【Mobile World Congress 2011】
サムスン電子が語る日本市場での戦略


サムスン電子、無線事業部 東南アジア輸出Group長、専務の趙洪植氏

 サムスン電子はMobile World Congressで日本のメディア向けに懇談会を開催した。会には無線事業部 東南アジア輸出Group長、専務の趙洪植(Cho Hongsik)氏が出席し、一部報道陣からの質問に答えている。同氏は東南アジアのケータイ事業を統括しており、日本市場にも詳しい。一問一答の主な内容は次のとおりだ。

――日本でGALAXY Sがヒットしました。その要因をどのように分析してますか?

趙氏
 それはこちらが教えてほしいくらいです(笑)。ただ、サムスンはグローバルで戦っている企業なので、Androidに取り組むのも、日本の企業より少しだけ早かった。いち早くNexus Sを出せたように、社内に経験のあるエンジニアもたくさんいます。もっと重要なのは、オペレーターとどう協力していくかです。アメリカの会社はエコシステムまで全て握ろうとしますよね? そうではなく、オペレーターのサービスやネットワークを考えながら、一緒にやっていくことが重要です。

――日本でのシェアは、どの程度まで高めるのか、目標があれば教えてください。

趙氏
 そういう目標はありません。物がよければ売れるわけではありませんからね。どちらかというと、オペレーターの考え方やマーケティングが重要です。その意味では、うちが勝手に目標を決めることはできません。むしろ、オペレーターさんに聞いた方が早いかもしれませんね(笑)。

――GALAXY Sをドコモから発売して学んだことはありますか?

趙氏
 ドコモさんは長らく50%のシェアを持っている会社です。このシェアは実力がなければ維持できません。蓄積も多く、一緒にやってたくさん日本のことを学びました。

――GALAXY S IIなどにはNFCが搭載されています。FeliCa端末をサムスン電子が手がける可能性はあるのでしょうか?

趙氏
 日本向けには当然考えなければいけないことです。ただ、今の段階ではFeliCaなのか、NFCなのかが分かりません。FeliCaをやるには、ソフトウェア部分も触る必要が出てきて、OSのバージョンアップにも手間がすごくかかります。フィーチャーフォンでFeliCaの経験もつんでいますが、すぐに「よしやろう」とはいきません。

――ワンセグに関してはいかがでしょう?

趙氏
 技術的な問題は全くありません。やろうと思えば、すぐに入れられます。

――アジア全体を見ている趙氏の目には、日本市場がどのように映っているのでしょうか?

趙氏
 あくまで個人的な見解ですが、ほかの市場よりは厳しいですね。それは、ユーザーのレベルが高いという意味です。ですから、ほかよりも気をつけて、いい物を出すようにやっています。今のところは、安い方にはいかず、物のよさや実力を見せていきたいですね。

――GALAXY S IIはマイナーチェンジだという厳しい声もありますが、これに対してはいかがですか?

趙氏
 単に画面を大きくしたGALAXY Sというわけではありません。中身もかなり変えています。ちゃんと見てもらえれば、それは分かってもらえるでしょう。

――GALAXY S IIの「ゲームハブ」には、DeNAのモバゲータウンがインテグレートされています。スマートフォンのコンテンツに対してはどのようなスタンスで望んでいるのでしょうか?

趙氏
 サムスンだけで全てのことはできません。そのような時は、プロとしてやっているところと提携します。いい物を作っているところから提供してもらった方がいいですからね。

――ソニー・コンピュータエンタテインメントは「PlayStation Suite」をグループ以外にもオープンにすると言っていますが、こちらはいかがでしょう?

趙氏
 サムスンとしてのこだわりはありません。オペレーターやお客様の要望が多ければ、当然やっていく可能性もあります。

 



(石野 純也)

2011/2/16 11:19