本日の一品

紙を巻いたら灯りが点いた、懐中電灯「PAPER TORCH」

 一見、しゃれた市松模様のペーパー。だが、これが懐中電灯だというから驚きだ。

どう見ても紙だが、丸いところにはリチウムコイン電池が入っている。7つの四角がLEDライト
くるくると巻くと点灯する懐中電灯だ

 今回紹介する「PAPER TORCH(ペーパートーチ)」は、デザインオフィスのnendo、紙専門商社の老舗である竹尾、東京大学発ベンチャー企業のエレファンテックという3社による製品だ。ソフトバンクC&Sの「+Style」とnendoの共同プロジェクト「DoT.(Design of Things、ドット)」から誕生した。

 エレファンテックの教育・ホビー用途のブランドであるAgICは、一見普通のマーカーペンのような「回路マーカー」など、銀粒子を使った導電性インクにより回路が描けるという面白い製品を世に出している。布や紙などにインクを載せるだけで基盤が作れるという、その自由性に飛んだ技術により、この「PAPER TORCH」もできている。

 簡単にいうと、合成紙に印刷された回路でLEDが点灯するという仕組み。紙の巻き加減で経路の長さに変化が出せることにより、光量はゆるく巻くと弱く、きつく巻くと強くと、調節できる。表裏どちらで巻いても発光させることができ、LEDを表側にするとオレンジ色系の暖かい色味に、内側に巻くと白っぽい色味になる。

 じっくり見ても普通の印刷面と違わず、模様部分が回路だと知っていても、多くの人が「うーん? これが回路?」と首を傾げてしまうだろう。一般的な製品では、ケースの中に隠されている回路が、人の目に触れ美しく感じられるレベルに昇華されている。

基盤らしい模様はひとつもない。
ガラス容器にまるめてさしただけでもいい雰囲気だ。

 紙を筒状に巻いてるだけなので、持ちやすいとは言えない。でも、しゃれていて、未来だ。

 価格は1万800円。やや高額に感じるかもしれないが、たとえばもっと安価になれば、イベントなどでチラシとして配布し、即席のサイリウムにできたりすると楽しいのでは……と夢がふくらむ。可能性を感じる一品だ。