スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

Mac用キーボード、とりあえずコレにキメ!

Mac用キーボード、とりあえずコレにキメ!

 Mac用キーボードをアレコレ物色中のワタクシですが、ようやくイイ感じのキーボードが見つかりました。Matias(マティアス)社の「Mini Tactile Keyboard for Mac」です。Matiasはカナダのメーカーで、主にキーボードなどを作っているようです。

Matiasの「Mini Tactile Keyboard for Mac」。USB接続のテンキーレスキーボードで、キートップ配列はUS配列でMac用になっています。メーカー直販価格は「$129.95 USD」ですが、日本への送料などを含めて144.95USドルで購入しました。日本円だと1万8000円弱といったところでしょうか。注文から1週間程度で配送されました。

 Mac Proにつないで使うためのキーボードを探していまして、条件はテンキーレスでありかつUS配列であること。また、カーソルキーをよく使うので、カーソルキーが標準的なサイズで使いやすい位置にあることも条件になっていました。

 そんなキーボードを探して検索していたら、たまたまこの「Mini Tactile Keyboard for Mac」を発見。調べてみるとなかなか評判が良いようですし、上記条件も満たしている感じでしたので購入しました。

 で、届いたキーボードを使い始め、驚きました。初めてのタイプで「快適さを伴ったタッチタイピングができた」からです。こんなスピードで慣れられたキーボードは初めて……あ、いや、「IBM Model M Space Saver 1393278」も即タッチタイピングできた記憶があります。

 ともあれ、ナイスなフィーリングのキーボードを手に入れられて、かな~り満足。以降、この「Mini Tactile Keyboard for Mac」について書いてみたいと思います。

 なお、この「tactile pro」シリーズにはテンキー付きもあり、テンキー付きだとWindows用もあるようです。また、この「Mini Tactile Keyboard for Mac」は打鍵音がけっこーウルサイ(後述)ですが、打鍵音が静かな「quiet pro」シリーズも発売されています。

どんなキーボード?

 まずは「Mini Tactile Keyboard for Mac」の概要から。テンキーレスのUSBキーボードで、US配列でMac OS用のキーを備えています。もちろんキートップ刻印もMac向け。標準的なキーサイズやキーピッチですが、今のご時世的には「ゴツめのキーボード」という見栄えです。サイズ感も同様、コンパクトというイメージではありません。

サイズは幅33.7×奥行き16.5×高さ3.5cmで、質量は934g。キーサイズやキーピッチは至って標準的です。テンキーがなくてコンパクトではあるものの、現在ではやや大きめに感じられるキーボードかもしれません。
MacとはUSB接続して使います。USBケーブルは脱着可能で、キーボード側のコネクタはmicroBでL字型です。予備用と合わせて2本のUSBケーブルが同梱されていました。
USB2.0ハブとしても機能し、キーボード上部と上部左右にUSBポートがあり、合計3つのUSBポートを使えます。
キー種類やキートップ刻印はMac用。[Option]キーと同時押しで入力できる記号類の刻印もあります。

 全体的な作りは、わりとキレイです。ただ、付属USBケーブル(2本)の銀色シールドがキーボードのデザインとマッチしていなかったり、キートップ刻印が多めでスッキリ感がなかったりはします。まあ本質的な問題ではないので、使っていれば「こういうもの」と慣れてしまいます。

打鍵感はどうなのか?

 続いて打鍵感。「Mini Tactile Keyboard for Mac」のキーには、Matias社オリジナルのメカニカルスイッチが採用されているとのこと。Matias社製スイッチは「Quiet Pro」と「Tactile Pro」の2種類があり、このキーボードに採用されているのは「Tactile Pro」です。より明確なクリック感があるタイプですな。

 キーは列ごとに階段状の段差がありつつ緩やかな弧を描いているように見えます(ステップスカルプチャー)。キートップは指の腹に合わせるように湾曲して凹んでいる形状(シリンドリカル)。シリンドリカル・ステップスカルプチャーキーボードと思われます。

 実際の打鍵感は、わりとしっかりしたクリック感があり、入力の瞬間を指先で明確に判断できます。ストロークは若干深めですが、このテのメカニカルキーボードでは標準的な深さだと思います。平坦なキーボードに慣れてしまっている場合、使い始めは「やや元気に指先を弾ませるようにタイプ」しないと、打ち損じが出るかもしれません。

よくある「平坦な並び」のキーではなく、階段状で指に向かって緩やかな弧を描いているようなキー配置です。キートップはやや凹んでいて、指の腹とフィットします。
キーボード底面前方には2本の脚があり、格納するか出すかでキーボード上面の角度を変えられます。まあ、フツーは脚を出して使うんでしょうな。

