本日の一品

「パラレルペン」でクリスマスまでにカリグラフィーをマスター

カリグラフィーから現代のデザインワークまで役立つ「パラレルペン」

 聖書など、中世の書物を見ると、時に恐ろしく綺麗な独特の書体で書かれた著作を見ることがある。カリグラフィー(Calligraphy:ギリシャ語で「美しい書法」)にのっとって書かれた、独特の魅力を持つ文字だ。

 本来、カリグラフィーにはカリグラフィー専用に開発、製造されたペンを使う。一方、カリグラフィー的書法に軸足を置きながらも、より現代風にアレンジされ洗練された文字や模様をシャープに描くためのペンが日本にもあった。

2枚のプレートが引っ付いた感じの独特のペン先。6mm幅の超太線も楽々だ

 パイロット社が開発した「パラレルペン」と呼ばれる特殊な筆記具だ。従来の標準的なカリグラフィー用のペンは、万年筆のペン先をより扁平にし、1.5mm前後の太い線を実現している。対して、パイロット社のパラレルペンは、特殊合金製のパラレルプレートという扁平な板を平行に2枚重ねた構造をしている。

 そのため、カリグラフィーの特徴である太い線を表現できるペン幅はより広くなり、一番幅の狭いパラレルペン(P-FP-120R-15)でも1.5mm、最大幅のパラレルペン(P-FP-120R-60)ではなんと6.0mmの超ワイドなペン幅を実現している。その両者の間にペン幅2.4mmと3.8mmのパラレルペンがあり、全部で4モデルとなっている。

 この4種類のパラレルペンと、12色の専用水性染料インキ(ブラック、ブルーブラック、セピア、バイオレット、ブルー、ターコイズ、グリーン、ライトグリーン、イエロー、オレンジ、レッド、ピンク)の組み合わせで、きわめてデリケートなカリグラフィーから、力強くダイナミックなカリグラフィーまでを自在に表現できる。

 前述したように、パラレルペンはペン幅サイズの違いによって全部で4モデルがある。外観からそれぞれを識別しやすくするために、異なるカラーのキャップが付属する。筆者が最初に購入したのは、黄色いキャップのペン幅2.4mm(P-FP-120R-24)。キットに標準に付属していた赤と黒のインクのうち黒を装填。試しにいくつかの文字を描いてみたが、やはり単色では面白さが半減する。

パッケージの同梱物は、パラレルペン本体とキャップ、黒と赤のカートリッジ、洗浄用スポイト、紙粉クリーナー、お手本付き取説。

 翌日、ネット通販で今度は青いキャップのペン幅6.0mmのものを購入。赤黒の対比をやってみたくて、赤のインクを装填した。全てのパラレルペンには、パラレルペン本体に、黒と赤のカートリッジがそれぞれ1本ずつ。そして、濃いブルーの洗浄用スポイトとインクの目詰りを解決する紙粉クリーナー、お手本付き取説が付属する。

6mm幅のペンは刷毛に見えるくらい幅が広い。別途、赤のインクカートリッジも250円(税別)で購入した

 変わったところでは、2本のパラレルペンにそれぞれに異なるカラーのインクが入っていれば、ペン先同士を数秒間くっつけるだけでお互いのインクが混じり、その状態で筆記するとグラデーション筆記が実現するらしいが、初心者はそんなことよりまずはペンの持ち方からスタートだろう。

 万年筆のペン先と異なり、パラレルペンの2枚のパラレルプレートは見た目はほぼ完全にくっついていて、フラットな1枚のブレードのように見える。装填したカートリッジのインクはその2枚のプレートの間を流れて、筆記面にたどり着き、適量のインクを流して筆跡を作っていく感じだ。

 ペン先のブレードを幅広の刷毛のように紙面に完全にくっつけて、まっすぐ手前に引けば、ほぼペン幅の太い先が縦に引ける。そして、コーナーの細いエッジで普通の万年筆のように文字を書くことも可能だ。

カリグラフィーとは程遠い初めてのチャレンジ。12月までには何とか……

 太い刷毛の状態からエッジを使う万年筆の状態までの間の角度を自由に調整することで、極細から極太までの線を自由に描くことができる。口で説明するのは簡単だが、実際にやってみるとこれがなかなか難しい。

 今から練習して、歳の瀬のクリスマスには、手描きの素晴らしいクリスマスカードが作れるだろうか。その為には、少なくとも最初のうちから自我流でやるのではなく、お手本付き取説に記述されている「伝統的なカリグラフィー書体」が役に立つだろう。何事も基本のマスターが将来の飛躍を大きく左右する。まずは、最低2本のパラレルペンが手元に揃っていれば離陸は可能だ。

まずは付属のお手本をクリスマスカードの制作までにマスターしよう
製品名販売元購入価格
パラレルペンパイロット1200円(税別)

ゼロ・ハリ