本日の一品
黄色い文字盤とスマイル窓が楽しい国内未発売のCASIO「AMW-880D」
2026年8月10日 00:00
同じ日本メーカーの腕時計でも、世界へ目を向けると国内では見かけない色やサイズ、機能を持つモデルに出会う。海外専用モデルが生まれる背景には、手首や体格の違いだけでなく、色彩感覚、服装、気候、生活習慣、時計に求める役割、さらに国ごとの価格帯や流通事情がある。
日本では控えめで汎用性の高い意匠が選ばれやすい一方、海外では大きさや鮮やかな色が商品を選ぶ決め手になる市場も多い。筆者は国内向けより、こうした地域の個性がにじむ海外モデルに心を奪われることが多い。
今回のAMW-880Dも、よく利用する時計店から届いた案内メールを見て購入した。文字盤はブラック、ブルー、グリーンなどから選べたが、筆者が迷わず選んだのは極めて珍しいイエローである。ステンレスの銀色と混じり気のない黄色の組み合わせは、スポーティーでありながら、どこか1970年代の工業製品のような楽しさもある。
海外で本来どのような荷姿で出荷されているかは知らないが、今回もオーバーパッキングと思えるほど厳重な梱包で届いた。同店では出荷時のベルト調整や、装着済み電池を新品へ交換するサービスも安価に用意している。しかし電池交換とベルト調整くらいは自分で行わないと気が済まない筆者は、届くとすぐ作業を始める。
ブレスレットの調整は、矢印方向へ板バネを押し出してコマを抜くスライドピン方式だ。構造を理解して適切な工具を使えば比較的簡単だが、ピンの向きや紛失には注意したい。
ステンレス製ブレスレットは、つや消しを基調に一部へ光沢を加えた仕上げで、価格以上の存在感がある。バックルは左右のボタンを同時に押して開くWプッシュ式の三つ折れタイプだ。不意に外れにくく、着脱も素早い。
大きな文字盤はグラデーションのない黄色一色だ。4時位置から8時位置には、底辺を円弧状にした逆台形の液晶表示部がある。その形から通称「スマイル窓」と呼ばれることもある独特のデザインだ。秒針を持たない2針式なので、鮮やかな文字盤でも視覚的なノイズが少なく、時刻を読み取りやすい。
正面からはポップに見えるが、斜めから眺めると印象は一変する。中央の文字盤、立体的な時字、分目盛り、各ボタンの機能名を記した外周部まで、4層にも5層にも見える積層構造なのだ。層と層の間にできる小さな影が、黄色一色の文字盤に奥行きを与えている。筆者が特に気に入った部分である。
裏蓋には型番AMW-880、モジュール番号5574、ステンレススチール、5気圧防水、ワールドタイム、カウントダウンタイマー、3アラームなどが刻印されている。公式仕様ではケースが51.9×47×12mm、重量154g。風防はミネラルガラス、電池はCR2025で約10年駆動する。
機能は29タイムゾーン・30都市のワールドタイム、1/100秒ストップウオッチ、最大24時間のカウントダウンタイマー、スヌーズを含む3本のデイリーアラーム、時報、2099年までのフルオートカレンダーを搭載する。さらに名前8文字と電話番号16桁を最大30件保存できるテレメモ機能も備える。スマートフォン時代に電話帳として使う機会は少なそうだが、端末を開かず確認したい番号や短い数字情報の保管には今でも使い道がある。
スマイル窓はデジタル時刻と日付表示を切り替えられるが、筆者は曜日と月日を常時表示している。アナログ針で時刻、液晶で日付という分担が分かりやすい。
暗所では2時位置のLIGHTボタンを押すと、3時側と9時側からアンバー色のLEDが点灯する。文字盤全体をかなり明るく照らし、時分針の位置を一瞬で確認できる。
ボタンを除いた文字盤周辺は約45mm、公式のケース幅は47mmである。並べたRolex Air-Kingよりひと回り大きく見え、腕に載せた時の迫力は十分だ。それでも黄色の軽快さのおかげで、必要以上に威圧的にはならない。
スマイル窓と聞けば、ちょっとした悪戯を試したくなる。文字盤へ二つの目玉を置くだけで、液晶が口になり、一瞬で腕時計が陽気なキャラクターへ変身した。黄色という色も相まって、この程度の悪ふざけなら大きな心で付き合ってくれる時計である。
カシオの海外モデルは、凝り始めると切りがないほど種類が多い。国内製品とは異なる世界各地の色彩やサイズ感、市場の好みを取り込んだデザインは、選ぶ楽しさで一枚上手だ。金属ブレスレットなので季節を選ばず、真夏には黄色が映え、冬には暗くなりがちな装いの差し色になる。筆者の「カシオ海外モデル愛」は、これからも止まりそうにない。
| 製品名 | 発売元 | 実売価格 |
|---|---|---|
| CASIO STANDARD AMW-880D | カシオ | 1万円 |












