【MWC19 Barcelona】

OPPO、「ロスレス10倍ズーム」と「5Gスマホ」を公開

 スペイン・バルセロナで開催される「MWC19 Barcelona」に先立ち、2月23日(現地時間)にOPPOは同市でプレスカンファレンスを開催。「ロスレス10倍ズーム」技術を採用したスマートフォンのプロトタイプを公開するとともに、5Gスマートフォンの展開時期を明かした。

ロスレス10倍ズーム技術採用の試作機を発表
商用化する5Gスマートフォンも公開した

ロスレス10倍ズームと5Gスマートフォンを披露

 プレスカンファレンスには、OPPOのAnyi Jiang副社長が登壇。2018年以来、同社は日本に加えて欧州にも上陸し、展開国を広げているが、2019年1月には、新たにイギリス、ポーランド、トルコの3カ国を加え、計7カ国で販売していることを語った。グローバルでは、40カ国以上にその販路を広げているという。OPPOは技術投資にも積極的で、Jiang氏によると、2019年は総額15億ドル(約1660億円)の投資を予定しているという。

OPPOのAnyi Jiang副社長
欧州の展開国は、先月時点で7カ国に広がった
主に5G関連の投資に15億ドルをかけるという

 ロスレス10倍ズーム技術は、続けて登壇したプロダクトマネージャーのChuck Wang氏が解説した。同氏によると、OPPOのロスレス10倍ズームは、「トリプルレンズカメラ構造で実現した」という。具体的には、48メガピクセルのメインカメラに加え、35mm判換算で15.9mm相当の超ワイドアングルカメラを搭載。

カメラ技術の説明を行ったChuck Wang氏
トリプルレンズで、15.9mmから159mmまでをカバーする

 この10倍に当たる159mmのテレフォトカメラを搭載し、3つのカメラを切り替えることでズームを可能にする。デジカメで一般的な、レンズを動かして焦点距離を変えるズームとは違い、カメラをトリプルカメラによってこれを実現した。テレフォトカメラはペリスコープ(潜望鏡)型のモジュールを採用しており、薄型化を実現。「モジュールの小型化は、(端末の)薄いホームファクターに貢献できる」(同)とした。

 このカメラを搭載したスマートフォンは、2019年第2四半期に発売される予定。展示会場には製品ではなく、プロトタイプが展示されており、10倍ズームを試すことができた。

テレフォトカメラは、ペリスコープ型のモジュールを採用。薄型化を実現した
この技術が搭載された製品が発売されるのは、第2四半期になるという
5Gに関する取り組みを説明したHenry Tang氏

 5Gに関しては、OPPOのこれまでの取り組みをディレクターのHenry Tang氏が解説した。同氏によると、OPPOは2015年に5G標準化チームを設立。2018年8月には、5Gのシグナルをつかみ、データ接続を実現した。同年10月には、スマートフォン上で5G経由のインターネット接続を行ったという。また、11月にはWeChatでのビデオ通話を実施するなど、実験を続けてきた。12月には、同社のフラッグシップモデル「Find X」を5Gに対応させた試作機を公開している。

2015年に標準化チームを設立。2018年には、さまざまな実験を行った

 5G対応スマートフォンは、Tang氏に代わって登壇したJiang氏が披露した。こちらは、「最初の5Gスマートフォン」とうたわれており、12月に公開された試作機とは異なり、商用化を前提にしているようだ。ゲストとして登壇したクアルコムのCEO、Cristiano Amon氏によると、OPPOの5Gスマートフォンは、「Snapdragon 855」を搭載した世界初の5G対応機になるという。

ゲストとして登壇したクアルコムのCristiano Amon氏
Snapdragon 855を搭載した世界初の5Gスマートフォンは、OPPOのものになるという
各国のキャリア関係者がOPPOと5Gの立ち上げをアピールした

 Snapdragon 855は単体だとLTE Advancedにしか対応していないが、5Gモデムの「Snapdragon X50 5G Modem」を組み合わせることで、5Gに対応できる。OPPOの新端末は、これを利用しているようだ。プレスカンファレンスには、オーストラリアのテルストラとオプタス、スイスのスイスコム、シンガポールのシングテルといった各国のキャリア関係者も招かれ、5Gの立ち上げを壇上でアピールした。

実機で見るロスレス10倍ズーム

画面上の倍率アイコンをタップすると、スライダーに切り替わる。これを左右に動かして、ズーム率を調整する

 プレスカンファレンス会場には、ロスレス10倍ズーム技術を採用したスマートフォンの試作機が置かれていた。端末情報を確認してみたところ、日本でも発売済みの「R11s」がベースになっているようだ。

 ズームは、画面下部に表示された倍率表示のアイコンをスライドさせると映像が拡大していくユーザーインターフェイスで、0.1倍ずつ調整することができた。カメラを切り替える仕様のため、ハードウェア的には3つの焦点距離を選ぶ形になるはずだが、間はデジタルズームで補完しているようだ。そのため、ズームレンズを装着したデジタルカメラのように、徐々に倍率を上げていくことができる。

1倍で撮った写真。ジオラマ全体が収まる
10倍にすると、建物の屋根まで鮮明に写る
試作機では、デジタルズームを組み合わて20倍まで拡大できた
3つ並んだレンズの一番下がズーム用のテレフォトカメラ。高倍率のため、レンズが大きいのが分かる

 展示会場には、欧州風の街並みを再現したジオラマが置かれていたが、10倍にすると模型の細部にまで寄ることができた。試作機のズームは最大20倍。テレフォトカメラに、デジタルズームを組み合わせてこの数値を達成しているようだ。ただし、10倍ズームにすると最短撮影距離を超えてしまったためか、小さな模型にはピントが合わなかった。

 実際にカメラを切り替えている様子を確認するため、テレフォトカメラを指でふさいでみたところ、8.1倍から映像が映らなくなった。テレフォトカメラは159mmという説明だったため、本来であればちょうど10倍でこれに切り替わるはずだが、実機の動作はその通りにはならなかった。会場の説明員に理由をたずねてみたが、詳細は不明。商用化までには、その仕様が明らかになることを期待したい。

テレフォトカメラを指でふさいでみたところ、8.1倍で切り替わっていることが分かった