 もうひとつ、よくあるメカニカルキーのキーボードより、このキーボードのキートップは「水平方向への揺れ幅が少し大きい」と感じられます。その点だけを意識すると、「なんかキートップがグラついてる感じ?」みたいな印象です。

 そういった特質を持つこのキーボードですが、それらを総合しての打鍵感はかなりイイ感じ。指先が正確にキートップに当たって押下できる……みたいな感覚なんですが、キーの方から指へと追従してくるというイメージもあります。上記の「キートップのグラつき」ですが、これがキートップと指先の正しい接触を助けてくれているのかもしれません。ともあれ、ワタクシの場合は、これまで試してきたほかのどのMac用キーボードよりも「正確かつ速く打鍵できている」という感じ。小気味よくスラスラと書いていけます。

 それと、キーサイズやキーピッチについては問題ナシな感じです。ただ、一部キー配列が微妙に疑問で、たとえばキーボード右側の[pg up][pg dn][fn]あたりは、最初ちょっと戸惑ったり、誤って押したりしてしまいました。まあでも、ほかはだいたいイイ感じ。ファンクションキー行にあるMac用機能キーも便利です。

「Mini Tactile Keyboard for Mac」のキー配列。

 ほか、入力は「Nキーロールオーバー」に対応し、複数のキーが同時押しされても、押された順で認識されて「押下取りこぼし」がない仕様です。また、キートップ刻印はレーザー刻印。わりと一般的なシルク印刷のものと比べると遙かに耐久性が高いので、そう簡単に刻印が消えたりすることはないでしょう。キーボード全体の剛性も高く、打鍵圧の高い人にとっても「たわまなくて頼りがいのある打鍵感」だと感じられると思います。

 てな感じで、ワタクシにとってはヒッジョーに気持ちよく使えるキーボードのひとつとなり、気に入っているんですが、その打鍵音は「明らかにウルサい」です。このキーボードに採用されている「Tactile Pro」スイッチは、カチャカシャガシャガチョみたいに高音を含む音を出します。複数の人が働くオフィスで使ったら高確率で苦情が出るでしょう。集中して打鍵していないときはユーザー本人でも「相変わらずウルサい」と感じる音かも、です。猫が横で寝ているとき、このキーボードでガシガシと原稿を書き始めると、猫は数分で退散してしまいます(ホントに)。MacBookにこのキーボードをつないでスターバックスでドヤってタイプしたりすると作り笑顔だけど怒り眼の店員に注意さ(以下略)。

 なお、前述のとおり、Matias社製スイッチは「Quiet Pro」と「Tactile Pro」の2種類があます。このキーボードに使われているのは「Tactile Pro」で、シッカリしたクリック感があるかわりに、音もシッカリ出ちゃうという感じ。それぞれ打鍵音はこのページで聞けます。Cherryの茶軸や青軸の音と聞き比べることもできますので、打鍵音吟味のご参考に。

小技も効いててなかなか愉快♪

 それから、このキーボードのUSBハブ機能がなかなか便利です。前述のとおり、USB2.0対応のUSBハブとして機能するんですが、デスクトップ用Macにアリガチな「USBポートが遠い問題」をサクッと解決できます。ワタクシの場合、無線マウスのUSBドングルをキーボードに装着して使っていますが、たまーにあった「マウスが一瞬無反応になる不具合」が解消されました。また、USB接続のメモリカードリーダーも、キーボードのUSBハブに挿抜して使っています。

 それと、特殊な記号の入力。ユーロやポンドやコピーライト記号、そして林檎マークなどが、キートップの刻印を見ながら入力できるというあたりがユニークです。[Option]キーと同時押しでそういった特殊記号が入力できるわけですが、普通は「どこをどう押したらあの記号が出るんだっけ?」と覚えていられません。ですが、このキーボードなら[Option]キーを押しつつキートップを見れば容易に入力できるというわけです。……まあ、そういう記号を入力する必要性がどれだけあるか、というコトもありますが。

キーボードはUSB2.0ハブとして機能し、USBポートが3つあり、ナニゲに便利です。特殊記号は[Option]キーと同時押しでキートップ右側下の記号が、[Option]+[Shift]キーと同時押しでキートップ右側上の記号を入力できます。

 しかし、やはり打鍵音が気になる「Mini Tactile Keyboard for Mac」。じつはMac用のテンキーレスキーボードとして、静音キーを採用した「Laptop Pro」という製品もあります。このページで聞き比べると、穏やかめな打鍵音で、ちょっと良さそう。ただし、「Laptop Pro」はBluetooth接続のキーボードで、日本での技術基準適合認定(技適)を受けていないようです。ので、日本国内での使用は違法となる恐れがあります。

 ともあれ、打鍵音以外はとてもイイ感じの「Mini Tactile Keyboard for Mac」。入手性も悪くありませんので、気分よくそして効率よく打てるキーボードを探しているなら、ぜひ一度チェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。