【IFA2015】
IFA出張で試した「mineo海外用プリペイドSIM」
(2015/9/8 12:35)
海外旅行の際に頭を悩ませるのが、現地での通信環境。各キャリアの提供する国際ローミングを利用するのがもっとも簡単な手段だが、データ通信は最大2980円。料金は0円からスタートするが、スマートフォンを使えば、すぐに上限に張り付いてしまう。
ドコモのみ、「海外1dayパケ」を用意しており、例えば今筆者のいるドイツなら1280円でデータ通信を行えるが、30MBを超えると速度制限がかかる。マップやメールの添付ファイルをチェックしただけで、すぐに達してしまうデータ量と言えるだろう。かく言う筆者も、飛行着陸後、すぐに電源を入れたら、アプリのアップデートが一気にかかり、入国前に30MBを使い切ってしまったことがあった。
そんな中、海外で使えるSIMカードとして登場したのが、ケイ・オプティコムが販売する「mineo海外用プリペイドSIM」だ。海外用のSIMカードを提供している会社はほかにもあるが、mineoのサイトからすぐに申し込みが可能。mineoのアンテナショップでも販売されており、大阪圏内に住む人なら、気軽に店舗で購入できるのも魅力だ。
データ通信のみだが、料金はゾーンごとに異なり、1MBあたりZone1では32円、Zone2では92円、Zone3では858円がかかる。これだとやや割高に思えるかもしれないが、日本人の渡航が多いと思われる国では、別途、「データパックチャージ」を申し込むことが可能だ。こちらは、30MBで650円。100MBで1480円、500MBで5480円、1GBで9800円という選択肢も用意されている。
今回、IFAの出張に合わせ、このmineo海外用プリペイドSIMを使ってみることにした。
筆者は毎年1回IFAを取材するため、現地のプリペイドSIMを保有している。持っているのは、ドイツのMVNOである「Congstar」。最大手キャリア、T-Mobileのサブブランドで、回線も同社のものを使用する。3GBのデータパックが用意されており、料金は19.9ユーロ(約2638円)だ。
ただ、残念ながら、日本からチャージをする方法が失われてしまった。以前はドイツのプリペイド用チャージサイトからクレジットカードで残高を追加でき、オンラインからデータパックの申し込みを行えたが、今年試してみたところ、日本のクレジットカードが通らなくなってしまっていた。そのため、空港についてすぐにデータ通信を使うことができない。
そんなとき、ちょうどmineo海外用プリペイドSIMが登場。渡りに船ということで、すぐにSIMカードを開通。初日用に、100MBのデータパッケージを購入した。mineo海外用SIMカードは、記者会見のときにお試し用をいただいていたため、かかった料金は1480円になる。
ここまでの作業はすべて日本で行っている。アクティベートも簡単。SIMカードのICCIDなどを入力して、アカウントを作ってチャージをするだけだ。チャージにはPayPalも利用でき、すでにアカウントを持っていた筆者は、支払い用のクレジットカードの登録も不要だった。念のため、テストとして日本で端末にSIMカードを差し、APNの設定を行った。ただし、データ通信をしてしまうと日本でも料金がかかってしまうため、データ通信はオフにしている。
そして、IFAに向け出発。到着したのは、日本企業の多いドイツ・デュッセルドルフ。ここで一泊したあと、IFAの開催されるベルリンには、陸路で向かう予定を立てていた。デュッセルドルフ空港に着陸したあと、mineo海外用プリペイドSIMを挿した「ZenFone 2」の電源を入れたところ……すぐにT-Mobileの電波をつかみ、通信できるようになった。
ちなみに、なぜZenFone 2を選択したかというと、この端末がハイスペックで、なおかつデュアルSIMに対応していたからだ。2つ目のSIMカードスロットには、普段使っているドコモのSIMカードを入れている。これなら、安価にデータ通信を使いつつ、いつもの電話番号にかかってきた電話を取り逃す心配も少なくなる。
T-Mobile自体はLTEを提供しているが、残念ながらmineo海外プリペイド用SIMでは接続ができない。そのため、通信は3Gになる。とは言え、そこはさすがのドイツNo.1キャリア。通信環境は安定しており、下りで14Mbps程度出ている。これならSNSも十分できるし、少々重たいサイトを開いても、苦にはならない。むしろ、快適に通信できたと評価できる。
到着初日は、そのままデュッセルドルフの街をフラフラ散歩してみることにした。散歩をして、少し疲れたぐらいのときに寝れば、時差ボケが解消できるからだ。その際にもマップを利用したり、SNSに写真を投稿したりしたが、100MBはなかなか使い切れなかった。
そうこうしているうちに、ホテルに戻り、SIMカードが入ったままの端末を放置していたところ、バックグラウンドでメールなどを受信しており、いつの間にか100MBに達していた。以降は、データ通信ができなくなり、ブラウザを開くとmineo海外用プリペイドSIMのサイトにつながる。ここで追加のチャージができるため、チャージのためにWi-Fiなど、別の回線を用意する必要がないのは便利だ。
翌日以降はドイツ国内でチャージしたCongstarと、ドイツのホテル宛てに郵送しておいたblauのSIMカードで乗り切っており、今に至る。IFA中、原稿をどこからでも簡単に送れるのは、こうしたSIMカードのお陰だ。
というわけで、現地でのSIMカードを買うまでのつなぎ役として、mineo海外用SIMカードは十分な役割を果たした。ここまでデータ通信を頻繁に使わない人なら、これ1枚で滞在期間を乗り切ることも可能だろう。
一方で、そうした現地SIMと比べると、通信料が少々高いことは否めない。特に1GBの9800円は、購入をためらってしまう金額かもしれない。人によっては1週間以上使えるためお得だが、やはり現地のプリペイドSIMの通信料を知っていると、割高に感じる。今回のIFA取材でメインに使っているblauは、19.9ユーロの支払いで5GBのデータパッケージに申し込めた。しかも接続はLTE。日本で準備できる利便性があるとはいえ、mineo海外用プリペイドSIMにも、もうひと頑張りしてほしいところだ。もし1GBが3000円ぐらいであれば、mineo海外用プリペイドSIMだけで出張を乗り切るということも視野に入ってくる。
ケイ・オプティコムによると、mineo海外用プリペイドSIMは、将来を見据えて開始したサービスとのこと。今はまだ、ユーザーのニーズを探っている段階と言えるのかもしれない。料金のさらなる値下げには、期待したいところだ。
もっとも、現時点でも現地のSIMカードを買うまでのつなぎ役としては、十分役に立つ。また、1GBのパッケージを買っても、1週間キャリアの海外用パケット定額を使うよりは安い。現地でプリペイドSIMを買う余裕がない忙しい人でも簡単に使えるという点では、このようなサービスが登場したことは歓迎できる。