石野純也の「スマホとお金」

「ギガ活」終了後の「povo」活用術を考える

 「povo2.0」開始当初からの“売り”だったサービスの1つ、「ギガ活」が6月30日で終了しました。正確に言えば、「ギガ活の中のau PAY方式」が終わっただけですが、IDを連携させてau PAYで決済するだけともっとも手軽にギガ(データ容量)をもらえる仕組みだったため、サービス終了に衝撃を受けたユーザーは少なくないでしょう。

 かく言う筆者もその1人。平均すると1日で3、4台の端末を持ち歩いているため、これまで、iPhoneシリーズは基本的にギガ活でデータ容量をまかなっていました。7月、8月は6月に支払ったぶんのプロモコードが残っているものの、それも間もなく終了します。では、“ギガ活後”のpovo2.0は、どのように使っていけばいいでしょうか。それを考えてみました。

au PAY方式のギガ活が、6月30日で終了した

6月30日で終了したau PAY方式のギガ活、一部は残るも代替にはならず

 ギガ活は、povo2.0の開始とともに導入された特典。“推し活”のように、何かをすることでギガがもらえる仕組みで、au PAY方式はその1つとして導入されました。具体的には、指定されたチェーン店で一定額以上をau PAYで決済すると、データ容量を追加できるプロモコードがメールで送られてくる形です。

 必要な金額は店舗によって異なりますが、例えばローソンやドトールなどでは、500円ごとに300MB(3日間)が付与されていました。コード方式のau PAYで決済するだけでよく、商品自体の価格は変わらないため、普段からそのお店を使っている人にとっては実質的に無料でギガがもらえたというわけです。ローソンのようなコンビニとは、特に相性がよかった特典と言えるでしょう。

au PAYで決済すると、後からプロモコードが送られてくるスタイル。普段の買い物でつくため、特別な負担感がなく継続しやすかった

 実際、筆者の場合だとタバコ(アイコスのスティック)をau PAYで1つ買うだけで300MBがもらえていました。これに加えてお弁当などを購入することも多く、1日に最低1つか2つ程度のクーポンが付与されていた格好です。1日300MBだとしても、30日で9000MB。約9GBに相当するため、中容量のプランが無料になるようなもの。ほぼほぼトッピングなしで1カ月のデータ通信をまかなえていました。

データボーナスは300MBから20GBまでの4種類。ギガ活で多かったのは、500円程度の決済で300MB(3日間)が付与される特典

 とは言え、そんなユーザーばかりだと、キャリア側がいっこうに儲からないのも事実。以前から、出ては消え、また出ては消えを繰り返している0円の通信サービスですが、povo2.0のギガ活も3年弱で終了してしまいました。金の声がしない0円サービスは諸行無常。そんな覚悟をして使うべきなのかもしれません。

 au PAY方式以外のギガ活は残っているものの、バリエーションは限定的。手っ取り早いのは「Nudgeカード」を作って決済することで、こちらは1万円ごとに1GB(24時間)のデータボーナスをもらうことが可能です。ただ、金額が大きい上に、期間が24時間と短いのが難点。

カード決済1万円ごとに、1GB(24時間)のデータボーナスがもらえる。データ容量は大きいが、期限が短いのが難点

 もう1つの「タウンWiFi by GMO」では、WiFiポイントをギガに交換できますが、こちらの場合は広告の視聴などが必要になり、そこそこ時間が取られます。交換は2万4000ポイントからとなっており、ややハードルは高め。いずれも、au PAY方式のように、気軽に毎日コツコツとギガを貯められるような仕組みではありません。どちらかと言えば、既存のトッピングを補完するような使い方が主流になりそうです。

タウンWiFiのWiFiポイントをpovo2.0のデータ容量に交換することが可能だ

「+αトッピング」は代わりになるか? データ追加が実質無料になるものも

 では、何かau PAY方式のギガ活を代替するような裏技があるかと言うと、残念ながら、今のところ抜け道はありません。トッピングに少しだけ追加する調味料のような使い方をしていた人には大きな影響はないものの、ギガ活をトッピング代わりにしていた人にとっては打撃になるかもしれません。

 ただし、povo2.0ではau PAY方式のギガ活終了の前から、 「+αトッピング」という名目でサードパーティのサービスとギガがセットになったトッピング を販売しています。+αトッピングは期間限定で、銘柄は都度入れ替わってしまいますが、本稿執筆時点では「チョコザップ」「ローソン」「U-NEXT」がセットになったものが販売されています。

