インタビュー

ロック画面をコンテンツプラットフォームに、インド発「Glance」担当者に聞く魅力と今後の展開

 ソフトバンクの一部スマートフォンで利用できる「Glance」。ロック画面の壁紙上で、ニュースなどを配信し、タップすることでその記事にアクセスできるもので、壁紙カルーセルとも呼ばれている機能だ。

 この「Glance」というサービスは、インドで2018年にスタートし、世界ですでに4億5000万台以上のスマートフォンで利用できる。インドやタイなどでは、ニュースなどのほか、動画視聴やゲームなどもロック画面上で楽しめるという。

 今回は、ロック画面に着目した理由や、今後の日本での展開など、Glanceと日本法人のGlance Japan担当者から聞いた。

「スクリーンゼロプラットフォーム」

 今回話を聞いたのは、Glanceのシニア・バイスプレジデント兼ストラテジック・ディストリビューション・パートナーシップ部門ジェネラルマネージャーのアディチャ・ゴヤル(Aditya Goyal)氏と、最高マーケティング責任者(CMO)のビカッシュ・チャウドゥリー(Bikash Chowdhury)氏、Glance Japan マーケット・デベロップメントの井藤 理人氏。

アディチャ・ゴヤル(Aditya Goyal)氏
ビカッシュ・チャウドゥリー(Bikash Chowdhury)氏
井藤 理人氏

 同社のビジョンとして「人生のあらゆる瞬間に情報を与えることで、最高の自分になるようサポートする」としている。今回のサービスでは、スマートフォンを持った際に一番最初の画面であるロック画面に表示されるプラットフォームであることから「スクリーンゼロプラットフォーム」とメリットをアピールする。

 世界では、2年を待たずに1億のアクティブユーザー数を達成しており、先述のとおり現在では4億5000万の端末、2億3000万のアクティブユーザーで、1日平均20分以上ユーザーに触れられているプラットフォームだという。

世界のメーカー/キャリアとパートナー連携

 Glanceは、プリインストールアプリとして、提携するパートナーメーカーの端末やキャリアから発売されるモデルに搭載される。

 世界ではインドや米国のほか、インドネシアやタイ、ブラジル、メキシコなどでパートナー企業を開拓。日本では、ソフトバンクと提携しているほか、シャオミ(Xiaomi)やモトローラ、シャープ、ソニー製の一部端末で利用できる。

 コンテンツ提供者としても、ヤフーニュースと包括契約を締結しているほか、ベースボールライブと提携し、野球などのスポーツ速報やインタビュー記事などを拡充していくという。

ロック画面でプレミアムな体験を

 ロック画面に着目した理由を聞いたところ、「さまざまなコンテンツへシームレスに入っていける」ことが理由だと説明する。

 Glanceの親会社であるInMobiは、世界でモバイル広告を展開しており、コンテンツに行き着くまでの経路が複雑だという問題があったという。そのなかで、ユーザーが最初に通る「ロック画面」に着目し、ここにパーソナライズされたさまざまな情報や美しい画像を表示させることにビジネスチャンスを見いだしたという。

 プリインストールとすることで、ユーザーがアプリをダウンロードしたり設定したりする必要が無く、非常にシンプルにアクセスできるソリューションを目指したとしている。

 Glanceでは、大手メディア配給のニュースなど信頼性の高いコンテンツを提供し、“コンテンツの質”で他社プラットフォームと差別化を図っている。

 日本では、ニュース配信などが主だが、展開している他国では、動画やゲーム、ゲームのランキングやライブ配信といったリッチコンテンツも登場している。

 国によってもよく見られるコンテンツはさまざまだといい、たとえばインドやインドネシアでは動画やスポーツ、グルメコンテンツの人気が高く、約3割のユーザーが1日30分以上ゲームをプレイしているという。インドネシアでは、K-POPのコンテンツが非常に人気だとしている。

将来的にはマネタイズも

 日本では、2023年4月にスタートしたばかりのプラットフォームであるため、当面はユーザー数の拡大やエンゲージメントの上昇を図るべく、どのようなコンテンツやカテゴリーが好まれるか、データを集積している最中だという。

 現在は「まずはGlanceを好きになってもらうことから始めている」としており、パートナー企業の開拓や、ほかのキャリアへの話を進めており、そこからマネタイズする段階に入っていくようになるとしている。