【Mobile World Congress 2014】
ビジョンが導入したSIMカード9枚挿しモバイルWi-Fiルーター
(2014/2/27 15:45)
海外渡航者向けにモバイルWi-Fiルーターのレンタルサービス「グローバルWiFi」を提供するビジョンは、1台の端末で複数国に対応したサービス「ヨーロッパ周遊データPLUS」の提供を2月19日に開始している。Mobile World Congressにあわせてバルセロナを訪れている同社の社長室室長 五味陽介氏に同サービス提供の背景を聞いた。
同氏によれば、従来、複数の国を周遊するユーザー向けには、国ごとに端末を用意するか、ボーダフォンなどの国をまたいで使用できるSIMカードを用意するなどして対応していた。
五味氏は、「複数の端末を貸し出す場合は荷物が増えてしまうという問題があり、ボーダフォンなどのSIMカードを使う場合も通信できる容量の制限があり、特にビジネスユーザーがもっと快適にインターネットを利用できるようにできないかとソリューションを探していた」と語る。
そこでビジョンは、フィンランドのUROSと提携し、同社が提供する10枚のSIMカード(うち1枚は管理用)が挿入できるモバイルWi-Fiルーターを使用したサービス「GOODSPEED」を活用することにした。
GOODSPEEDでは、複数のSIMカードを組み合わせて使用する。「何枚もSIMカードを装着できるので周遊用にはよい。彼らのネットワークと当社が独自に調達したSIMを使い、1日500MB~1GBという大容量で提供できる」(五味氏)という。
Mobile World Congressの展示会場内、フィンランドパビリオンでのプレゼンテーションの準備をしていたUROSのCEO TOMMI UHARI氏に聞いたところ、「このサービスを立ち上げたのは2012年の秋。その後、サポートエリアを順次拡大し、人口ベースで言えば世界の約80%をカバーできるようになった。ビジョンは旅行用のモバイルWi-Fiルーターのレンタルでは日本のリーディングカンパニーで、日本のユーザーにアプローチできるのは当社にとっても大きなメリットがある」と語っていた。
ちなみに、同氏はかつてノキアに在籍し、MeeGoなどの事業を担当していたが、その後、2011年にUROS社を設立してGOODSPEEDのサービスを開始している。
端末の仕様は、大きさ123×63×13mm、重さ127gで、通信方式は下り最大21.1MbpsのHSPA+までに対応。無線LANはIEEE802.11b/g/nをサポート(最大5台まで接続可能)。2550mAhのバッテリーを装備しており、最大8時間の利用が可能だ。日本国内での使用については、技術的には対応しているが、端末の技適マーク取得が済んでいない。
筆者も今回の出張で同端末を使用しているが、経由地のフィンランドを含め、快適に利用できている。スペックシートの最大8時間という数値よりは電池のもちがよくないようにも思えるが、それでも1日1GBまで利用できるというところは、仕事で大容量ファイルのやりとりをする際にも安心感がある。以前、レンタルしたルーターが1日経たずに制限容量に達し、苦労した経験もあるだけに、ビジネス旅行での利用には特にオススメだ。