インタビュー

キーパーソンインタビュー

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「Optimus G Pro」ドコモ端末の海外展開背景

 5月2日、NTTドコモは4月から日本市場で発売しているLGエレクトロニクス製のAndroidスマートフォン「Optimus G Pro L-04E」が、韓国の携帯電話事業者KT Corporation(以下、KT)に納入されることを発表した。その背景と狙いについてNTTドコモ プロダクト部長の丸山誠治氏とLGエレクトロニクスのモバイルコミュニケーション 日本マーケティング 常務のべ ヒョンギ氏に聞いた。

「Optimus G Pro L-04E」の韓国版となる「Optimus GK」

――今回の取り組みの背景的なところから教えて下さい。

丸山氏
 ドコモでは、当社が採用した機種を、我々と提携している携帯電話事業者の方々にご紹介して、採用していただく活動をしてきました。直近ではフランスのFrance Telecom-Orangeがシャープのスマートフォン(ニュースリリース)や富士通の「らくらくスマートフォン」(ニュースリリース)、また韓国のKTがフォトフレームやデータ通信端末などを、調達しています。

 今回LGエレクトロニクスさんが、日本向けに良い機種(Optimus G Pro L-04E)を開発してくれたので、事業提携しているKTにご紹介をしたところ、ご採用いただけました。

 我々から見ると、(海外の携帯電話事業者が採用してくれると)それだけマーケットが広がるのが利点で、積極的に取り組んでいます。

べ氏
 私たちは、これまでもドコモさん向けに良い商品を開発してきました。それを評価していただいたと理解しています。

 日本の消費者は、商品を選ぶ目が厳しいんですね。それでも選んでもらえるように、消費者のリクエストに応えたうえで、LGエレクトロニクスらしい提案をしていくことで、我々の製品の魅力がアピールしていけると思っています。また、ドコモさんは、品質管理を重視するので、ラインナップに加えていただけ、品質の良さを認めていただけているということは、モノづくりをする上での自信にもつながると思います。

――KTへの紹介は、いつ頃から行っていたんですか?

NTTドコモ プロダクト部長の丸山誠治氏

丸山氏
 だいたい1年くらい前からだったと記憶しています。ドコモとKTとは、BTCC(Business & Technology Cooperation Committee:事業・技術協力委員会)という枠組みを作り、両社のトップも含めて定期的に会合をしています。その中で、端末も1つのテーマになっていますので、共同でいろいろなことを考えたり、お互いのコンテンツを融通しあうなど、協議をしています(ニュースリリース)。

※ドコモは、2005年12月に現在のKT Corporationと業務・資本提携契約を行っている。KTとは「FOMA A2502 HIGH-SPEED」(韓国AnyDATA製)、「お便りフォトパネル」、「L706ie」の紹介及び導入支援も行った。

――こうした共同調達は、スマートフォンになってから進めやすくなっているんですか?

丸山氏
 共同調達というと厳密には1つの契約書で2社以上が買うことを言いますが、今回の場合はそうではないので、厳密には違いますね。ドコモ端末の海外展開という言い方の方が正しいと思います。以前から似たような取り組みはしていますが、スマートフォンになってから、そのハードルが下がっているのは事実です。メーカーさんに(ドコモ向けの)カスタマイズをしていただく際、基本的には我々のサービスを使うためのアプリケーションを搭載していただくだけですので、ソフトウェアなどいろいろなことを作りこんでいた従来の携帯電話よりは、楽になっています。

右が日本版の「Optimus G Pro L-04E」、左が韓国版の「Optimus GK」

――France Telecom-OrangeやKTのほかに、どんな携帯電話事業者とドコモ端末の海外展開について協議を行っているのでしょう?

丸山氏
 アジア・太平洋地域の携帯電話事業者によるアライアンス「Conexus Mobile Alliance」のメンバー、あとはドコモ、China Mobile、KTの3社による日中韓の枠組みなどが挙げられます。

――ドコモが紹介するスマートフォンについて、海外の携帯電話事業者からの反応はどんなものが多いのでしょう?

丸山氏
 防水やおサイフケータイ、各種機能については言うまでもありませんが、大きさや形状、それとCMF(Color=色、Material=素材、Finish=仕上げ)などについても日本テイストだねと言われます。

 たとえば角の丸さは、日本では角ばったものが多いのですが、海外では丸みを帯びたものが好まれるようです。また、日本ではツルッとしたものが支持されるのですが、海外ではザラッとした仕上げのものが良いようです。

――ドコモ端末の海外展開の枠組みは今後も積極的に取り組んでいく予定ですか?

丸山氏
 はい。いろいろな携帯電話事業者とお話をして広げていきたいと思っています。やはり多くのお客さんを抱えて調達をするほうが効率的ですし、メーカーさんにとっても利点が大きい。「Optimus G Pro」のような力作は、どんどんシェアしていったほうが良いと思っています。

――その「Optimus G Pro」ですが、改めて魅力を教えて下さい。

LGエレクトロニクス モバイルコミュニケーション 日本マーケティング 常務のべ ヒョンギ氏

ベ氏
 スマートフォンを使い込んでいる通の方に納得していただける特徴を持っていると思っています。まず電池持ちの良さ。ドコモさんの実利用時間の試験でも3日近くもつことが分かっています。多くのスマートフォンユーザーが不満に感じているのは、やはり電池もち。この点は、世界中共通で、そこが評価されています。そしてZero Gap Touchと呼んでいるのですが、カバーガラスとタッチセンサーを一体化したことで、より薄く、よりリアルな操作感を実現しています。

 韓国では、5インチ後半~6インチが売れ筋のため、5インチというディスプレイサイズというのは、新しいゾーンなんですね。そういう点も、ご評価いただているようです。

丸山氏
 海外では、ディスプレイが大きいものが好まれる傾向があるんですが、日本では片手操作をしたいというニーズが強いこともあるのか、現在のところコンパクトなモデルが売れ筋です。ゆえに「Optimus G Pro」は、日本市場向けに少し小さくしていただいたんです。このベースになったモデルはKTの意向が盛り込まれているでしょうし、「Optimus G Pro」は日本市場を意識して作られています。

 今回の取り組みのユニークなところは、海外の携帯電話事業者が行っているような共同調達とは異なり、企画段階から情報共有して、採用に至っていることです。単に効率性を追求するだけでなく、市場のニーズなどを意識しているところは、世界でも例がないはずです。これにより、お客様にとってのプラス面も出していけるのではないかと思っています。

――本日はお忙しい中、ありがとうございました。

編集部