の真上に設置されたカメラで食事の内容・栄養素を記録したりといった機器を設置。操作では、赤外線学習リモコンやスマートロックなどを検証する。
将来的には、AI(人工知能)も活用して、居住者の生活にあわせて家具や家電を操作する実証も行う。例えば、朝、起床したのを検知して自動でカーテンを開ける、室温が上がったら自動で空調をコントロールするという内容だ。
「未来の家プロジェクト」は、横浜市のオープンイノベーションプログラム「I・TOP横浜」という位置づけ。試験環境としてドコモが開発した「IoTスマートホーム」を使用。機器との連携ではドコモのIoT向け技術「デバイスWebAPI」を活用し、スマートフォンやWebからIoT機器をまとめて制御できるアプリをand factoryが開発する。
IoTスマートホーム
「IoTスマートホーム」は、トレーラーハウスに住宅の室内を再現した可動式の実験環境。すでに13個のIoT機能を搭載しており、アプリから操作するデモンストレーションが披露された。
操作アプリでは、照明のカラー変更やカーテンの開け閉め、スマートロック、空気清浄機などのコントロールなどに対応。可視化アプリでは室内に組み込まれた体重計や睡眠計や居住者が身につける活動量計などのデータを1画面で表示する。
デバイスは「Philips Hue」や「Qrio スマートロック」などの市販品が活用されていた。今後の実証実験に関連して、活用法の検証や課題の洗い出し、新たなデバイスの開発などを検討するという。
IoTデバイスはゲートウェイを通して、インターネットに接続し、ドコモのクラウド環境で管理。Wi-FiとBluetoothなど、接続方式が異なるデバイスも一括して管理できる。デモンストレーション時は、スマートフォンやRaspberry Piをゲートウェイとして使用していた。担当者によると、「デバイスWebAPI」を実装できればゲートウェイの形態は問わないということで、商用化する場合は一体型のゲートウェイとして提供されるようだ。
背景は超高齢社会、中小企業への連携も期待
横浜市が6月20日にスタートした「I・TOP横浜」は、IoTデバイスを活用したオープンイノベーションプログラムだ。その中で「未来の家プロジェクト」は超高齢社会の到来という社会課題の解決に挑む。
横浜市では2030年に100万人以上が85歳以上になる。高齢化にともなって「高齢者の一人暮らし世帯」へのサポートが課題となる。居住者の健康状態を把握できるスマートハウスが開発して、こうした一人暮らしの高齢者が、健康で豊かに暮らせる社会を実現したい、というのが横浜市の目標だ。
横浜市の経済局長 林琢己氏は、プロジェクトを新しいアイデアを生み出す場として展開し、製造業やIT企業など、横浜市の中小企業への参加も呼びかけていくと紹介した。
NTTドコモは実験環境として「IoTスマートホーム」を、開発プラットフォームとして「デバイスWebAPI」を提供。あわせて市内外の企業に対し、IoTに関する技術セミナーを実施し、協力企業を募っていくという。
and factoryは、従業員50人弱のベンチャー企業。昨年よりIoT製品を集めたスマートホステル「AND HOSTEL」を展開。そこで培ったノウハウを生かし、アプリの開発やデバイスの調達を担当する。