本日の一品
何年かぶりに数台目の「音声デジタルウォッチ」を買ってしまった
2022年9月20日 06:00
主に視覚障害者向けに発売されている腕時計には、音声発話で現在時刻を教えてくれる製品と現在時刻を表示するための時針・分針が時計の外部に露出していてそれを指先で触れて時刻を知ることのできるモノの2種類が存在する。
あらかじめ決められた任意のボタンを押すことで、音声発話で時刻を知らせてくれる腕時計である“トーキングウォッチ”と呼ばれる腕時計は、2000円くらいから売られている。セイコーなどの国産の音声デジタルウォッチが、現在時刻を日本のカルチャーでもあるアニメ系の女性の声で再生させているのに対し、海外製の多くの製品はごく普通の成人女性の声や昔懐かしいコンピューターボイスが多いようだ。
ちなみに、筆者が愛用している“Bradley”は、視覚障害者にも使いやすい腕時計だがトーキングウォッチと異なり音声発話ではなく丸い腕時計の外周、内周を回る時針・分針に該当する小さな鋼球の所在を確認するタイプの防水対応の腕時計だ。
健常者が左手首に装着した場合、普通の角度からでは8時~2時くらいの6時間ぐらいの間が時針にあたる鋼球が月(文字盤)の裏側に行ってしまって見えにくいのが残念だ。Bradleyをマネた後発商品の中には、時針の鋼球が分針鋼球と文字盤上の同心円上を回り死角を失くしたモノも登場してきている。
トーキングウォッチと同じく、筆者が10年近く愛用しているセイコーの音声デジタルウォッチ(SBJS001)は、外観が鉄仮面イメージの世界でも極めて個性的デザインの音声発話型視覚障害者用の腕時計だ。ケース外観は最新製品と同じ背面以外は全てプラスチック製だが、アルミニウム系のイメージを漂わせスピーカーのピンホール、デジタル表示の時計、時刻発話用のプッシュボタンなどの配置が絶妙だ。
今回、筆者が購入した音声デジタルウォッチ(SBJS015)は、従来モデルと同様セイコー製で2年ほど前に手に入れた音声発話腕時計としては最新のモデルだ。今回筆者の購入したモデルカラーはブラック。ほかにシルバーもラインアップされている。
外観は従来モデル(併売)のSBJS001と並べて見てみるとデザイン上の違いは明らかだ。最新モデルのSBJS015の外観は、奇をてらわないごく一般的腕時計と同じ円形のデジタル腕時計だ。2時、4時、8時、10時位置に設定用ボタンが配置されている。
4時位置の赤いボタンが、現在時刻発話機能ボタンとして最もプッシュされる頻度の高いボタンだ。従来モデルでは、デジタル時刻表示ディスプレイのすぐ下にある本体と同色の逆台形ボタンが該当する。操作に関しては慣れの問題だろうが、新作モデルではもっとも使用頻度の高い重要なユーザーインターフェイスのデザインの変更が興味深い。
また最新のモデルは、シリコンラバー製ブレスとワンプッシュ三つ折れ方式の着脱性能に優れたバックル方式を採用している。従来モデルは、金属製ベルトに同じワンプッシュ三つ折れ方式のバックルを採用し、シルバーでまとめられ本体とのバランスは美しい。なので買い替えではなく買い増しや併売のイメージが自然な感じなのだ。
最新モデルも従来モデル同様、背面蓋がステンレス製でそれ以外の本体はシルバー塗装のプラスチックだ。最新モデルでは、現在時刻を知りたい時に押す赤いSPEAKボタン以外はうっかり間違って押さないように、外周の半分ほどがボタンと同じ高さのガードでカバーされている。これも常時操作する側の人間にとってはありがたい保護機能だ。
新旧モデルとも周囲の2時、4時、8時、10時位置にある4個のボタンの機能は共通だ。2時位置が“時報のオン・オフ”、4時位置だけは赤いボタンで現在時刻の発話、8時位置はモード選択で“クロノグラフ”“アラーム”“時計”の3つのモードをトグルで切り替える。そして最後の10時位置は時分秒の“時刻合わせ”だ。もちろん関連する各設定は音声ガイドに従って誰でもできる仕組みとなっている。
視覚障害者の人のためによく考えられたユーザーインターフェイスは、健常者にとっても極めてありがたいものだ。過去、世界中で発売されたいろいろな音声発話の腕時計を実際に使ってみた。セイコーの“音声デジタルウォッチ”シリーズはその本気度、操作性、実用性など全ての面で他社製品を圧倒的に凌駕している。価格的には他社製品の約2倍~3倍するが、価格に見合う十二分のメリットがある実用品だ。やっぱり買うならホンモノだ。
製品名 | 発売元 | 実売価格 |
---|---|---|
SBJS015 | セイコー | 1万8700円 |