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mineo、楽天モバイル、LINEモバイル、ワイモバイルが語る「生存戦略」
「モバイルフォーラム2017」から
2017年3月16日 22:23
テレコムサービス協会(テレサ協)のMVNO委員会が16日に開催したイベント「モバイルフォーラム2017」。MVNO各社によるパネルディスカッションが実施された。そのテーマは「MVNOは料金以外でどう生き残っていくのか」「格安スマホが市民権を獲得するには」。各社それぞれの“生存戦略”が示された。
なお、ケータイジャーナリストの石川温氏ら識者による基調講演を別記事にて掲載している。
“実直なサービス改善”が強み「楽天モバイル」
「楽天モバイル」は、大手キャリア並の端末ラインナップ、積極的な実店舗展開、Eコマースとの連携といった総合サービスで勝負するMVNOだ。パネリストとして登壇した楽天 執行役員 楽天モバイル事業担当の大尾嘉宏人氏は、「当たり前じゃんと言われるかもしれないが、実直なサービス改善が重要」と語る。
サービス初期にはじめた端末の即日配送や、他社に先駆けて提供した「5分かけ放題」などのスピーディーなサービス展開の裏付けとして「仮説を立てて即実行する“楽天DNA”」が生かされているとする。
126店舗目がオープンした実店舗については、「インターネットを使っていないユーザーも呼び込める」(大尾嘉氏)とする。楽天モバイルを契約すると、楽天市場でポイントが貯まるという分かりやすいメリットを提示することで、「楽天経済圏」に取りこむ戦略だ。
“とにかくシンプルにする”「LINEモバイル」
最後発となった「LINEモバイル」は、MVNOが当初求められていた役割「わかりやすい料金体系」を忠実に実行する。
LINEモバイル モバイル企画運営室の大熊一郎氏は、根底にあるのは「とにかくシンプルにすること」と語る。続けて、「今お使いの事業者から乗り換えるのなら、その使い勝手はかならず確保するべきだろう」として、お昼帯の時間でも実用的な速度や、テザリング、データ繰り越し、フィルタリングといった基本機能を用意したと紹介した。
その上で、コミュニケーションアプリで圧倒的なシェアを持つLINEをバックに、TwitterやFacebook、音楽アプリなどのデータ通信を無制限に使える「カウントフリー」を独自の強みとしている。
また、認知度を上げる取り組みとして、SNSでの積極的な情報発信している。Twitterではユーザーからの問い合わせになるべく早く答えるよう活動しており、ときには嘉戸社長自らツイートしていることもあるという。
“今使っているスマホそのまま”が半数の「mineo」
「mineo」を統括するケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏は、まずは“MNO”以外のキャリアがあるという選択肢を示し、その後「mineoをにしかないもの」を訴求して、選んでもらうという戦略をとる。
その1つがNTTドコモ網とau網を提供するマルチキャリアだ。「今までのスマートフォンをそのまま使える」ことを重点的に訴えるCM戦略の結果、SIMカードのみ契約が半数を占めるという。
オンラインコミュニティ「マイネ王」を通してファンと一体でサービスを開発するのもmineoの特徴だ。上田氏は、「マイネ王で積極的に活動するユーザーほど、mineoを解約しない傾向で、人に勧める割合も増える」とした。
なぜ安い?「ワイモバイル」
厳密にはMVNOではないが、ソフトバンクのサブブランド「ワイモバイル」(Y!mobile)も参加した。パネルディスカッションに登壇したソフトバンク Y!mobile事業推進本部 執行役員本部長の寺尾洋幸氏は、「Y!mobileという立場を離れて発言したい」と、ウィルコム時代の取り組みを紹介した。
大手キャリアを追いかける立場だった当時のウィルコムは、他社に先駆けて開始した10分通話定額を開始したが、最終的にはソフトバンクに吸収される結果となった。寺尾氏は、ウィルコム時代から一貫している方針として「競争環境は変化する。次に何が求められるのかを見つけていくのが鍵になる」と語った。
モデレーターの石川氏が投げかけた「ワイモバイルってなんで安いんですか」という質問に対し、寺尾氏は「一番は安い端末のみを扱うこと。主力の“Android One”スマートフォンは、大手キャリアで人気のスマホよりも相当お安い。また、月間の通信容量を1GB~にするなど、お客様に少しずつ我慢していただいている」と説明した。
Yahoo!の兄弟ブランドとして誕生した「ワイモバイル」では、「フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行を促して、日本のICTに発展に貢献する」という事業の核を持っているという。そのため、SIMのみの販売は10%にとどまり、スマートフォンとのセット販売が主力になっているとした。
「携帯電話は大手3キャリアという前提が崩れていく」IIJ島上氏
個人向けMVNO「IIJmio」を提供するインターネットイニシアティブからは、取締役の島上純一氏が登壇。島上氏はMVNO委員会の副委員長としての立場もあるため、業界全体の動向を中心に語った。
島上氏
「MVNO業界は競争自体が激しくなっているが、全体としては拡大している。大手3キャリアのシェアはまだまだ高いが、経営指標は縮小傾向にある。
UQモバイル、ワイモバイルが(大手キャリアのサブブランドとして)猛威を振るっているのは、そういった事情があるからだろう。
一方で、サブブランドの拡大によって『携帯電話はドコモ、au、ソフトバンクから選ぶ』という前提が崩れていくのではないか」
「サブキャリアからMVNOへの移行に期待」三菱総研 西角氏
基調講演を行った三菱総合研究所の西角直樹氏は、パネリストとしても登壇し、業界の動向を分析した。
「MVNO市場はまだ伸びるのか」という問いかけに対し、「ドイツの例では、MVNOやキャリアのサブブランドで、40~50%のシェアを獲得している。日本では50%まで行くとは考えづらいが、大手キャリアとMVNOの中間の存在としてUQモバイル、ワイモバイルが登場した。一度サブキャリアを乗り換えたユーザーは、流動性が高くなり、次はMVNOへ移ると期待もできる」と答えた。
西角氏は、MVNO市場が活性化するために「端末と回線の切り離し」が重要になると語り、e-SIM導入への期待感を示した。