【MWC19 Barcelona】
OPPO、「ロスレス10倍ズーム」と「5Gスマホ」を公開
2019年2月24日 03:25
スペイン・バルセロナで開催される「MWC19 Barcelona」に先立ち、2月23日(現地時間)にOPPOは同市でプレスカンファレンスを開催。「ロスレス10倍ズーム」技術を採用したスマートフォンのプロトタイプを公開するとともに、5Gスマートフォンの展開時期を明かした。
ロスレス10倍ズームと5Gスマートフォンを披露
プレスカンファレンスには、OPPOのAnyi Jiang副社長が登壇。2018年以来、同社は日本に加えて欧州にも上陸し、展開国を広げているが、2019年1月には、新たにイギリス、ポーランド、トルコの3カ国を加え、計7カ国で販売していることを語った。グローバルでは、40カ国以上にその販路を広げているという。OPPOは技術投資にも積極的で、Jiang氏によると、2019年は総額15億ドル(約1660億円)の投資を予定しているという。
ロスレス10倍ズーム技術は、続けて登壇したプロダクトマネージャーのChuck Wang氏が解説した。同氏によると、OPPOのロスレス10倍ズームは、「トリプルレンズカメラ構造で実現した」という。具体的には、48メガピクセルのメインカメラに加え、35mm判換算で15.9mm相当の超ワイドアングルカメラを搭載。
この10倍に当たる159mmのテレフォトカメラを搭載し、3つのカメラを切り替えることでズームを可能にする。デジカメで一般的な、レンズを動かして焦点距離を変えるズームとは違い、カメラをトリプルカメラによってこれを実現した。テレフォトカメラはペリスコープ(潜望鏡)型のモジュールを採用しており、薄型化を実現。「モジュールの小型化は、(端末の)薄いホームファクターに貢献できる」(同)とした。
このカメラを搭載したスマートフォンは、2019年第2四半期に発売される予定。展示会場には製品ではなく、プロトタイプが展示されており、10倍ズームを試すことができた。
5Gに関しては、OPPOのこれまでの取り組みをディレクターのHenry Tang氏が解説した。同氏によると、OPPOは2015年に5G標準化チームを設立。2018年8月には、5Gのシグナルをつかみ、データ接続を実現した。同年10月には、スマートフォン上で5G経由のインターネット接続を行ったという。また、11月にはWeChatでのビデオ通話を実施するなど、実験を続けてきた。12月には、同社のフラッグシップモデル「Find X」を5Gに対応させた試作機を公開している。
5G対応スマートフォンは、Tang氏に代わって登壇したJiang氏が披露した。こちらは、「最初の5Gスマートフォン」とうたわれており、12月に公開された試作機とは異なり、商用化を前提にしているようだ。ゲストとして登壇したクアルコムのCEO、Cristiano Amon氏によると、OPPOの5Gスマートフォンは、「Snapdragon 855」を搭載した世界初の5G対応機になるという。
Snapdragon 855は単体だとLTE Advancedにしか対応していないが、5Gモデムの「Snapdragon X50 5G Modem」を組み合わせることで、5Gに対応できる。OPPOの新端末は、これを利用しているようだ。プレスカンファレンスには、オーストラリアのテルストラとオプタス、スイスのスイスコム、シンガポールのシングテルといった各国のキャリア関係者も招かれ、5Gの立ち上げを壇上でアピールした。
実機で見るロスレス10倍ズーム
プレスカンファレンス会場には、ロスレス10倍ズーム技術を採用したスマートフォンの試作機が置かれていた。端末情報を確認してみたところ、日本でも発売済みの「R11s」がベースになっているようだ。
ズームは、画面下部に表示された倍率表示のアイコンをスライドさせると映像が拡大していくユーザーインターフェイスで、0.1倍ずつ調整することができた。カメラを切り替える仕様のため、ハードウェア的には3つの焦点距離を選ぶ形になるはずだが、間はデジタルズームで補完しているようだ。そのため、ズームレンズを装着したデジタルカメラのように、徐々に倍率を上げていくことができる。
展示会場には、欧州風の街並みを再現したジオラマが置かれていたが、10倍にすると模型の細部にまで寄ることができた。試作機のズームは最大20倍。テレフォトカメラに、デジタルズームを組み合わせてこの数値を達成しているようだ。ただし、10倍ズームにすると最短撮影距離を超えてしまったためか、小さな模型にはピントが合わなかった。
実際にカメラを切り替えている様子を確認するため、テレフォトカメラを指でふさいでみたところ、8.1倍から映像が映らなくなった。テレフォトカメラは159mmという説明だったため、本来であればちょうど10倍でこれに切り替わるはずだが、実機の動作はその通りにはならなかった。会場の説明員に理由をたずねてみたが、詳細は不明。商用化までには、その仕様が明らかになることを期待したい。