【Mobile World Congress 2012】
中国メーカーもAndroidスマホ出展、チップ開発のMediaTekも


 「Mobile World Congress 2012」には、日本ではあまりなじみのない中国メーカーもブースを出展していた。これらの企業は「HALL 2」に集まっており、ファーウェイやZTEといった大手に比べると展示の規模は小さい。ただ、近年ではスマートフォンの開発にも着手し、幅広いバリエーションの端末を生み出している。

中国企業のコンカ

 コンカ(康佳)は中国・深センに拠点を置く家電メーカーで、端末は国内市場だけではなく南米でも販売しているという。ブースにはタッチパネル式のユーザーインターフェイス(UI)を備えたフィーチャーフォン(従来型の携帯電話)に加え、Androidのスマートフォンも置かれていた。スマートフォンは独自UIを採用……と思いきや、ホームアプリの「GOランチャー」を内蔵。端末にはMediaTek製のチップセットを使用しているという。

コンカのスマートフォン。端末には「GOランチャー」が内蔵されていたフィーチャーフォンも開発。タッチの精度は意外と高く、メニューのスクロールも滑らかだった。ただし、一部のアイコンのデザインがiPhoneに酷似しており、著作権に対する意識の低さがうかがえる。

白物家電でおなじみのハイアールも出展

 白物家電メーカーとして高いシェアを持つハイアールも、携帯電話を出展していた。ブースにはAndroid端末「N76W」「N72W」「N80W」のポスターが飾られており、端末に触れることもできた。ただし、電源が入らないモデルも多く、動作の確認は行えていない。

 会場にいた説明員によると、「N76W」と「N72W」はMediaTek製の、「N80W」はクアルコム製のチップセットを搭載しているという。いずれも3G対応で、OSはAndroid 2.3となる。ディスプレイは4インチ以下のモデルばかりだったが、「N72W」はQWERTYキーボードタイプとなり、ラインナップ間の差別化も図られていた。

メイン端末のポスターが飾られていた。画面内のデザインがどう見ても「HTC Sense」だが、実機ではAndroid標準のUIが表示されたビビッドなカラーが印象的なN80W。3機種の中では唯一のクアルコムチップ搭載モデル
QWERTYキーボードを搭載するW72W3.75インチのディスプレイを採用するN76W

 こうしたメーカーを支えるプラットフォームを開発しているのが、台湾企業のMediaTekだ。同社は中国で格安のフィーチャーフォンである「山寨機(さんさいき)」を開発するメーカーにチップを販売していたことで有名な企業。最近では3G対応のチップが、安価なAndroid端末の開発に一役買っているようだ。このMediaTekも「HALL 1」にブースを構えていた。商談中心のため展示は少なかったが、ケース内にはLGエレクトロニクスやモトローラといった大手メーカーの端末も並べられていた。

MediaTekは商談用のスペースが中心ブースの壁には、同社のプラットフォームを採用した端末がずらりと並べられていた
モトローラ製のQWERTYキー搭載端末。デュアルSIMに対応LGエレクトロニクスの端末もデュアルSIMに対応する
テンキーの大きく海外版らくらくホンのような位置づけの端末。TD-SCDMA対応スマートフォンも展示。写真はZTE製の端末で、Wi-Fi、Bluetooth、GPS、FMをセットにした「4-in-1」というチップを採用
アルカテルブランドのスマートフォン。レノボのスマートフォンにも、MediaTekのチップが使われている
Vodafoneブランドのフィーチャーフォン。Facebook連携を売りにした端末だモトローラは薄型QWERTYキー搭載モデルもラインナップ

 また、MediaTekはNTTドコモから、「さくらチップ」のライセンスを受けている。“さくらチップ”はドコモや国内メーカーが共同で開発したベースバンドチップの、業界内における通称で、富士通の「ARROWS X LTE」などが採用している。チップの出荷は今年で、「2014年までには端末もローンチされているのでは」(説明員)という。近い将来、同社のチップを搭載したLTE端末もMobile World Congressで目にすることになりそうだ。




(石野 純也)

2012/3/2 15:07