【CES 2018】
「スマートG-SHOCK」に“体温発電”――機能やデザインに個性がでてきたスマートウォッチ
2018年1月15日 18:14
腕時計型のウェアラブルデバイスもCESでは多数展示されている。この分野、Apple WatchとAndroid Wearというスタンダードが洗練されてきたおかげで、それ以外の製品はデザインやユニークさで勝負するようになっている。ここでは筆者の目についたユニークなスマートウォッチをレポートする。
本格的なアウトドア活動向けの「スマートG-SHOCK」
カシオはCESで発表となったG-SHOCKブランドのスマートウォッチ「RANGEMAN(GPR-B1000)」を展示していた。こちらは「レンジャー」(森林警備隊や特殊部隊のこと。5人で悪をたこ殴りにするタイプの人たちのことではない、と思う)をテーマとした、やや本格的なアウトドア活動向けのスマートウォッチとなる。
GPSを内蔵していて、ルートログを取るだけでなく、スマートフォンから転送したルートの簡易ナビゲーションが可能となっている。スマートフォンの通知受信などの機能はなく、むしろスマートフォンをオフにする圏外環境で利用するようなイメージだ。非接触充電を用いるが、補助的に太陽光発電も行う。
ディスプレイは発光しない全反射タイプで、セグメント式ではなくちゃんとしたマトリクス式でさまざまな情報を表示できる。タッチパネルではないが、側面の竜頭を回す・押すでメニュー操作が可能。竜頭は適度な硬さで、手袋をしてるときに便利そうだ。
こちらの製品、3月にアメリカにおいて800ドルで発売される。日本での発売は「検討中」とのことだが、これまでの例からすると十中八九発売されるとみてよいだろう。
このほかにもカシオブースでは、同社のAndroid Wear第2世代製品「PRO TRECK Smart WSD-F20」の限定カラーモデルも展示されていた。こちらは3月16日より世界1500台限定で販売される。価格は従来モデルと同じ。また、昨年末に追加されたバンド交換可能な「WSD-F20X」も並んでいた。
多数のブランドでスマートウォッチを展開するFOSSIL
FOSSIL(フォッシル)はさまざまなデザインのスマートウォッチを出品していた。同社はFOSSIL Qブランドや買収したMISFITブランドなど自社で保有するブランドのほかに、スマートウォッチを開発しないファッションブランドに対し、ブランドを借りてスマートウォッチを展開している。CESではこれらのブランドを冠したスマートウォッチを展示されていた。
事業展開もユニークだが、スマートウォッチもちょっとユニークだ。Android Wearも手がけているが、アナログ針を備えたスマートウォッチも多数販売している。アナログ針を持ったモデルは、ディスプレイは一切持たないが、針の位置で通知なども知ることができるようになっている。
アナログ針+全面ディスプレイの「ZeTime」
MyKronozはアナログ針とTFTカラーディスプレイの両方を搭載するスマートウォッチ「ZeTime」を展示。こちら、文字盤の一部だけがディスプレイといったケチくさいことはなく、文字盤全体がカラーディスプレイになっていて、ディスプレイの中央の穴からアナログ針の軸が伸びている形状だ。他社にはない非常に珍しい形状となっている。
「ZeTime」はすでにKickStarterとIndiegogoのクラウドファンディングを成功させていて、199ドルで販売される予定だ。
子どもによい習慣を覚えさせる「Carrie Watch」
Kidsoftは子ども向けスマートウォッチ「Carrie Watch」を展示している。こちら、子どもによい習慣を持たせるのを支援するというスマートウォッチで、たとえば歯を磨く、ピアノのレッスンをする、手を洗うといった行動に対してポイントを発行し、子どものモチベーションにつなげることを狙っている。韓国と米国、中国で展開している。
まるで人間火力発電所だ。体温で発電する「MATRIX」
CES会場での展示ではないが、同時期にラスベガスで開催されているプレス向けイベント「Showstoppers」で展示されていた「MATRIX PowerWatch」は、なんと充電も電池交換も不要というスマートウォッチだ。どういうことかというと、ケースの裏側、手首に接する部分の「熱」で発電するのである。
2種類の金属を貼り合わせると、温度差によって電圧が生じたり、電圧をかけると温度差が生じる(ゼーベック効果)。これを使った温度計(熱電対)や冷却素子(ペルチェ素子)などはよく知られているが、発電に使ってしまおうというのがこの製品となる。普通のスマートウォッチは腕から外して充電するが、MATRIX PowerWatchは腕から外すと充電できないというわけだ。
さすがに発電量が少ないので、画面は発光しない全反射型となっている。機能も限定的だが、上位モデルで1月発売の「PowerWatch X」は、スマホの通知を受ける機能も持っている。発言活発なチャットグループの通知を受け続けたら、よほど“熱い”男(あるいは女)でないとバッテリーが持たなさそうだが、充電できない環境で長時間、アクティビティトラッキングなどをしたい場合は、面白い選択しかも知れない。充電端子などもないのでボディデザインはシンプル堅牢で、50m防水まで対応している。
原稿執筆時点ではCES記念(CESに出展はしてないけど)で割引販売されている。この手の製品としては珍しく日本語表示にも対応し、日本の技適も通ってるとのことだ(展示実機はプロトタイプで背面に技適表示は確認できなかった)。