【OGC 2011】
8億人市場で展開するGREEのコンテンツ基盤


グリーの小竹氏

 グリーの執行役員で、マーケティング事業本部長の小竹讃久氏は、「GREE Platform for smartphone 戦略と海外展開」と題して講演した。

 「スマートフォンの環境変化は非常に大きなもの」と切り出した小竹氏は、スマートフォンが普及拡大する一方で、スマートフォンに関連のビジネスについては手探り状態であると語った。

 2010年6月に携帯電話向けのプラットフォーム事業を開始したグリーは、2011年1月にスマートフォン向けサービスを開始する。プラットフォーム事業は現在、400社のパートナーが参加し、900アプリが提供されているという。また、具体的な数値は明らかにしなかったが、GREE Platformの会員数は昨年6月末を1とすると、現在は15倍強、GREE内の仮想通貨「コイン」の売上げ規模は50倍に伸びているという。

 小竹氏は、GREE内で成功を収めているアプリについて、「バイラルを活用しているかがポイント」と語る。「感染的な」を意味するviralをゲーム内にうまく取り入れることがユーザーの継続的な獲得に繋がるというわけだ。釣りゲームの例が紹介され、1人で楽しむのはもちろん、GREEの友人たちと競い合ったり、ときには友人たちとチームを組んでチーム対抗戦で競争心をあおったりと、周囲を巻き込んだ仕掛けがゲーム自体を面白くすると説明した。

 また、iモードなどのキャリア公式サイトでは、公式サイト内でいかに上位掲載を獲得するかがポイントであったのに対して、ソーシャルゲームアプリでは、一度プレイしたユーザーを利用して、他のユーザーを呼び込む仕掛けが必要とする。たとえば、ゲームに5人招待するとアイテムをプレゼントするといったように、アイテムに希少性を持たせることが不可欠という。

 GREEでは、ブラウザベース、iPhoneやAndroidのアプリベースでスマートフォン向けに展開している。小竹氏は、現時点ではブラウザかアプリか、iPhoneかAndroidか、メイン市場は全くわからないと話し、いずれも一長一短であるとした。また、フィーチャーフォン版もスマートフォン版も同じように開発できる環境が必要とした。

 なおグリーでは、スマートフォン版の収益化策の1つとして、1月に広告配信システム「アドエクスチェンジ」を運営するアトランティスを買収している。スマートフォン関連ビジネスの事業化はまだ不確定の要素が多く、グリーではアプリ内の広告などさまざまな収益化の種をまいている。

 このほか小竹氏は、同社の海外展開についても言及した。グリーは4月、米ゲームプラットフォーム「OpenFeint」を買収して傘下に収めた。7500万ユーザーの顧客基盤を持つOpenFeintと、2500万ユーザーを抱えるGREEに対して、国内外で開発したゲームの流通を加速させる。

 グリーは今年1月、中国のインターネット事業者であるTencentとの業務提携も発表しており、プラットフォームの仕様を共通化する計画を明らかにしている。6.5億人の顧客基盤を持つTencentとの提携で、コンテンツ流通をより一層活性化させていく方針だ。同社は東南アジアを中心に展開されているコミュニティサービス「mig33」との提携も発表しており、北米、中国、アジア、そして日本を合わせて約8億人に訴求できるプラとフォームであるとしている。

 小竹氏は、グローバル化について「ピンチでありチャンス」と語り、グリーが今後の成長の柱とする海外展開を説明した。



 



(津田 啓夢)

2011/5/31 20:50