本稿執筆時点では、ローソン、チョコザップ、U-NEXTがセットになったトッピングが販売されている

 例えばローソンの場合、ローソンで利用可能な500円ぶんのお買物券と、データ追加0.3GB(24時間)がセットになっています。これを購入すると、即座に0.3GBのギガが追加され、後からローソンのお買い物券が登録してあるメールアドレスに送られてきます。このトッピングの金額は500円。お買い物券は貨幣の500円と違い、利用先がローソンに限定されてしまうものの、実質的には無料で0.3GBが手に入る格好です。

500円払って500円ぶんのお買い物券を購入すると、データ容量が0.3GBもらえる。実質的に、無料でデータ容量が手に入るトッピングと言えそうだ

 元々ローソンで買い物をする予定があった人にとっては、ギガ活とほぼ同じような形でデータ追加0.3GBがもらえると言えるでしょう。これは、形を変えたギガ活と捉えることも可能です。

 ただし、au PAY方式のギガ活と違い、期間は限定されています。ローソンのトッピングは、現状7月31日まで。以前は「からあげクン」をセットにしたトッピングもあったため、この手のコラボが完全になくなる可能性は低そうですが、クーポンの中身が変わる可能性はあります。

 また、+αトッピングは必ずしもギガが無料になるとは限らない点には注意が必要になります。例えば、U-NEXTの「30日間見放題+1,200ポイント」の場合、追加されるギガは5GB(30日間)と比較的大き目な反面、料金は2980円になります。U-NEXTを単体で契約した時の料金は月額2189円のため、差し引きで791円が追加でかかる計算になります。5GBで791円だと考えれば割安ではあるものの、追加の料金がかかることは念頭に置いておきましょう。

U-NEXTのトッピングは、単体で加入するより高い。そのぶん、付与されるデータ容量は5GBと大きい

povo2.0ならではのお得感も、ただし再購入には制限も

 逆に、チョコザップは1カ月無料チケットとデータ追加0.3GB(15日間)がセットになって料金は500円。チョコザップの通常料金は、1カ月あたり3278円かかるため、かなり割安な価格設定になっていることが分かります。おそらく利用促進のためのキャンペーン的な位置づけなのでしょう。別途、初月会費はかかるものの、入会金などはチョコザップ側のキャンペーンで現在無料になっています。

チョコザップのトッピングは、料金が500円。同サービスを単体で利用する際の月額料金より大幅に安い

 また、U-NEXTに関しても、通常のプランには「7日間見放題+550ポイント」があり、こちらにはデータ追加0.3GB(24時間)がついてきます。料金は980円。U-NEXTの月額料金と比較すると半額以下になっているため、映画やドラマなどを1週間、集中して視聴したい時などに便利です。

U-NEXTのトッピングは、7日限定のものが選択可能だ

 このように、+αトッピングはそのラインナップや使い方によっては、ギガ活と同じか、それ以上のお得度になると言えるでしょう。ただし、対応店舗が多岐に渡っていたギガ活とは異なり、バリエーションに乏しいのは事実。近くにローソンがなかったり、ジムに興味がなかったり、映像サービスは別のもので十分と考えているような時には、あまりメリットがありません。

 この中では比較的幅広い人向けと言えそうなローソンのトッピングも、いったん購入すると、ギガの有効期限切れになるまで再購入ができません。ギガ活のようにたくさんプロモコードをもらっておき、それだけで過ごすといった使い方はできないようになっています。その意味では、ユーザー側がpovo2.0の使い方を変えていくしかありません。

ローソンのトッピングを購入すると、選択肢から消えてしまう。購入日翌日の23時59分まで、再購入ができない

 もっとも、 povo2.0は小容量の3GB(30日間)であれば料金は990円。逆に、データ容量が無制限になる「使い放題(7日間)12回分」も、1カ月あたりの料金は3278円と楽天モバイル並みにリーズナブル です。

 無料で小容量~中容量ぐらいのデータ通信をするのは難しくなってしまったものの、それでもコストは最小限に抑えられます。期間限定でまとめ買いをすると安くなるようなトッピングが出ることもあるため、今後は、こうしたチャンスを逃さないようにする必要性も高まりそうです。

石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya