本日の一品
パッケージに「ホッチキス」と大きく記した、使えるMAX「道具ホッチキス」
2019年12月9日 06:00
新聞用語では「ホチキス」、JIS規格では米国と同じ「ステープラ」だそうだが、筆者は絶対に「ホッチキス」という呼び名が好きだ。なにより小さな「ッ」の無い“ホチキス”は大嫌いだ。
別にコレクションしているわけでは無いが、海外や都内の文具屋さんを徘徊しているうちに気に入ったホッチキスを見かけると衝動的に買ってしまうことが多く、知らないうちに幾つかのホッチキスが引き出しの中に溜まってしまう。
そんな環境で50年以上昔から愛用しているMAX10は、今も現役の素晴らしいホッチキスだ。筆者が時々行く上野の大きな文房具屋さんで、パッケージに「道具ホッチキス」と記された強そうなホッチキスを見かけてまたしても速攻で買ってしまった。
昨今のホッチキスのデザインは1954年に発売されたMAX10の頃のシャープなデザインに比べると、金属パーツが減り、たとえ金属パーツを使うことがあっても、それをプラスティック素材でモールドするように、セーフティ優先で、曲線的な優しいデザインが多くを占めるようになってきた。
また同時にECOを前面に出した針なしホッチキスも多くのメーカーでラインナップに加わり、いつの間にかホッチキスは丸く、優しくがテーマの文具のようになっていった。
決して丸く優しくのトレンドを否定するつもりは無いが、複数枚の紙を尖った針でバチンと貫き、否応なしに綴じて固定するというある面かなり“暴力的”なホッチキスという文房具なら、自らを偽らないもう少しハードな道具としての打ち出しをテーマにした商品があっても良いと思っていた。
そんなことを考えていた矢先に「プロ仕様 道具ホッチキス」(HD-10TLK)が登場した。道具ホッチキスの特徴は幾つかあるが、開口部が広く20枚綴じ等の場合も綴じ位置までアプローチがしやすいこと。奥行きが深く、紙のスタックを奥まで挿入できるので、深い位置でも簡単確実に綴じられることだ。
また綴じる機構が本体の限りなく前面にあるために“キワとじ”が可能なことだ。これは昨今多いブリスターパッケージなどの幅の狭い淵をホッチキスで簡単に綴じる場合にも有効だ。
そして最近のホッチキスのウリでもある“軽く綴じられて疲れにくい”作業の為の工夫だ。同社独特の「可変倍力機構」搭載により、軽とじ機能(とじる時に必要な力を50%軽減)と本体高さ約23%ダウンを実現することで、手に収まりやすいコンパクトさと疲れにくさの両立を実現している。
最も分かりやすい特長は従来のNo.10針(50本連結)が3連装出来るマガジン(150本)を採用したことだ。これにより弾(針)切れによる作業の中断は大幅に減って作業効率は大きく向上するだろう。
まさに目に見える多くのメリットのある“道具ホッチキス”だが、50年以上昔のMAX10に出来て道具ホッチキスに出来ないことが一つだけあった。ポスターや写真をマンションの壁に使われている石膏ボードに貼り付けるために、本体の下側を開いてホッチキスの針を押しピンのように使う“タッカー打ち”(タッキング)だ。
我が家では、同じ“No.10針”を使う「1967年製のMAX10」と「2019年製のプロ仕様道具ホッチキス」(HD-10TLK)がしばらく共存して行くだろう。
商品名 | 購入場所 | 価格 |
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道具ホッチキス HD-10LTK | 岡本紙文具店(上野) | 800円 |