本日の一品

ドリップ作業に集中できるコーヒー用スケール「Brewista Smart Scale II」
2018年10月18日 06:00
もともと、コーヒーのハンドドリップは簡単な器具を買い揃えるだけで始められるが、サードウェーブ・コーヒーの流れを受けて、さまざまな器具・機器が登場している。今回紹介する「Brewista」(ブリューイスタ)の「Smart Scale II」(スマートスケール2)は、エスプレッソの抽出や、ドリップ作業の各工程で、テア(ゼロリセット)やタイマーの開始を、自動で行ってくれるというコーヒー用スケールだ。
筆者は、ハンドドリップでコーヒーを淹れる際、これまでハリオの「ドリップスケール」を使用していた。キッチンスケールとタイマーをひとつにしたシンプルな製品で、特にタイマーは、ハンドドリップのステップアップを図る上で重宝していた。ただ、よく使うことになる0.1g単位での計量のレスポンスが悪い点と、タイマーを手動で開始しなければいけない点に、不満を覚えるようになってきた。
こうしたことから、コーヒーのハンドドリップに的を絞ったような、より高性能なキッチンスケールを探していたところ、ドリップ時にタイマーを自動的に開始する製品があることが分かった。
また、ブルーボトルコーヒーでも使われているという、Bluetoothでスマートフォンアプリと連携しハンドドリップの監視や分析もできる「acaia」のデジタルスケールが一般に売られていることも分かったが、ちょっと(アプリ側が)高性能すぎるので、今回は選択肢から外した。筆者にとってハンドドリップは、できれば簡単に作業を終わらせたい、もっと気軽に淹れたい、という想いもあるからだ。
ドリップ作業の計量・計測を効果的に手助け
Brewistaの「Smart Scale II」は、残念ながらBluetoothやスマートフォン連携機能はないものの、小型で高性能な製品だ。小型というのは、業務用のエスプレッソマシンのトレイに無理なく置けるサイズを指している。機能も業務利用に耐えうるものとして開発されているようだ。
電源はmicroUSBで充電する1000mAhのバッテリー。過充電保護の回路がなく、満充電になった後も充電し続けるとバッテリーを痛めてしまう点には注意が必要だ。明るいアンバー(橙色)のバックライトも搭載している。電源の自動オフ機能は、無効、1分、2分、3分から選択できる。計量は0.1g単位で2kgまで。0.1g単位でもレスポンスよく動作する。別途、校正用の分銅(500g)を用意すれば、校正も可能になっている。
ボディにはナノコーティングによる撥水処理が施され、キッチン周りでも気兼ねなく使用できる。天板は金属製だが、シリコン製の天板カバーがパッケージに同梱されている。これは、(多量の)液体からの本体の保護や、ドリップ中の器具の熱で計量が狂わないようにするためのものだ。このほか、透明な本体カバーが同梱されており、裏返すと計量時に使えるトレイにもなる。
「Smart Scale II」の機能は、計量、自動的なテア、自動的なタイマーの開始という3つの要素からなり、これらを連携させた、用途にあわせた6つのモードが用意されている。基本的には、スケールにカップなどを置くと自動的にテアが機能してすぐに重さがリセットされ、抽出を開始しカップに液体が落ち始めるとタイマーが自動的にスタートする、という内容だ。
モード1は、テアとタイマーのどちらも手でボタンを押す、手動操作モード。モード2~5は、業務用のエスプレッソマシンとの組み合わせを想定したモードになっている。そしてモード6が、ハンドドリップ向けとして用意されているモードだ。
なお、選んだモードは電源をオフにしても維持される。
ハンドドリップ向けモード
モード6でメーカーが想定している人間側の作業の流れは、(1)スケールに空のドリッパーとサーバーを置き、(2)ドリッパーにコーヒー粉を入れて計量し、(3)そこにお湯を注入してドリップを開始する、というもの。
モード6でスケールが実際にどう動作するかというと、(1)でドリッパー一式を置くと、すぐに自動的にテアが機能して重量が0.0gにリセットされ、(2)で入れるコーヒー粉は計量後に手動でテアボタンを押して再度リセットし、(3)でお湯を入れ始めると、計量開始とともに自動的にカウントアップのタイマーも開始する、という流れになる。
モード6で設定されている内部的な最小限のトリガーに注目すると、固形物が置かれると自動テア → (なんらかの作業後)手動でテアボタンが押される → 重量の増加を検知すると自動タイマー開始、という流れになるだろう。
また、ドリップが終わりドリッパーなどをスケールの上から取り除く(重量が大きく減る)と、タイマーの経過時間と直前までの重量の表示が固定され、液晶に5秒間表示された後、どちらもリセットされモード6の開始状態に戻る。器具を取り除いた後にドリップの時間や重量を確認しつつ、同じ作業を繰り返す場合でも余計なボタンを押す必要がないというわけだ。
筆者宅では
筆者はコーヒーを粉ではなく豆で購入・保管している。コーヒーを淹れようと思った時は、コーヒー豆の状態で使う量を計っており、その後に電動ミルで挽いてコーヒー粉にしている。このため作業の流れは、メーカーが想定する上記の(1)と(2)を入れ替える形になるが、幸いにもモード6の流れに支障はないようだ。ちなみに沸かす前の水の量も毎回同じになるよう計っているが、こちらは計量カップの目盛りを使い、スケールは使っていない。
筆者の作業の流れに沿ってみると、モード6での利用は以下のようになる。
(1)計量カップを置く → 自動テア → コーヒー豆を計量
(1.5)コーヒー豆を電動ミルで挽いてコーヒー粉にする
(2)コーヒー粉を入れたドリッパー+サーバーをセット → 手動でテアボタン
(3)注湯を開始 → 自動タイマー開始
(4)ドリッパーを外す → 自動で表示が停止、5秒後にリセット
メーカーが想定するモード6の作業の流れとは結構違うが、意外にも違いは吸収できている。これであれば、一連の作業の開始から終わりまで、モードを一度も変更せずに済む。というより、開始から終わりまでで押すボタンは、電源オンと、途中の一度のテアボタンだけで、あとはすべて自動である。
ドリップ時の「あったらいいな」が搭載されている
モードの設定に沿ってカップなどをスケールに乗せると、すぐに0.0gの表示にリセットされる自動テアは、単純に便利だ。
お湯を入れ始めると、液晶の数字全体が一度だけ点滅してからタイマーがスタートする点も分かりやすくて良い。ボタンを押して開始する方式だと、どうしても視線を外す時間が長くなるが、点滅してタイマーの開始を確認するだけなら視線を一瞬外すだけで済む。「視線? お前は何を言っているんだ」という感じかもしれないが、筆者が採用している「コーノ式ハンドドリップ」は、蒸らし時間を設けず、注湯開始からしばらくはポタポタと点滴でお湯を落とし続けるという方法のため、点滴を開始するタイミング(タイマーを開始すべきタイミング)は、特に集中力が求められるのだ(笑)。
今回紹介した「Smart Scale II」のモード6とハンドドリップの組み合わせでは、豆の計量、ドリップ時間の計測を1台でこなせ、しかもボタンは電源オンを含めて2回しか押さないなど、効果的に作業を手助けしてくれて、作業に集中できる。エスプレッソマシンとの組み合わせはもちろん、ハンドドリップのステップアップにもうってつけの製品といえそうだ。
製品名 | 発売元 | 実売価格 |
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Smart Scale II(スマートスケール2) | Brewista | 1万4904円(税込) |