【CTIA WIRELESS 2010】
クアルコム、MediaFLOや極小通信端末などを展示


アウディ車が設置されたクアルコムブース

 クアルコムのブースでは、スペイン・バルセロナで2月に開催された「Mobile World Congress 2010」(MWC)とほぼ同内容の展示となっているが、一部で新たな動きも見られた。

 新たな内容としては、同社がスマートブックと呼ぶノートパソコンで、発表済みのうち、ヒューレット・パッカード製のスマートブック「Compaq Airlife 100」(OSはAndroid)が展示されていた。スペインで発売される予定の同端末は、2月のMWCで発表されていたものだが、1カ月経った今回、実機として登場したことになる。

 また23日には、OperaのブラウザがBrew Mobile Platform(BrewMP)向けに開発されることが発表された。BrewMPは、auの携帯電話でも採用されているBREWの進化系に位置付けられる、携帯端末向けのソフトウェアプラットフォーム。BrewMPは、シングルコアの比較的安価なチップセットでも動作することが設計のコンセプトに含まれており、エマージングマーケットなどでの展開が期待されている。BrewMPを初めて採用したHTC製の「HTC Smart」のプロセッサは300MHzで駆動する。今回の発表では、Operaの組込向けブラウザ(Opera Mobile)がBrewMP向けに開発されることが明らかにされている。

HP製のスマートブッククアルコムのテスト端末で動作するOpera

 ブースの一角には、同社と協力するアウディの自動車が設置され、後部座席でコンテンツを楽しめるようになっていた。前方座席のヘッドレスト背面にAudiobox製MediaFLO端末を取り付けた物という。また、前方のカーナビは3Gモジュール搭載で、地図データなどを通信経由で取得できる。

ヘッドレスト背面にMediaFLO端末前方のナビは通信対応。MediaFLO端末と関連はない

 iPhoneでもMediaFLOが楽しめるよう、mophieという企業が開発した“MediaFLO受信機/外部バッテリー内蔵のiPhone用ジャケット”も展示されている。映像はWi-Fi経由でiPhone上で視聴できる。

iPhone用MediaFLO対応ジャケット受信専用機やDVDプレイヤー一体型端末など、さまざまなMediaFLO端末

 また同社の研究開発部門が手がけた通信モジュールは、コイン大のサイズに仕上げられ、ウェアラブルコンピュータでの利用を提案している。携帯電話などに用いられるチップセットと比べ、利用できる機能は制限されるが、将来的な用途拡大を見据え、同社内で開発を進めてきたものという。

小型化された通信モジュール一般的なチップセットと比べ、機能は制限されているが、ウェアラブルコンピュータ向けモジュールとしての発展を目指す

 通信技術関連では、実機は用意されていなかったものの、フェムトセルなどについて紹介。同社ではフェムトセル用チップセットの開発を進めており、将来的にフェムトセル側で周囲の基地局の状況をチェックして、出力などを調整し、干渉を制御できる仕組みを取り入れる方針などが説明されていた。またEV-DO Rev.Bに関する資料も紹介されていた。CDMA方式を採用するKDDIでは、将来的に現行のEV-DO Rev.Aの帯域を複数束ねるRev.Aのマルチキャリア化を推進する方針を示している。この技術は、これは基地局のソフトウェアアップデートで実現できるとのことで、Rev.Bとほぼ同じ仕組み。ただしRev.Bはマルチキャリアの後、基地局ハードウェアを交換することでさらに高速化できる。

 このほか、光の反射によって蝶の羽が変化することから着想、開発されたというディスプレイ技術「Mirasol」の展示も行われた。

フェムトセルに関する説明Rev.Bに関する説明。
クアルコム製チップセットを搭載するスマートフォンの数々。AndroidやWindows Mobileなど、ハイエンド機種の多くで利用されているMirasolのデモ

 



(関口 聖)

2010/3/24/ 19:55